- 第137回 -  著者 中村 達


『渓流釣りの解禁』

 いよいよだ。各地の渓流が解禁となる。国内の河川では、釣り人のほうが渓流魚より多いなどといわれ、すでに天然モノは非常に少なくなって大半が放流魚である。岩魚、アマゴ、虹鱒などが放流される。
 主な河川や渓流には漁業協同組合があり、これから放流がはじまる。すでに放流しているところもある。解禁日の直前、いても立ってもいられなくなり、仕事を放り出して、車で1時間ほどの距離にある、京都と滋賀の県境にある管理釣り場に出かけてきた。
 雪がたっぷり残る釣り場はかなり冷え込んだが、それでも、気分転換には十分だった。
 途中、もうすぐ解禁となる行きつけの渓流沿いを走ったが、まだまだ積雪が多く実際に出かけるのは少しあとになりそうだ。

 この前、この漁業組合からアンケート調査表が送られてきた。渓流釣りについての調査だった。愛好者の意見を聞いて、漁協の活動に反映させようということらしい。いまや、漁協もマーケティングを考えなければならない時代になった?
 「釣れない」と感想を書いたが、腕前が悪いからだと思われたかもしれない。
 昨年は、びわこで異常繁殖したカワウが、滋賀や京都北部の渓谷にまで飛来して、根こそぎ川魚を獲っていき、魚が一匹もいなくなった地域もあると聞いた。今年はどうだろう。

 これからしばらくは、暇を見つけては釣具屋に通うことになりそうだ。道具を見ていると、ついつい手が伸びて買ってしまいそうになる。昨年最後に渓流に出かけてから半年も経過しているので記憶が薄れて、ツール類やタイイング用の小物などがどの程度消耗していたかを忘れがちで、ついつい余計に買ってしまう。これも楽しみといえば楽しみではある。冬の間にしこたま買い込んだ、タイイングツールやマテリアルが、テーブルの上に山のように積まれているのだが、果たしていつ作業が出来るのやら・・・。

 川に入ると、目線が下がって景色がまるで違ってくる。また、鹿やイノシシなどの動物の足跡などはすぐに見つけられるし、川虫や羽化した水生昆虫の生態も、知らず知らずに観察してしまっている。それに、生活ゴミが多いことにも気づく。川は環境教育にもっともふさわしいフィールドなのかもしれない。

(次回へつづく)


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■著者紹介

中村 達(なかむら とおる)
1949年京都生まれ。アウトドアプロデューサー・コンセプター。
通産省アウトドアライフデザイン研究会主査、同省アウトドアフェスタ実施検討委員などを歴任。東京アウトドアズフェスティバル総合プロデューサー。
生活に密着したネーチャーライフを提案している。著書に「アウトドアズマーケティングの歩き方」「アウトドアビジネスへの提言」「アウトドアズがライフスタイルになる日」など。『歩く』3部作(東映ビデオ)総監修。カラコルムラットクI、II峰登山隊に参加。