- 第420回 -  筆者 中村 達


『リュックの担ぎ方』

 学生の頃、リュックサックは帆布かナイロン製の袋状のものに、ショルダーベルトが付いただけのものがほとんどだった。それを通称サブザックと呼んでいた。当時、私が使っていたリュックサックには、背面にパットやフレームなどはついていなくて、パッキングに慣れが必要だった。そして担ぎ方にも工夫がいった。山岳部時代、長期間の山行はもっぱら帆布製のキスリングだった。
 その後、ヨーロッパからアタックザックが、米国からデイパックなどが輸入されはじめた。合理的なデザインとパッキングしやすさが画期的で、一躍人気を博した。私もアルバイトをして、フランス製のリュックを手に入れた。

 時を経て、リュックサックはすっかり生活用品の一部になった。なかでもデイパックなどの小型のものは、街では普通にカバン代わりに使われている。適当に放り込むだけでよく、パッキングなどという概念そのものが存在しないようだ。ネットで調べてみると、老舗のパックメーカーのラインナップも、随分オシャレになってカラフルだ。アウトドア仕様ではなく、タウンユースを意識したものも多い。

 いまや、誰でもデイパックの一つや二つは持っているようだ。軽くて便利で、両手がフリーになるのがいい。
 ところで、面白いパックの担ぎ方にお目にかかるときがある。私のような古い山屋は、背中に密着させるものと思っていたが、そうではないらしい。街中でショルダーベルトをいっぱいまで伸ばして、パックはお尻で担いでいるように見える。軽いからいいようなもので、山で重いものだったらどうするのだろう。余計なお節介ではあるが・・・。
 海外ではそんな姿を見たことはないので、日本の若者だけの独特なスタイルなのかもしれない。TVのある旅番組で、若いレポーターの垂れ下がったリュックサックが気になった。

 そろそろ春のアウトドアシーズンだ。ハイキングやトレイル歩きには最適な季節である。そんな背負い方のリュックサックにお目にかかるのだろうか。

(次回へつづく)


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■筆者紹介

中村 達(なかむら とおる)
1949年京都生まれ。アウトドアジャーナリスト/プロデューサー
安藤百福センター副センター長、国際自然環境アウトドア専門学校顧問、日本アウトドアジャーナリスト協会代表理事、NPO法人アウトドアライフデザイン開発機構代表理事、NPO法人自然体験活動推進協議会理事、東京アウトドアズフェスティバル総合プロデューサーなど。
生活に密着したネーチャーライフを提案している。著書に「アウトドアズマーケティングの歩き方」「アウトドアビジネスへの提言」「アウトドアズがライフスタイルになる日」など。『歩く』3部作(東映ビデオ)総監修。カラコルムラットクI、II峰登山隊に参加。日本山岳会会員。