- 第437回 -  筆者 中村 達


『防滴仕様のデジイチを探す』

 この夏、スイスのトレイルを歩きに出かけた。観光立国、なかでも山岳観光は世界一と言われるだけあって、システムやサービスなど受け入れ態勢は完ぺきだ。訪ねるたびにそう思う。その一方で、物価や交通費、特にケーブルやロープウェイ、それに有名な山岳鉄道の料金は高いような気がする。急峻な山岳地帯を縫うように走る鉄道の維持には、相当な費用がかかるからだろう。
 比較すると国内の山岳観光地の乗り物代は、割安に感じてしまう。もっともスケールは比較のしようがないほど、スイスのそれは長くて、目的地の標高も高く険しい。だから、高い料金も仕方がないと、妙に納得してしまうのだ。穂高岳や剣岳の山頂まで、線路が敷かれたり、ロープウェイが架かっているようなものだ。

 そのことは別の機会に譲るとして、今年の夏、少なくとも私がグリンデルワルトに滞在していた1週間で、晴れた日は2日しかなかった。それ以外は、ほぼ毎日が雨だったが、例によってスケジュールを決めていたわけではないので、その日の気分で行先を決めた。それはいいのだが、雨の日の撮影には少々困った。ひどい雨だとカメラを出せないのだ。

 一般論として、受光素子は大きいほどいいといわれるので、どうしても一眼レフを使いたい。コンパクトで性能のいいのもたくさんあるが、やはり一眼レフには及ばない。いや、正確には及ばないような気がする、と言った方がいいのかもしれないが・・・。

 ところがデジイチは、水に弱い。最近では防滴仕様も出てきてはいるが、ボディは防滴でも、レンズはそうではない場合がまだまだ多いようだ。
 また、最近はミラーレスが流行だが、コストの問題なのかファインダーが省かれているモノが目立つ。付いていてもデジタルファインダーだ。コンデジではファインダー付は、非常に少なくなった。山岳のようなコントラストが高いところでは、特に晴れた日は、モニターが反射してほとんど見えないことがあるので、ファインダーがほしい。また、高山植物を寄って撮影しても、果たしてピントが合っているのかどうか、自信がもてないでいることもままある。

 私が愛用しているデジイチは、気がつけば購入してから5年も経っていた。カメラの専用サイトの書き込みでは、名機ではあるがもう古いらしい。5年の間にデジカメは飛躍的に進歩し続けているので、中古市場では2万円の値が付けばいいそうだ。

 さて、デジイチは受光素子がフルサイズが増えて、APS-Cは押され気味のような気がする。しかし、アウトドア用のカメラは小型で軽量、そして防滴仕様がいい。フルサイズは、画質はいいらしいが高価で重い。
とはいえ、あれこれ悩むのがカメラである。この深みにはまると、抜け出すのが大変だ。

(次回へつづく)


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■筆者紹介

中村 達(なかむら とおる)
1949年京都生まれ。アウトドアジャーナリスト/プロデューサー
安藤百福センター副センター長、国際自然環境アウトドア専門学校顧問、日本アウトドアジャーナリスト協会代表理事、NPO法人アウトドアライフデザイン開発機構代表理事、NPO法人自然体験活動推進協議会理事、東京アウトドアズフェスティバル総合プロデューサーなど。
生活に密着したネーチャーライフを提案している。著書に「アウトドアズマーケティングの歩き方」「アウトドアビジネスへの提言」「アウトドアズがライフスタイルになる日」など。『歩く』3部作(東映ビデオ)総監修。カラコルムラットクI、II峰登山隊に参加。日本山岳会会員。