- 第238回 - 筆者 中村 達
『リフト待ちのスキー場』 1月も中旬になってようやく時間がとれ、長野県のとあるスキー場にでかけてきた。今シーズン、初すべりだった。 景気が悪い。マスコミがそう報道するのでそんな気がする。そこで消費は極力控える。レジャーなどの支出はできるだけ抑える。だから。スキーなんてとんでもない、と思っている人が多いのだろう想像していたが、それなりに混んでいたので驚いた。もっとも日帰り客が大半で、宿泊をするスキーヤーは激減だそうだ。 初日は土曜日だったので、空いているだろうと高をくくって出かけたが、リフト待ちをしなければならなかった。久しぶりの経験だ。ここ何年か、リフト待ちなんてほとんど経験したことがない。 2日目の日曜日は、バブル時代の最盛期のように、リフト待ちはさらに長くなった。もっとも、近ごろではクワッドの高速リフトなので、長い列の割には待ち時間は5分程度と短い。だからストレスはさほど溜まらない。なぜ混んでいるのか、少し意地悪な質問を関係者にしてみると、この日、子どものリフト券が無料だった。だから家族連れのスキーヤーが目についたのだ。子どもたちは、どの顔も嬉々としていた。こうでなければいけない。 スキー場も10年ほど早く気がつけばよかった。国をあげて子どもたちにスキーを普及させよう、という強い意思を感じることが少なかった。やや遅きに失した感は否めないが、やらないよりはやったほうがいい。 それに、私たち3人はリフト券のシルバー割引の恩恵をうけた。50歳以上はディスカウントサービスがある。これもいまや常識になってきたようだ。 スキーの最盛期、国内に流通したスキー板は200万台オーバーだった。それが今シーズンは、30万台にも届かないともいわれている。スキー人口は40歳代をピークにして、10歳台に向かって下降しているのだ。子どもたちをゲレンデに、リーズナブルに連れ出す仕組みが、業界あげて必要だろう。 昼食を食べにレストランに入ると、そこはオヤジ、オバサンスキーヤーの巣窟だった。ファミリースキーヤーは、お弁当持参で楽しい1日を過ごしたようだった。 (次回へつづく)
■バックナンバー ■筆者紹介 中村 達(なかむら とおる) 1949年京都生まれ。アウトドアジャーナリスト。 NPO法人自然体験活動推進協議会理事、国際アウトドア専門学校顧問、NPO法人比良比叡自然学校常務理事、日本アウトドアジャーナリスト協会代表理事、東京アウトドアズフェスティバル総合プロデューサーなど。 生活に密着したネーチャーライフを提案している。著書に「アウトドアズマーケティングの歩き方」「アウトドアビジネスへの提言」「アウトドアズがライフスタイルになる日」など。『歩く』3部作(東映ビデオ)総監修。カラコルムラットクI、II峰登山隊に参加。日本山岳会会員。 |