- 第224回 -  筆者 中村 達


『北アルプス表銀座であれこれ 1』

 北アルプスの燕岳(つばくろだけ)から槍が岳まで、通称「表銀座」を歩いてきた。槍が岳からは、氷河公園に立ち寄ったので、4泊5日の山歩きとなった。「表銀座」という呼称は、登るにつれ名峰槍が岳が、目の前に威圧的に迫り、同時にその華やかさから、このトレイルがそう呼ばれるようになったのではと、同行者の知識人が解説してくれた。おそらく首都圏の人が名付けたのではないか?私のような京都人が付ければ、祇園とか河原町になったかも知れない。どうでもいいことだが・・・。
 実は、40年以上の山歴で、表銀座の縦走は初めてだった。部分的には登っているもののトレースするのは今回が最初で、それなりに浮き浮きして出かけた。

 スタート点である燕岳の登りでは、ファミー登山が多いのに驚いた。それに若い人たちも大勢来ていて、ここでは中高年登山者はむしろ少数に思えた。これは、この山域の関係者の努力に負うところが大きい。
 また、三重県の鈴鹿から来た高校山岳部の一行は、女性の部員がたくさん混じって、頑張って登っていた。山小屋のオーナーは、いまは子どもたちを対象にした登山教室に力を入れているという。お母さん、できれば祖父母も一緒に親子三代で山登りを楽しんでもらいたいそうだ。山小屋も、中高年登山の減少に手をこまねいているだけでなく、次の世代、その次の世代の登山者を育てていかなければならない。
 山は忍耐力を養い、ガマンするということを学ぶ。仲間との協調性は必要十分条件だし、協力して達成するよろこびを教えてくれる。そして、山頂に立った感動は何ものにも代えがたい。登山は最良の自然体験活動のひとつだと思う。

 燕岳をあとに、表銀座の縦走路を歩き始めた。縦走路ではうって変って登山者が減った。時期的な問題もあるのだろうが、この日、すれ違う登山者はわずか数パーティだけだった。ただ、私たちのような中高年ではなく、比較的若い人たちが多く、何やら救われた気持ちになった。本音でいえば山は静かなほうがいい。
 登山の傾向としては、中高年登山者の減少は顕著で、登山形態も有名山岳のピークハンティングが中心で、縦走する登山者は激減しているようだ。ただ縦走3日目に登った槍が岳では、様相が一変していた。(続く)

(次回へつづく)


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■筆者紹介

中村 達(なかむら とおる)
1949年京都生まれ。アウトドアジャーナリスト。
NPO法人自然体験活動推進協議会理事、国際アウトドア専門学校顧問、NPO法人比良比叡自然学校常務理事、日本アウトドアジャーナリスト協会代表理事、東京アウトドアズフェスティバル総合プロデューサーなど。
生活に密着したネーチャーライフを提案している。著書に「アウトドアズマーケティングの歩き方」「アウトドアビジネスへの提言」「アウトドアズがライフスタイルになる日」など。『歩く』3部作(東映ビデオ)総監修。カラコルムラットクI、II峰登山隊に参加。日本山岳会会員。