- 第147回 -  著者 中村 達


『東京アウトドアズフェスティバル2006の風景論』

 池袋のサンシャインシティで東京アウトドアズフェスティバル2006が開催され、3万人を超える入場者があった。今年で同フェスティバルは12回目の開催だった。よくも12年も続けてこられたものだと、関係者の一人として少々感慨深いものがある。
 初回のフェスティバルは、オートキャンプブームの余韻と、中高年登山ブームの真っ只中だけあって、アウトドアに関する用具、ウェアなどのメーカーや、商社、キャンプ場、山小屋などが、数多く出展して大きな反響を呼んだ。自動車メーカーなどもRV車の展示のために、屋上を借り切るほど熱が入っていた。
 その後、景気の落ち込みやレジャートレンドの変化で出展者も変化し、今年は自然学校や山岳観光地などが中心だった。開催コンセプトも旅や教育、情報、それに健康などに変化してきた。
 モノから情報へ、そして自然の中での過ごし方からライフスタイルへと、開催のコンセプトも、来場者のニーズも変化してきたように感じている。
 一方、併催イベントのアウトドア用品のバーゲン会場で、入場者の消費動向を見ていると時代の様子が垣間見えてくる。今年は景気が回復してきたのか、売れ行きは上々だったようだ。そんな中で、シューズ売り場では、ウォーキングシューズが良く売れていた。特に男性、それも中高年男性が多かった。女性は機能素材のアンダーウェアや、アウター、それにレインウェアを買い求めていたのが目に付いた。また、少し大きめのパックを探す女性も多かった。こと中高年のアウトドアズでは、女性のほうが男性よりも一歩先を行っているように見えたのは、私の思い過ごしだろうか。
 ほかでは、子供用のレインウェアやパックが数多く売り出されていて、主に母親達が買い求めていた。
 バーゲン会場に足を運ぶ度に、ついつい余計なものを買ってしまい、まだまだ物欲に支配されている自分に、今年も自省しきりである。

(次回へつづく)


■バックナンバー

■著者紹介

中村 達(なかむら とおる)
1949年京都生まれ。アウトドアプロデューサー・コンセプター。
通産省アウトドアライフデザイン研究会主査、同省アウトドアフェスタ実施検討委員などを歴任。東京アウトドアズフェスティバル総合プロデューサー。
生活に密着したネーチャーライフを提案している。著書に「アウトドアズマーケティングの歩き方」「アウトドアビジネスへの提言」「アウトドアズがライフスタイルになる日」など。『歩く』3部作(東映ビデオ)総監修。カラコルムラットクI、II峰登山隊に参加。