− 第346回 −  筆者 中村 達


『初滑り』

 久しぶりに福井県のスキー場に出かけてきた。遅い初滑りだった。
 初めてスキーをしたのは高校1年生の冬で、福井県にある勝原というスキー場だった。ユースホステルに泊まって1泊2日のスキーだった。民家がユースホステルという看板をかかげただけのもので、民宿のようだったと、おぼろげながら記憶している。軒先かどこかで、ガソリンコンロで炊事したように思う。スキーはもちろんレンタルで、ゴム製の紐靴だった。スキーは単板で、ビンディングはカンダハーだったような気がする。
 おっかなびっくりで、5メートルも滑るとすぐに尻餅をついた。帰る頃には直滑降で、何とか数十メートルを滑れるようになった。それにしてもひどいものだった。40年以上も前のお話である。

 いまは、スキーの道具もずいぶん進化して、ほぼ成熟したのではないかと思う。ブーツはぴったり合うし、冷たさを感じなくなった。板はカービングスキーだ。カービングスキーが出来るか出来ないかはともかく、カービングスキーなのだ。確かに回転はしやすい。
 ウェアは、保温性から発熱力に進化し、防水性、透湿性が各段にアップした。なにより、流行を気にしないですむようになったのがうれしい。バブルスキーの頃は、丈が短くなったり、長くなったり、三角になったり、つなぎのウェアが流行ったりと、ずいぶんと踊らされたものだった。  また、スキー場は設備が良くなって、リフトやゴンドラなどの輸送力が格段に向上して、待ち時間も短くなった。もっともスキーヤーやボーダーが減ったという事情が大きいが・・・。
 ゲレンデは常に圧雪されているので、コブが少なくなって滑りやすくなった。レストハウスもメニューが増え、内容が良くなった。サービスも改善された。が、それでもスキー人口の減少に歯止めがかからないままである。

 この日は平日で、訪れたスキー場は大学生だろうか、若いボーダーが大半だった。スキーヤーは中高年者が多く、明らかに雰囲気が違っていた。ボーダーのほうが圧倒的に多かった。スキーヤーは少数だった。若者たちにはスキーよりもボードが圧倒的に人気なのだろうか。こんなにボーダーの比率が多い光景にお目にかかったのは、はじめてだった。そんな中で、地元の小学校だろうか、スキーの体験学習に来ていた。元気な声がキッズ広場に響いていた。
 西日本最大級のスキー場というだけあって、なかなかいいゲレンデだった。雪質も良かった。が、大雪が来るとかで、早々に引き上げた。案の定、北陸自動車道は猛吹雪になって、かすかに残った轍を頼りに帰路についた。

(次回へつづく)


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■筆者紹介

中村 達(なかむら とおる)
1949年京都生まれ。アウトドアジャーナリスト/プロデューサー
安藤百福センター副センター長、国際自然環境アウトドア専門学校顧問、日本アウトドアジャーナリスト協会代表理事、NPO法人アウトドアライフデザイン開発機構代表理事、NPO法人自然体験活動推進協議会理事、東京アウトドアズフェスティバル総合プロデューサーなど。
生活に密着したネーチャーライフを提案している。著書に「アウトドアズマーケティングの歩き方」「アウトドアビジネスへの提言」「アウトドアズがライフスタイルになる日」など。『歩く』3部作(東映ビデオ)総監修。カラコルムラットクI、II峰登山隊に参加。日本山岳会会員。