- 第470回 -  筆者 中村 達


『またまた、フライフィシング』

 先日、久しぶりに釣具店をのぞいてみた。店内は餌釣り、ルーアーフィッシングの用品で溢れていた。フライフィッシング売り場は、いくぶん縮小されたように思った。顔見知りのスタッフがいたので聞いてみた。「フライはどうですか」と。少し困った顔をして、いや、なんとか維持しています、と返ってきた。

 忙しいのと、フライはいざ始めるとなるといろいろと準備が煩わしいので、数年間もご無沙汰だった。先日、書店で手に取ったアウトドア本に、フライのコーナーがあったので、思い出したようにロッドを振ってみたくなった。
 というものの、私の仕事部屋にあるフライ専用のデスクは、登山用の鍋をはじめ、他の備品に占領されてしまっているので、とりあえず片づけて、フライの準備ができやすくしてみた。いろいろ思い出さねばならないので、ハウツー本を書架から取り出してパラパラと読んでみた。ノットやタイイングの方法は忘れていなかった。少しホッとした。
 次に、引き出しからリールやラインなどを取り出しチェックした。大丈夫そうだ。フライにはロッドはもちろん、さまざまな小物も多く、タイイングツールにいたっては、数えきれないほどある。これはザーッと見ただけで、よしとした。ロッドもたくさんあるが、保管には気をつけていたので大丈夫だろう。

 一度どこかに振りに行こうと思って、ホームページの管理釣り場を開いてみた。驚いたのは、フライが可能な管理釣り場が、非常に少なくなっていたことだ。ルアーや餌釣り専用にしたところが増えたようだ。
 フライは渓流で釣れるようになるには、2年はかかると言われる。それまではひたすら、キャスティングの練習をした経験がある。道具も少しややこしいし、価格も高い。だから人気が思ったほどにあがることなく、冷めてしまったのだろう。米国ではキャスティングする姿が優美で癒しになると、若い女性に人気があるようだ。

 ところで、自宅から近くの駅までは、公園の中を通る道を車で通っている。その途中にいくつかのため池があって、必ず誰かが釣りをしている。早朝でも夕暮れでも、誰かがロッドを振っている。彼らのすべてがルアーで、バスを狙っているようだ。そういえば、この池ではフライは見たことがない。また、近くには大きな川が流れている。アユのシーズンには大勢の釣り人が竿を出しているが、この川でもフライはいまだお目にかかったことはない。一度試してみようかと思う。

(次回へつづく)


■バックナンバー

■筆者紹介

中村 達(なかむら とおる)
1949年京都生まれ。アウトドアジャーナリスト/プロデューサー
安藤百福センター副センター長、国際自然環境アウトドア専門学校顧問、日本アウトドアジャーナリスト協会代表理事、NPO法人アウトドアライフデザイン開発機構代表理事、NPO法人自然体験活動推進協議会理事、東京アウトドアズフェスティバル総合プロデューサーなど。
生活に密着したネーチャーライフを提案している。著書に「アウトドアズマーケティングの歩き方」「アウトドアビジネスへの提言」「アウトドアズがライフスタイルになる日」など。『歩く』3部作(東映ビデオ)総監修。カラコルムラットクI、II峰登山隊に参加。日本山岳会会員。