![]() ![]() ![]() - 第440回 - 筆者 中村 達
『中央分水嶺霧ヶ峰美ヶ原トレイルで』 中央分水嶺霧ヶ峰美ヶ原トレイル(約38㎞)というのがある。最近開通したロングトレイルだ。北八ヶ岳の長門牧場から美ヶ原までの既存のトレイル上に、わかりやすく歩けるように設定されたコースだ。女神湖、八島湿原などを通って、美ヶ原に至る高原のトレイルで、歩くと爽快な気分になると思う。 運営は霧ヶ峰、美ヶ原がある、長野県長和町の観光協会がおこなっている。メンバーは観光協会、山小屋、旅館、ペンションなどの観光事業者や、山岳関係、ガイドやインタープリターなどで構成されている。 トレイルの自然環境の良さを、アウトドア体感観光地として再構築し、地域の活性化に役立てようという試みだ。 そんなロングトレイルを運営管理している長和町観光協会の主催で、通算で第8回目となるロングトレイルフォーラムが開催された。 冒頭、御嶽山の噴火で被災された方々に黙祷をささげた。この霧ヶ峰美ヶ原トレイルの関係者も被害に遭われたそうだ。本来なら、フォーラムに出席されていたかも知れない。 ご冥福と被災された方々の一日も早いご回復を、お祈りしたい。 ![]() フォーラムの終了後、会場を標高2000mにある美ヶ原の山小屋に移して、懇親会があった。今年は豊作だそうで、マツタケがたくさん出てきた。夜遅くまで賑やかな懇談の場が続いた。 私が20歳代の頃、冬山の帰路、美ヶ原に立ち寄った。なぜ立ち寄ったのかは定かではないが、一度行ってみたかった。たぶんそんなところだろう。 松本駅の観光案内所で、美ヶ原の山小屋を教えてもらい、駅前からバスに乗った。美ヶ原に着くころには、乗客は私たちだけだった。 バスを降りて雪原を登った。積雪はそれほど多くなく、カンジキもいらなかった。山上にある山小屋に着いた。冬季も営業していたが、この日の宿泊客は私たちだけだった。風呂に入って、疲れた筋肉をほぐしたことは覚えている。山小屋で一夜を過ごして下山した。 いま、その山小屋の名前や位置はすっかり忘れていて、思い出せない。懇親会の会場となった山小屋の内部を見渡してみたが、覚えているような、いないような頼りないあいまいな記憶だった。 翌日のエクスカーションは、台風に刺激された前線の影響で、雨となって中止となった。天気のいい時に、歩いてみたいと思う。歩けば記憶がよみがえるかもしれない。 (次回へつづく)
■バックナンバー ■筆者紹介 中村 達(なかむら とおる) 1949年京都生まれ。アウトドアジャーナリスト/プロデューサー 安藤百福センター副センター長、国際自然環境アウトドア専門学校顧問、日本アウトドアジャーナリスト協会代表理事、NPO法人アウトドアライフデザイン開発機構代表理事、NPO法人自然体験活動推進協議会理事、東京アウトドアズフェスティバル総合プロデューサーなど。 生活に密着したネーチャーライフを提案している。著書に「アウトドアズマーケティングの歩き方」「アウトドアビジネスへの提言」「アウトドアズがライフスタイルになる日」など。『歩く』3部作(東映ビデオ)総監修。カラコルムラットクI、II峰登山隊に参加。日本山岳会会員。 |