− 第210回 −  筆者 中村 達


『アウトドアのモノローグ 番外編 トランク』

 今年のゴールデンウィークに海外に出かける日本人は、連休の並びが悪いのと、航空運賃の値上げ(サーチャージ)などで昨年より大幅に減るらしい。とはいっても50万人近くの人たちが海外旅行に出かけるそうだ。
 そのせいかどうか、スーパーなどの量販店ではスーツケースの売り場が目立つ。赤や黄色などとてもカラフルだ。イラストやキャラクターが描かれたものも人気だそうだ。
 日本人の海外旅行といえば、トランク、いわゆるスーツケースが定番だ。私のスーツケースは、20年ほど前に購入したもので、汚れや傷が目立つが修理しながら、なんとか使っている。
 海外に出かけるたびに思うのだが、私も含めて日本人はスーツケースが好きだ。強くて軽いのが条件となるので、最近のものはポリカーボネイトかABS樹脂製、あるいはこれらを複合した素材のものが多いようだ。ところが、海外では外国人はハードタイプのスーツケースよりソフトタイプのものを好むらしい、ということに気がついた。先日もパリのシャルルドゴール空港で時間待ちの間、マンウォッチングをしていると外国人(正確には日本人以外)は、ハードタイプではなくソフトな布製のバッグやスーツケースがやたら目についた。もちろんハードなタイプも見かけたが少数派だった。空港のバゲッジクライムで、ベルトコンベアーで運ばれてくる荷物も、ソフトタイプが多いように思った。

 ソフトかハードかは好みの問題でどうでもいいことだが、目的地で移動が多いときや地下鉄やバスなど公共交通機関を利用する場合は、ソフトタイプのほうが持ち運びが比較的楽だ。リュックサックはその典型だろう。ハードなスーツケースだと階段の長い地下鉄ではかなりつらい。また、車のトランクやラゲッジルームにはフレキシブルではないので、人数分が納まりきらないこともある。

 と考えてみると、やや独断と偏見ではあるが、日本人の海外旅行はツアーが中心で、現地でのアテンドを心配することは少ないのではないかと思う。ツアーであれば、通常は現地での移動手段に貸し切りバスなどが利用されるので、大きく重いスーツケースも自分で運ぶ必要はないからさほど苦にならない。だから海外旅行イコールスーツケースという図式が出来き、必然的に日本人海外旅行者はスーツケース派が多い?
 極論すれば、自分自身でマネージメントしてアクティビティな海外旅行をしようとすると、スーツケースはとかく面倒なものになるのではと思う。少なくとも若い人たちには、バックパックで「なんでもみてやろう」な気持ちがほしい。バッグで旅のスタイル、ライフスタイルまで見えてくる。考えすぎだろうか。

(次回へつづく)


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■筆者紹介

中村 達(なかむら とおる)
1949年京都生まれ。アウトドアジャーナリスト。
NPO法人自然体験活動推進協議会理事、国際アウトドア専門学校顧問、NPO法人比良比叡自然学校常務理事、日本アウトドアジャーナリスト協会代表理事、東京アウトドアズフェスティバル総合プロデューサーなど。
生活に密着したネーチャーライフを提案している。著書に「アウトドアズマーケティングの歩き方」「アウトドアビジネスへの提言」「アウトドアズがライフスタイルになる日」など。『歩く』3部作(東映ビデオ)総監修。カラコルムラットクI、II峰登山隊に参加。日本山岳会会員。