- 第491回 -  筆者 中村 達


『地震のこと』

 「熊本地震」で被災された方々にお見舞い申しあげますとともに、一刻も早い復興をお祈りします。
 熊本地震はいまなお余震が続き、被災された方々は大変なご苦労をされている。そんな中で、子どもたちや学生などのボランティアが、自然発生的に誕生して、多くの被災者から感謝されているとTVが報じていた。映し出されたお年寄りの笑顔を見て、少しホッとした気持ちになった。

 地滑りで崩落した道路や、崩壊した家屋の映像を見るにつけ、日本はいつどこで地震がおこっても不思議ではないと、あらためて実感する。絶対に安全と考えられるところはないのではと、やや悲観的にもなる。日本列島の活断層図を見ると、私の家も活断層のすぐ近くにあった。
 東京へ出張に出かけると、ときどき揺れを感じ、ドッキとすることがある。都内に住む知人は「あっ、地震」と言ったものの慌てない。たびたび地震が起こるので、少しのことでは動じないらしい。何年か前にパリで震度3程度の地震があった。パリは硬い岩盤の上にあるので、地震は珍しく、それゆえに大騒ぎになったらしい。
 揺れへの冷静さも必要ではあるが、普通はかなり動揺するし、慌てふためいたことも数多く体験している。

 神戸淡路や東北の震災を教訓に、地震への対策が必要だと言われ、専用のリュックサックを用意して、防災グッズを取り揃えて入れた。しかし、時間が経つにつれ、そのリュックサックからライトや予備バッテリー、救急用具、ナイフ、非常食などを取り出して使ってしまっている。気がつけば、ティッシュ、タオル、空のボトルしか入っていなかった。慌てて再びパッキングし直した。

(次回へつづく)


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■筆者紹介

中村 達(なかむら とおる)
京都生まれ。アウトドアジャーナリスト・プロデューサー
安藤百福センター副センター長、特定非営利活動法人日本ロングトレイル協会代表理事、全国「山の日」運営委員、公益財団法人日本山岳ガイド協会特別委員、国際自然環境アウトドア専門学校顧問など。
生活に密着したネーチャーライフを提案している。著書に「アウトドアズマーケティングの歩き方」「アウトドアビジネスへの提言」「アウトドアズがライフスタイルになる日」など。『歩く』3部作(東映ビデオ)総監修。カラコルム、ネパール、ニュージランド、ヨーロッパアルプスなど海外登山・ハイキング多数。日本山岳会会員