- 第462回 -  筆者 中村 達


『レインウェアのこと』

 雨の日にTVに登場する記者やレポーターのレインウェアが、ずい分よくなった。胸や腕にプリントされているロゴは、有名アウトドアメーカーのものが多い。一昔前は、ビニール製のいかにもというのを着ているレポーター多かったが、最近では防水透湿性の素材を使った、機能性の高いものがほとんどのようだ。着こなしは別として、アウトドア用のレインウェアが下界でも幅広く利用されている。あるアウトドアメーカーの担当者は、いいPRになるので、できるだけ自社の製品を着用してもらおうと、TVは常にウォッチしていると話してくれた。

 防水透湿機能のあるレインウェアが出だした1970年代は、大変高価なものだった。その後、化学メーカーや繊維メーカーが、競うように次々と高機能な製品を開発し続けている。その結果、登山やアウトドアズ用のレインウェアは、種類も多くなり手ごろな価格のものも多数でてきた。あまりにも種類が多くなり、選択するのに迷ってしまうほどだ。タグにはその素材の機能と性能が、グラフとともに詳しく書かれているが、素人目にはよくわからない。
 ただ、登山やアウトドアズの専門店に置いているモノであれば、間違いはないように思う。極限の地や高所などで着用しない限り、性能の差は感じないと、個人的には思う。様々なメーカーのものや、素材の異なるものを数多く着用しているが、その差を感じたことは少ない。
 山に行く場合、日帰りでも必ずと言っていいほど、レインウェアは持っていく。悪天候に備えるというだけでなく、万が一の場合に役に立つからだ。ただ、私の場合、長期間の縦走などでもしない限り、レインウェアの登場はあまりなかった。新品のままでリュックに入れているレインウェアもある。それに、機能素材はパーカーなどにも多用されているので、少しぐらいの雨や雪では、レインウェアに着替えることが少なくなった。

 ただ、レインウェアはパーカーとしても十分使えるのだが、カラーが赤、青、黄、ピンクなどが中心で、柄物やデザインのユニークさがもっとあってもいいように思う。レインウェアの個性があまりにも少ないと感じる。そのことをメーカーの開発担当者に話すと、「うーん!」と頭をひねった。

(次回へつづく)


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■筆者紹介

中村 達(なかむら とおる)
1949年京都生まれ。アウトドアジャーナリスト/プロデューサー
安藤百福センター副センター長、国際自然環境アウトドア専門学校顧問、日本アウトドアジャーナリスト協会代表理事、NPO法人アウトドアライフデザイン開発機構代表理事、NPO法人自然体験活動推進協議会理事、東京アウトドアズフェスティバル総合プロデューサーなど。
生活に密着したネーチャーライフを提案している。著書に「アウトドアズマーケティングの歩き方」「アウトドアビジネスへの提言」「アウトドアズがライフスタイルになる日」など。『歩く』3部作(東映ビデオ)総監修。カラコルムラットクI、II峰登山隊に参加。日本山岳会会員。