- 第175回 -  著者 中村 達


『GWは今年も川原でバーベキュー?』

 GWを前にして、都市近郊のホームセンターや大型スーパーなどでは、アウトドアコーナーなどが設けられている。新聞の折り込みチラシなどにも、GW特集などなどがあって、そこにもアウトドアというコピーが大きく出ている。自然体験などというコピーは、残念ながらない。
 そのアウトドアコーナーに並べられているものは、おしなべてバーベキュー用品である。
 バーベキュー用のコンロ、網、炭、鋏、着火剤、軍手などがまずラインナップされ、クーラーボックス、保冷剤などもうず高く積まれている。ウレタンマット、テーブル、イスも定番商品だ。カッセットコンロ類もある。少なくなったとはいえ、テントも並ぶ。テントはここ数年でかなり減ったように思う。
 ともかく、アウトドア=バーベキューがこの国の「アウトドアライフ」の定番となった。
 そんな中で、何よりも感心に思うのは、価格が安くなって、品質もかなり向上したことだろう。少し前までこの種の商品は、安かろう、悪かろうが常識だったが、いまは、当たり外れはないようだ。ようだと言うのは、この種のものを最近は買ったことがないので、無責任ながら見た目の判断である。

 かつてアメリカのアウトドア産業の関係者が、日本のアウトドアズはバーベキューかと揶揄したことがあったが、用品はかなり進化した。使い捨て感覚なら国内ブランドのほうが圧倒的に品質はいいように思う。もっとも生産国は中国などではあるが・・・。
 ともかく、これは消費者にとっては大変いいことである。流通もアウトドアや登山の専門店から、冒頭のGMSなどに完全に移行した感がある。つまり、その存在が日常生活用品に近くなったということだろう。

 今年のGWも、都市近郊のキャンプ場や川原には、大きなタープやテントが張られ、バーベキューパーティが繰り広げられるに違いない。SUVに満載してきた用具類を使えば、不便な生活を体験するという、本来のアウトドアズの意味は減じるものの、快適ではある。
 ビールを飲んで、バーベキューを頬張るのもオヤジたちのストレスの解消にはいいかもしれないが、周辺部を子ども達と歩いたり、トレッキングをしたり、観察をしたりと、子どもの目線にたった行動も、スケジュールに入れておいてはいかがだろう。カロリーの消費にもいいし、少し下調べでもして予備知識を持っておくと、父親の権威も多少は向上するかも知れない。

(次回へつづく)


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■著者紹介

中村 達(なかむら とおる)
1949年京都生まれ。アウトドアコンセプター・ジャーナリスト。
NPO法人自然体験活動推進協議会理事、国際アウトドア専門学校顧問、NPO法人比良比叡自然学校常務理事、日本アウトドアジャーナリスト協会代表理事、東京アウトドアズフェスティバル総合プロデューサーなど。
生活に密着したネーチャーライフを提案している。著書に「アウトドアズマーケティングの歩き方」「アウトドアビジネスへの提言」「アウトドアズがライフスタイルになる日」など。『歩く』3部作(東映ビデオ)総監修。カラコルムラットクI、II峰登山隊に参加。日本山岳会会員。