![]() ![]() ![]() - 第454回 - 筆者 中村 達
『「山の日」と参加人口』 来年から8月11日が「山の日」となり、国民の祝日が増える。国民が山や自然に親しみ、山の恩恵に感謝しようというのが、「山の日」の目的だ。ちょうどお盆休みの直前なので、休みを調整すれば、これまで登ることができなかった、あるいは、行けなかった山に登ることができるかもしれない。 その「山の日」のプレイベントとして、3月末の土日に「全国『山の日』フォーラム」が東京国際フォーラムで開催された。シンポジウムやトークショー、それに団体や関係する企業のPRブースなどが設けられ、大勢の参加者でにぎわった。 登山愛好家や山好きの人たちが多いように見受けられたが、関心の高さが表れていたように思う。 ![]() ![]() 確かに、山ガールの登場などもあって、「山」がブームになっている。登山用品やウェア類もよく売れている。ここ5年間あらゆるスポーツの中で、売り上げが伸び続けているのは、唯一、アウトドア分野だけなのだ。ともかく、かつてない活況を呈しているのは事実だろう。 が、1000万人を超える登山人口というのには疑問がある。登山人口というには、登山の定義必要だ。例えば、高尾山ハイキングも登山だし、厳冬期の槍ヶ岳も登山として扱われている。 欧米では、この種の統計では登山とは、岩や雪、氷などがルートにあり、ピッケルやアイゼン、ザイルといった登攀用具が必要な登降を登山としているようだ。そのためアウトドア大国の米国でさえ、登山人口は250万人程度だ。日本でいうところの登山は、ハイキング人口にカウントされていて、参加人口はおよそ3,500万人とされている。 登山・ハイキングなどがレジャー活動として注目されていなかった、いや、マーケットとして大きくなかったので、アウトドアレクレーションの参加人口調査も、さほど注目されなかったのかもしれない。 「山の日」が国民の祝日となって、参加人口が増えることが期待されている。この「山の日」をきっかけとして、この国のアウトドアデータを正確に調査し、活用することができればと願う。 (次回へつづく)
■バックナンバー ■筆者紹介 中村 達(なかむら とおる) 1949年京都生まれ。アウトドアジャーナリスト/プロデューサー 安藤百福センター副センター長、国際自然環境アウトドア専門学校顧問、日本アウトドアジャーナリスト協会代表理事、NPO法人アウトドアライフデザイン開発機構代表理事、NPO法人自然体験活動推進協議会理事、東京アウトドアズフェスティバル総合プロデューサーなど。 生活に密着したネーチャーライフを提案している。著書に「アウトドアズマーケティングの歩き方」「アウトドアビジネスへの提言」「アウトドアズがライフスタイルになる日」など。『歩く』3部作(東映ビデオ)総監修。カラコルムラットクI、II峰登山隊に参加。日本山岳会会員。 |