![]() ![]() ![]() - 第161回 - 著者 中村 達
『管理釣り場のオバアサン』 この時期になると、管理釣り場に通うことが多くなる。渓流は基本的に禁漁なので管理釣り場、つまり釣堀に出かけている。関東では渓流釣り人口が関西に比べてはるかに多いので、渓流が解禁になっても管理釣り場は賑わっていると、都内の釣具店の店長に聞いたことがある。 私の事務所から車で1時間も走れば、京都と滋賀の県境にある管理釣り場に着く。いわゆる京都北山の真只中である。山中にある管理釣り場だけあって、すぐ横の渓流から水が引かれているので、気持ちのいい釣りができる。 行くと決めれば、午後2時ごろ出発し、3時には釣り場に着き、2時間ほどロッドを振って、事務所戻って8時ごろまで仕事というパターンになる。腕のほうはあまりぱっとしないのだが、この管理釣り場だとそこそこ釣れる。10月の終わりまでなら、ドライで結構出るが、冷え込めばニンフやウェットなどに替える。慣れてくれば、ある程度は勘で分かってくるのだが、最近になって受付の番台に座っているオバアサンに聞くほうが的確だと気がついた。 「今日は、どれ?」「あんまりパアッとせえへんけど、このマラブーがええ」とか、「ドライやったら、やっぱりカディスや」「この色が今日はええ」などと教えてくれる。それがみんな当たる。いつもは、朝早めに仕事場で巻いていくのだが、番台で買ったほうが釣れてしまい、私の技術の未熟さにいつも思い知ることになる。 この管理釣り場は、虹鱒、岩魚、イトウなど様々な渓流魚が放流されている。また、フライとルアーのエリアが分けられているが、人数的にはルアーが多数派だ。それに、若い人たちが多いのが特徴だろうか。また、カップルも目立つ。釣った魚は数に限りはあるが、持ち帰れることができる。若者たちのグループが、ニコニコしながら持ち帰る姿をよく見かける。管理釣り場とはいえ、釣り、つまり狩猟は人間の本能なのだと、毎回そう思ってしまうのだ。私の場合はストレスと肩こりの解消とは、いやはやである。 (次回へつづく)
■バックナンバー ■著者紹介 中村 達(なかむら とおる) 1949年京都生まれ。アウトドアプロデューサー・コンセプター。 通産省アウトドアライフデザイン研究会主査、同省アウトドアフェスタ実施検討委員などを歴任。東京アウトドアズフェスティバル総合プロデューサー。 生活に密着したネーチャーライフを提案している。著書に「アウトドアズマーケティングの歩き方」「アウトドアビジネスへの提言」「アウトドアズがライフスタイルになる日」など。『歩く』3部作(東映ビデオ)総監修。カラコルムラットクI、II峰登山隊に参加。 |