- 第149回 -  著者 中村 達


『就学支援』

 先日、知人の中学校教師からメールがきた。学校で就学支援生徒の報告があり、今年度は全生徒のおよそ30%が認定を受けたそうだ。就学支援の内容は、自治体によって多少は異なるが、経済的に困窮している家庭の児童・生徒に、学用品や通学用品の購入費、林間学校・修学旅行費、学校給食費などの援助を行うというものだ。
 その生徒数が急激に増えていることに驚いた。格差社会がはっきりしてきたのか、そもそもそう社会が顕在化してきただけなのかよく分からないが、深刻な事態に変りはない。

 日本は豊かな国だといわれていて、まず、衣食住には困らないはずだ。景気も良くなったとかで、この夏休みも何十万人という人々が海外旅行に出かける。国内のリゾート地も予約でいっぱいだと聞いた。
 もちろん、子ども達を対象とする様々な自然体験事業も数多く実施される。参加するにはそれなりの費用がかかるものも多い。宿泊を伴うものは、数万円の参加費が必要だ。
 自然体験はともかくポジティブな活動であり、子ども達の笑顔ばかりを思い浮かべてしまいがちである。就学支援を受けているような子ども達を見過ごしているのではないか。
 就学支援の受給者が激増している現実の中で、どのように対処していけばいいか、真剣に考えなければならない時代になった。
 とかく、誰でも参加できると思いこみがちな自然体験活動も、経済的な格差が影を落としてきたのではないかと危惧する。就学支援を受ける子ども達をどのように自然体験活動に参加させるか、自然学校や野外活動業界にとって大きな課題になってきたような気がする。

(次回へつづく)


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■著者紹介

中村 達(なかむら とおる)
1949年京都生まれ。アウトドアプロデューサー・コンセプター。
通産省アウトドアライフデザイン研究会主査、同省アウトドアフェスタ実施検討委員などを歴任。東京アウトドアズフェスティバル総合プロデューサー。
生活に密着したネーチャーライフを提案している。著書に「アウトドアズマーケティングの歩き方」「アウトドアビジネスへの提言」「アウトドアズがライフスタイルになる日」など。『歩く』3部作(東映ビデオ)総監修。カラコルムラットクI、II峰登山隊に参加。