- 第85回 -  著者 中村 達


『デジカメのマナー』

 仕事柄、山や渓流に出かけるとき、カメラは必携品である。アウトドアや海外へ出張するときには、どのカメラにしようか、どんなレンズを持っていこうかと、いつも迷ってしまう。結局はコンパクトなものになってしまうのだが、ともかく迷ってしまう。その上、最近ではデジカメの登場で、選択肢がやたらに増えて困ったものである。
 デジカメもいつの間にか5台も手元にある。半年で新しくなるので、スペックにつられて、ついつい買ってしまったのだ。

 機種によっても違うが、デジカメの寿命、正確にはスッペクの劣化なのだが、せいぜい2年だろう。数十万円する一眼デジカメでも同様だ。それを下取りに出したり、売り払っても、ほんのわずかしか手元には残らないのが普通だ。
 それに引き換え、銀塩つまりフィルムカメラは、20年経ってもバリバリの現役だし、それなりに中古品にも値段がつく。だから銀塩カメラを下取りに出して、デジカメを手に入れるというのは、なにか腑に落ちないというか、理不尽に感じるのである。

 デジカメは最近やたら画素数が多くなって、いまや500万画素が中心らしい。昨年は400万でその前は300万。3年前は200万画素だった。たしかに画素数が高くなると、プリントではきれいだが、パソコンのモニターで見る限り、200万画素もあれば事足りる。
 ところがデジカメの進歩で、やたら画素数の多い画像の写真がメールで添付されてくるようになった。重い。つねにサーバーがパンク状態で、困った状態になっている。このあたりのマナーというか、ルールはどうなっているのだろう?

 愚痴のついでだが、カメラメーカーはアウトドアに弱いような気がする。アウトドアにカメラは必需品だが、ストラップにしても、バッグでも、専用のリュックサックにも、いいのが見当たらない。カメラは世界一であっても、収納や周囲のユーティリティに関しては、なぜか遅れているように思う。
 つい先日のこと、『いいのがないんだよなぁー!』と、写真家の花畑日尚さんが私に言った。『ネイチャーフォトグラファーって、動きまわるより、じーっとしているほうが多いんだよ。じーっとしているっていうのは結構大変で、それが分からないんだろうね。』
 カメラ屋さんも、自然体験が足りないか?

(次回へつづく)


■バックナンバー

■著者紹介

中村 達(なかむら とおる)
1949年京都生まれ。アウトドアプロデューサー・コンセプター。
通産省アウトドアライフデザイン研究会主査、同省アウトドアフェスタ実施検討委員などを歴任。東京アウトドアズフェスティバル総合プロデューサー。
生活に密着したネーチャーライフを提案している。著書に「アウトドアズマーケティングの歩き方」「アウトドアビジネスへの提言」「アウトドアズがライフスタイルになる日」など。『歩く』3部作(東映ビデオ)総監修。カラコルムラットクI、II峰登山隊に参加。