![]() ![]() ![]() - 第372回 - 筆者 中村 達
『イギリスのフットパス』 ![]() 日本ではまだ馴染みの薄い言葉だが、イギリスにはフットパスというトレイルがある。イギリスには「right of way」といって、「歩く権利」つまり通行権が国民に保証されている。現在、人口20~30%の人々が歩くことを楽しんでいて、登録されているオフロードのフットパス(通行権のある歩道)は総延長で225,000キロもあり、だれでも自由に歩くことが出来る。山や森はもちろん、私有地の庭であったり、ゴルフ場や牧場にもフットパスが通っているなど、歩く権利が確立されているとレポートは述べている。 ![]() 国民がトレッキングやハイキング、あるいはウォーキングとして、ライフスタイルとして楽しんでいることがよくわかる。 レポートは通行権とフットパスは、イギリス独特の風土や時代背景から誕生したと指摘し、その理由として次のようなポイントをあげている。 1)権利の尊重 2)産業革命がもたらした新たな生活環境(都市化、健康被害、ツーリズムなど) 3)イギリス人としてのアイデンティティー 4)紳士気質 5)エコロジーと自然保護 6)チャリティー団体の社会的役割 中でも、紳士気質というのがイギリスらしい。派手な振る舞いは控え、質素に自然を楽しみ、四季を謳歌するというライフスタイルだ。私たちも見習うべきだろう。 国内でも「歩く」は、大きくブレイクしている。早朝や夕刻には、健康ウォーキングを行っている人たちが大変多くなった。ウォーキングシューズやトレッキングシューズがあらゆるスポーツシューズの中で、ダントツに売れていることもそれを裏付けている。各地でロングトレイルの整備も進み、歩く環境はかつてないほど整ってきたといえる。 送られてきたこのレポートを読んで、歩く道が整備された国には「品格」が備わるのではと、やや短絡的ではあるがそう感じた。 ※「フットパス」レポートは、近く掲載の予定です。 ※資料提供 Shino Setsuda (次回へつづく)
■バックナンバー ■筆者紹介 中村 達(なかむら とおる) 1949年京都生まれ。アウトドアジャーナリスト/プロデューサー 安藤百福センター副センター長、国際自然環境アウトドア専門学校顧問、日本アウトドアジャーナリスト協会代表理事、NPO法人アウトドアライフデザイン開発機構代表理事、NPO法人自然体験活動推進協議会理事、東京アウトドアズフェスティバル総合プロデューサーなど。 生活に密着したネーチャーライフを提案している。著書に「アウトドアズマーケティングの歩き方」「アウトドアビジネスへの提言」「アウトドアズがライフスタイルになる日」など。『歩く』3部作(東映ビデオ)総監修。カラコルムラットクI、II峰登山隊に参加。日本山岳会会員。 |