- 第345回 -  筆者 中村 達


『スキーグローブを探す』

 ようやくスケジュールがとれたので、今シーズンの初滑りに出かけることになった。若い頃なら、11月にはすでに滑っていた。待ちに待って、志賀高原や立山などに出かけたものだった。雪不足で、新品の板がボロボロになったこともあった。が、年を追うごとに初滑りは遅くなってきた。

 初滑りとなると、準備がそれなりに必要だ。まず、ウェアを引っ張り出さないといけない。ゴーグル、ヘルメット、スキーソックス、それにグローブなどと続く。ウェア類は一緒にしまっているのだが、何かがいつも欠けていて、家探しをしなければならない羽目に陥る。また、スキーのワックスがけと、ビンディングの調整も面倒だ。ワックスアイロンを探し出すのも大変だ。スキーブーツも何足かあるので、果たしてこのスキーにセットしていたのはどのブーツで、前圧の数値はいくらだったかなど、記憶の糸を手繰るのも大変だ。半年も経つと、すっかり忘れてしまっている。

 あれこれ探しているうちに、スキーグローブの防水力がおちていたのを思い出して、新たに購入することにした。いまは、皮革製のものが少なくなって、ポリエステルと合成皮革(PVCなど)を組み合わせたものがほとんどだ。中でも、透湿防水性のある機能素材などをラミネートしたグローブは優れものだ。1万円も出せば、かなり上質なものが手に入る。 が、私のような古いスキーヤーは、皮製も捨てがたい。すこしこだわりがある。

 早速、近くの大型スポーツ店に出かけてみた。広い店内にはスキーコーナーが設けられているはずだった。しかし、いくら探しても見つからない。仕方がないので、店員を捕まえて聞いてみると「去年からスキーはやっていないんです。すみません。」と返ってきた。「スキーは商売にならない?」と私。「ええ」と困惑した表情をみせた。確かに、スキーショップはかなり減少している。

 仕方がないので、他の大型量販店に足をのばしてみた。その店にはたくさんのグローブが並んではいたが、皮製はごく僅かで、気に入ったものはなかった。京都の専門店にまで足をのばせばあるのだろうが時間がない。

 スーパーや一般スポーツ店には、この時期、ジュニア用のスキーウェアはたくさん並んでいる。数千から1万円で結構な品揃えだ。おそらく、学校の雪遊び体験のような行事に使うのだろう。しかし、スキー用具はどの店にも置いてはいなかった。
 私の子どもたちが小中学生の頃は、スーパーにでも、ホームセンターにだってスキー用品はあったような気がする。時代といえば時代なのだろうが、子どもたちにも、スキーは遠い存在になってしまったようだ。

 さて、グローブのお話の続きである。結局、ネットで探すことにした。すると、イタリアブランドの皮革製のグローブを、セールだとかで、ほぼ半値で手に入れることができた。品質やサイズに、やや不安があったので、質問してみると親切な対応で安心した。翌々日には届き、思った以上にいいグローブだった。ホッとした。
 スキー用品もネットで選ぶ時代になったのか。便利なようで、味気ないようで、ちょっと複雑な心境である。

(次回へつづく)


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■筆者紹介

中村 達(なかむら とおる)
1949年京都生まれ。アウトドアジャーナリスト/プロデューサー
安藤百福センター副センター長、国際自然環境アウトドア専門学校顧問、日本アウトドアジャーナリスト協会代表理事、NPO法人アウトドアライフデザイン開発機構代表理事、NPO法人自然体験活動推進協議会理事、東京アウトドアズフェスティバル総合プロデューサーなど。
生活に密着したネーチャーライフを提案している。著書に「アウトドアズマーケティングの歩き方」「アウトドアビジネスへの提言」「アウトドアズがライフスタイルになる日」など。『歩く』3部作(東映ビデオ)総監修。カラコルムラットクI、II峰登山隊に参加。日本山岳会会員。