![]() ![]() ![]() − 第211回 − 筆者 中村 達
『営業を終えたゲレンデの風景』 先日、所用で長野県北部から新潟、さらに長野県中部へとおよそ1,000kmを車でまわってきた。名神から中央道を走り木曽谷に入ると、どっしりした山容の恵那山(2,189.8m)が目に飛び込んできた。昨晩、季節はずれの新雪が降ったようだ。そのうーんと左手には御岳の白い頂稜部が顔を見せる。恵那山トンネルを抜けると、南アルプスのパノラマが広がりはじめ、さらに、しばらく走ると中央アルプスが目の前に展開する。3,000m級の山々はまだ冬の装いだった。 松本市を抜け安曇野に入ると、北アルプスの山々が迫り、稜線の雪庇が大きく張り出しているのがよく見える。国道を北に走ると鹿島槍ヶ岳(2,889.1m)が目の前に聳えていた。双耳峰の雪稜が春の日差しをうけて輝いていた。さらに白馬へ走ると、次々とスキー場が見えてきた。さすがにこの時季ともなると、山麓のスキー場はところどころ地肌が露出して、なんとも物悲しい。すでに多くのスキー場は営業を終えていて、誰もいないゲレンデと斑な雪が残る風景は、夢の跡のように見える。 新潟県に入ると、信越の山々もたっぷり雪に覆われていた。山麓のスキー場にもまだ雪が残っていた。しかし、3月の末には早々と営業を終えていた。妙高山(2,454m)の裾野にあるスキー場も、店じまいしていた。ひと昔前なら、名残を惜しむスキーヤーで賑わっていたことだろう。昔のお話だが4月の第1週に、スキーツアーで上信越のスキー場に出かけたことがあった。そのツアーは満員だった。 当地で出会ったある自然学校のインタープリターが、廃業したゲレンデに片栗を植栽してピンクに染まる景観をつくっていると語っていた。スキー場と地域の活性化、そして観光資源をどう活かすか。スキー場に子どもたちの歓声が溢れる日は来るのか。 スキーの再生には、やはり子どもたちの日常的な自然体験活動がベースとなると、あらためて思いを強くした。普段の自然体験が必要だ。公園で、河川敷で、里山で・・・。必要なのは外遊びだ。そして、日常の延長の自然体験活動の中にスキーがあり、スノボーがあり、キャンプもある。登山もある。 身近な自然を体験することで、その先に多彩なアウトドアアクティビティが見えてくる。時代は違うが、思いおこせばかつての爆発的なスキーブームの背後には、そんな日常的な自然遊びが私たちにあった。さして難しい話ではないように思うのだが・・・。 (次回へつづく)
■バックナンバー ■筆者紹介 中村 達(なかむら とおる) 1949年京都生まれ。アウトドアジャーナリスト。 NPO法人自然体験活動推進協議会理事、国際アウトドア専門学校顧問、NPO法人比良比叡自然学校常務理事、日本アウトドアジャーナリスト協会代表理事、東京アウトドアズフェスティバル総合プロデューサーなど。 生活に密着したネーチャーライフを提案している。著書に「アウトドアズマーケティングの歩き方」「アウトドアビジネスへの提言」「アウトドアズがライフスタイルになる日」など。『歩く』3部作(東映ビデオ)総監修。カラコルムラットクI、II峰登山隊に参加。日本山岳会会員。 |