- 第145回 -  著者 中村 達


『アウトドアジャーナリスト協会』

 先日、日本アウトドアジャーナリスト協会なる組織が立ちあがった。自然体験アウトドアズを普及・振興するには、ジャーナリズムの力が必要だというのが、この会の趣旨だ。アウトドアズや自然体験活動の必要性が叫ばれているのに、この国ではアウトドアメディアはパワー不足である。例えば、専門誌『フィールド&ストリーム』は姿を消して久しいし、『グッディ』は廃刊である。また、老舗の『OUTDOOR』は数年前に休刊になってしまっている。若者たちの自然離れ、アウトドア離れが読者離れとなってこれらの専門誌が途絶えてしまった。
 一方、ネイチャーライティングの分野はまだまだ確立されていないし、アウトドアフォトグラフも基盤は脆弱だ。そこで、若いライターや、フォトグラファーあるいは、自然環境系のデザイナーなどの表現者を発掘し、支援していこうということでこの組織ができた。
 環境ジャーナリストの岡島成行さん、山と溪谷社の節田重節さん、冒険家の九里徳泰さん、国際自然学校の佐藤初雄さん、ネイチャーライターの加藤則芳さん達10数名が発起人となって設立に至った。現在すでに100名近くの入会希望者がある。事務局は冬季オリンピックが開催された長野県白馬村観光局に設置された。いまやインターネットの時代であるし、東京に置く必然性はなく、カントリーサイドがこの協会の趣意にある。

 設立総会の翌日、白馬村マイスターの案内で栂池自然園に散策に出かけた。例年なら水芭蕉の大群落が見られるのだが、今年は残雪が3m以上もあり、自然園は大雪原と化していた。日曜日だけあって、予想以上に大勢の観光客で賑わっていた。そんな観光客の中で少ないとはいえ、ネイチャースキーを楽しんでいる若者たちの姿があった。
 残雪の上を歩くアウトドアジャーナリスト協会の面々のスタイルを見ると、ネクタイはしていないもののこの自然とはあまりにも不釣合いで、お互いに顔を見合わせて大笑いしてしまった。

■日本アウトドアジャーナリスト協会
事務局 長野県北安曇郡白馬村 白馬村観光局内
TEL 0261-72-7100 担当大谷

(次回へつづく)


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■著者紹介

中村 達(なかむら とおる)
1949年京都生まれ。アウトドアプロデューサー・コンセプター。
通産省アウトドアライフデザイン研究会主査、同省アウトドアフェスタ実施検討委員などを歴任。東京アウトドアズフェスティバル総合プロデューサー。
生活に密着したネーチャーライフを提案している。著書に「アウトドアズマーケティングの歩き方」「アウトドアビジネスへの提言」「アウトドアズがライフスタイルになる日」など。『歩く』3部作(東映ビデオ)総監修。カラコルムラットクI、II峰登山隊に参加。