![]() ![]() ![]() - 第455回 - 筆者 中村 達
『北陸新幹線』 アウトドア専門学校の入学式に出席するのに、はじめて北陸新幹線に乗った。北陸新幹線が開業するまでは、京都から名古屋まで東海道新幹線に乗り、名古屋から特急で長野まで行き、さらに上越線に乗り換えて妙高高原まで、およそ6時間かかった。 ところが、北陸線で金沢から北陸新幹線に乗り換えると、4時間ほどで上越妙高駅に着いた。時間帯にもよるのだろうが、確かに早くて便利になった。 東京からだと、金沢、富山は日帰り圏になった。これまで東京の山仲間が剣岳に向かうには、飛行機を使うのがもっとも早かった。 ![]() ![]() 私が高校生の頃、夏山合宿は立山連峰だった。京都駅から北陸線の夜行列車に乗って富山に向かった。富山行の夜行列車は、夏山シーズンともなれば超満員で、座席を確保するのが一苦労だった。当時、山は若者たちにとって格好の遊び場のひとつだった。もちろんパソコンも携帯電話もなかった時代で、夜行列車の車中ではトランプに興じる程度だったと思う。 金沢までの北陸線では、そんなことを思い出しながら、桜が満開の車窓を眺めていた。遠くに残雪に覆われた白山からつづく山稜が見えた。金沢駅のターミナルは、土産物を買い求める観光客でごった返していた。 金沢からは、いよいよ北陸新幹線だ。しかし、富山を過ぎるとトンネルが多く、車窓の景色を楽しむという感じはなかった。山間部をまっすぐ走るので、仕方がないのだろう。1時間足らずで、あっという間に上越妙高駅に着いた。以前なら、乗り換え時間を入れ、数時間はかかったように思う。 北陸新幹線が開業して、上信越の山々は東京圏からも関西圏からも、近くなったことは確かだ。そして、時間的余裕ができることで、目指す山域へのアプローチの選択肢も増えることだろう。 (次回へつづく)
■バックナンバー ■筆者紹介 中村 達(なかむら とおる) 1949年京都生まれ。アウトドアジャーナリスト/プロデューサー 安藤百福センター副センター長、国際自然環境アウトドア専門学校顧問、日本アウトドアジャーナリスト協会代表理事、NPO法人アウトドアライフデザイン開発機構代表理事、NPO法人自然体験活動推進協議会理事、東京アウトドアズフェスティバル総合プロデューサーなど。 生活に密着したネーチャーライフを提案している。著書に「アウトドアズマーケティングの歩き方」「アウトドアビジネスへの提言」「アウトドアズがライフスタイルになる日」など。『歩く』3部作(東映ビデオ)総監修。カラコルムラットクI、II峰登山隊に参加。日本山岳会会員。 |