− 第131回 −  著者 中村 達


『豪雪の正月』

 本当によく降る。私の自宅の周辺も雪で真っ白だ。気温が零度を下回ると、道路は完全に凍結する。ノーマルタイヤだと危なっかしくて、とても走れない。あわてて古くなったスタッドレスタイヤを交換に、カー用品店に出かけたが、在庫はないという。国道沿いのタイヤ店を片端から探してみたが、完全に売り切れだった。日本国中品切れだそうだ。
 ある店の店長に聞いてみると、昨年の12月からすでに売り切れのサイズが出始め、年末には、在庫が底をついたそうだ。お客は沢山来るのだが、みんな断っていて、大きな商機を逃していると嘆いた。もともとスタッドレスタイヤは季節商品だけに、暖冬にでもなって在庫を抱えると大変なことになる。だから、商売的にはむずかしいのだそうだ。

 そんな中、連休を利用して、岐阜県の白山山麓に出かけてきた。
 物凄い積雪だった。山の斜面では表層雪崩が頻繁に発生しているし、民家の屋根からは時折、ドーッという音を立てて、降り積もって氷のように硬くなった雪が崩れ落ちてくる。
 下敷きになれば、まず命の保障はない。かなり危険だ。冬山で雪崩の発生しそうな箇所を恐る恐る通過する感覚に似ている。この状態は、テレビや新聞のニュースだけでは分からない。豪雪で被害にあわれている方のご苦労は、並大抵ではないと思う。

 帰路、白川郷に立ち寄った。合掌造りのみやげ物店で、店番の老人が「雪が降るのは当たり前で、昔はもっと降ったもんだ。それより、石油がなくなったらどうするのだ。除雪や暖房のもとはみんな石油だ。もっと大事にしなければ、大変なことになる・・・」
 この寒波と豪雪は、地球の温暖化が原因だという。それが事実だとすれば、毎年こんな豪雪になるのかもしれない。エコロジカルに冬を乗り切る生活の知恵が必要になってきた。

(次回へつづく)


■バックナンバー

■著者紹介

中村 達(なかむら とおる)
1949年京都生まれ。アウトドアプロデューサー・コンセプター。
通産省アウトドアライフデザイン研究会主査、同省アウトドアフェスタ実施検討委員などを歴任。東京アウトドアズフェスティバル総合プロデューサー。
生活に密着したネーチャーライフを提案している。著書に「アウトドアズマーケティングの歩き方」「アウトドアビジネスへの提言」「アウトドアズがライフスタイルになる日」など。『歩く』3部作(東映ビデオ)総監修。カラコルムラットクI、II峰登山隊に参加。