![]() ![]() ![]() - 第272回 - 筆者 中村 達
『今年最初のアウトドアあれこれ』 今年どんな自然遊びをするか、毎年のことながら計画を立てている訳ではない。どちらかというと、思いつきで出かけていることがほとんどだ。今年は出来れば海外へトレッキングにでも、と思っているが、スケジュールがうまくとれるかどうか・・・。 昨年は、仕事に忙殺されてフライフィッシングも1回しか行けず、毎年恒例のアルプス縦走も果たせなかった。行けないかわりに、通販で買った道具ばかりが増えてしまった。今年は渓谷にテントでも張って、ゆっくりロッドを振ることができればと希望的に思っている。毛鉤も久しぶりに巻いてみたい。16番までなら、まだなんとかなる。 山スキー用の板も発注していることだし、ツアー用のパックも通販で衝動的に買い求めたので、バックカントリーにでかけたい。 ![]() さて、自然体験活動だが今年は転機になるような気がしている。ここ10年ほど、子どもたちを健やかに育むには、自然体験が必要だといわれ、様々な事業が行われてきた。しかし、さほど成果があがったようには思えないのは私だけだろうか。特に自然体験活動が持続的に行われない理由の一つは、活動における達成感ではないかという気がする。森の中での不思議発見はすばらしいことではあるが、それだけでは達成感は生まれない。 中高年登山者がそうであるように、達成する目標が常に存在することが重要だ。その目標に至るには、ちょっとはがんばらなければならない。少しは努力がいるほうが、意欲が増す。それがモチベーションを持続させるのではないか。 是非はともかくとして、日本百名山などは最たる例だろう。 この国の68%が山である。自然体験活動は山登りとは違う、とお叱りをうけることもあるが、リアルなフィールドの想定がなくては、的確な指導ができるとは思えない。確かに子どもたちを山に連れ出しても、すべての子どもが山を好きになる訳ではない。嫌いになる子どもも出てくることだろう。それに危険もともなう。 しかし、山登りは苦労すること、我慢することを学ぶ。常に自分の身を守ることを考えなければならない。そして、がんばれば必ず山頂に立てる。そんな経験は、森の自然体験やキャンプ生活だけでは生まれない。 もちろん炊事をすること、テントを立てること、眠ることなどは重要な技術であり、体験である。しかし、数日間経験すれば、誰でもキャンプの達人になれる。重要なのは、どんな状況で、自然環境で、この種の経験をするかである。 山登りを自然体験活動にしっかり組み込むには、指導者は登山の基本的な経験が必要だ。指導者は最低限の登山の技術も取得することも重要だと思う。山屋の発想だと言われるかもしれないが・・・。 ![]() 今年は自然体験活動分野の国家予算の縮減と不況も重なって、環境は決してよくはない。しかし、この5月には長野県の小諸市郊外に安藤百福記念自然体験活動指導者育成センターが竣工する。国内初の総合的な指導者養成機関として注目されている。そこでは、この国の地勢やフィールドにあった、実践的な指導者育成のカリキュラムが検討されている。基本に立ち返った、指導者育成システムと制度設計に期待したいと思う。子どもたちの自然体験活動を大きく促進する力になればと願っている。 (次回へつづく)
■バックナンバー ■筆者紹介 中村 達(なかむら とおる) 1949年京都生まれ。アウトドアジャーナリスト/プロデューサー NPO法人自然体験活動推進協議会理事、国際自然環境アウトドア専門学校顧問、日本アウトドアジャーナリスト協会代表理事、NPO法人アウトドアライフデザイン開発機構副代表理事、東京アウトドアズフェスティバル総合プロデューサーなど。 生活に密着したネーチャーライフを提案している。著書に「アウトドアズマーケティングの歩き方」「アウトドアビジネスへの提言」「アウトドアズがライフスタイルになる日」など。『歩く』3部作(東映ビデオ)総監修。カラコルムラットクI、II峰登山隊に参加。日本山岳会会員。 |