- 第113回 -  著者 中村 達


『アウトドアズの参加人口』

 日本のアウトドア人口はどのぐらいなのか?自然体験人口は?などとよく聞かれるが、残念ながら詳しいデータはない。
 唯一まとめられているのは、『レジャー白書』(社会経済生産性本部)だが、ここに分類されているのはピクニック・ハイキング・野外散歩、登山、オートキャンプ、スキー、スノーボード、釣りといった大まかな分類しかされていない。ちなみにピクニック・ハイキング・野外散歩は、2千750万人、登山650万人、オートキャンプ660万人、スキー760万人、スノーボード430万人、釣り1千470万人となっている。これらをたすと、6千720万人で、単純にいえば国民の半数が、何らかのアウトドアアクティビティをしていることになる。

 一方、米国のアウトドア人口は、かなり詳しくカテゴライズされている(Outdoor Industry Foundation) 。まず、アウトドアズは、人力によるアウトドアアクティビティと定義されている。したがって、いわゆるゲレンデスキーやスノーボードはアウトドアズのカテゴリーには入っていない。この定義をそのまま日本にあてはめ、細かく分類していくと、参加人口は大きく減少するに違いない。

 また、パドルスポーツという大分類があって、それがカヌーイング、ラフティング、カヤッキングに中分類され、さらにカヤッキングはレクレーション、ツーリング、ホワイトウォーターなどに小分類され統計がとられている。
 また、クロスカントリー・ノルディックスキー、スノーシューイング、テレマークスキング、トレイルランニングなどという、日本ではまだまだマイナーなアウトドアアクティビティがそれぞれ数百万から1千人近い参加人口がある。トレイルランニングにいたっては4千万人というから驚かされる。
 これらをすべてあわせた人力によるアウトドア人口は、1億5千900万人だそうだ。

 アウトドア先進国の米国だけあってこの数字はさすがともいえるが、問題は経年変化の中で、カテゴリーによっては多少の凹凸はあるものの、若者たちから年配者まで、年代に関係なく多くの人々がアウトドアズを楽しんでいるということだ。過去7年間の推移を見ても6%成長しており、アウトドア人口は非常にストロングといえる。
 これに引き換え、国内では全てのアウトドアアクティビティは減少していて、特に山岳スポーツは極端な中高齢化が進み、その人口もいまでは大きく減少に転じている。
 アウトドアズだけが全てではもちろんないが、社会の元気な指標、健全なバロメーターは自然の中でいきいきと行動する人口に比例する・・・極端な仮説だろうか?

(次回へつづく)


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■著者紹介

中村 達(なかむら とおる)
1949年京都生まれ。アウトドアプロデューサー・コンセプター。
通産省アウトドアライフデザイン研究会主査、同省アウトドアフェスタ実施検討委員などを歴任。東京アウトドアズフェスティバル総合プロデューサー。
生活に密着したネーチャーライフを提案している。著書に「アウトドアズマーケティングの歩き方」「アウトドアビジネスへの提言」「アウトドアズがライフスタイルになる日」など。『歩く』3部作(東映ビデオ)総監修。カラコルムラットクI、II峰登山隊に参加。