![]() ![]() ![]() - 第446回 - 筆者 中村 達
『雪山のお正月』 ![]() 一方、スキー用具は板もブーツも売れに売れまくった。私でも年末だけで、数百セットは販売したように思う。そして、ビンディングの取り付け作業が深夜まで続いた。その店は京都のネオン街にあって、ときどき忘年会帰りの人たちが間違って入ってきた。 アルバイトで稼いだお金は、年始年末の冬山行と登山道具代で、ほとんど消えてしまったように思う。山から下りてくると、そのままスキーというパターンも多かった。自宅に帰るころには正月の雰囲気は終わっていて、少し寂しい気がした。 社会人になってからは、山でスキーというのが多く、もっぱら北アルプスとその山麓に出かけた。食料や燃料を担ぎ上げて、テントや山小屋に泊まった。周囲には誰もいないので、気ままに雪山の生活を楽しむことができた。 ![]() ![]() また、スキー場のレストランは混雑するので、ゲレンデ脇にテントを張って、昼食はそこで食べた。雪を融かしてチキンラーメンにもちを入れ、体が温まったことを憶えている。 夕刻、吹雪の中をラッセルしながら、方向を見失わないようにして山小屋に戻ったこともあった。ストーブに火を入れ、小屋の周りの雪かきをして夕食の準備を終え、一息つくのに2時間ほど費やした。 深夜、小屋の外に出ると、吹雪は収まって満点の星が輝いていた。 そんな雪山のお正月を思いだした。 ※画像はいずれもイメージです (次回へつづく)
■バックナンバー ■筆者紹介 中村 達(なかむら とおる) 1949年京都生まれ。アウトドアジャーナリスト/プロデューサー 安藤百福センター副センター長、国際自然環境アウトドア専門学校顧問、日本アウトドアジャーナリスト協会代表理事、NPO法人アウトドアライフデザイン開発機構代表理事、NPO法人自然体験活動推進協議会理事、東京アウトドアズフェスティバル総合プロデューサーなど。 生活に密着したネーチャーライフを提案している。著書に「アウトドアズマーケティングの歩き方」「アウトドアビジネスへの提言」「アウトドアズがライフスタイルになる日」など。『歩く』3部作(東映ビデオ)総監修。カラコルムラットクI、II峰登山隊に参加。日本山岳会会員。 |