  
- 第78回 - 著者 中村 達
『東京アウトドアズフェスティバルの風景』
今年も池袋のサンシャインシティで6月25日から3日間、東京アウトドアズフェスティバルを開催した。3日間で3万人近くの人たちの入場があった。中でも池袋周辺の小学校が総合学習の授業の一環として、多くの児童が参加してくれた。
東京アウトドアズフェスティバルは、今年で10回目の開催であったが、その間バブルの崩壊と景気の悪化で、規模の縮小を余儀なくされたり、出展者が入れ替わるなど、紆余曲折もあったが、ここにきて風向きが変わってきた。景気の好転もあるのだろうが、来場者層が変化してきている。一時は中高年の登山ファンが中心であったが、昨年あたりから年齢がやや若返りの傾向を見せ始めている。今年はそれがさらに顕著になって、ファミリーや若者たちの姿が多くなった。それに若い女性の姿も目立ってきた。
一方で、別会場に設けられたアウトドア用品の販売会場では、カテゴリーとしては中高年だが、いわゆる団塊の世代のオヤジたちが、せっせと好みのギアを買い求めている姿が、大変印象的であった。売り上げも過去最高だと聞いた。
アウトドアズも、消費動向を見ると、その時代のトレンドをうかがい知ることができると思う。今年は、トレッキングシューズやウォーキングシューズのコーナーに、オヤジたちの姿が多く見られた。靴はアウトドアの基本である。一般的に中高年登山者の用品ライフサイクルは、かなり長い。だから買い替えはなかなか進まない。誤解を恐れずに言うと、これから山登りやトレッキングを始めようか、あるいは、昔やっていて、ようやく時間ができたので、再開してみようと思い始めたオヤジたちなのだろう。そんなオヤジたちの姿が多かった。
そういえば、先日、久しぶりに今日と北山の貴船山に歩きに行ったのだが、そこで出会ったグループは、すべてこの世代のオヤジたちばかりだった。出会った10数のグループは、すべてオヤジたちが中心だった。なんとなく、これからはじめる、いまはじめたばかりのオヤジたちのように思えた。
一方、ベテラン域に入ってきた、オバサンや女性たちは、機能素材が使われたアンダーウェアや、2つ目のリュックサックとして、容量が35リットル前後のものを選んでいる姿が、印象に残った。
中高年登山者から女性そして団塊の世代のオヤジたち。そんなトレンドの中で、子供たちの自然体験がコラボレーションしていく。こんな風が吹いてきた。
(次回へつづく)
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■著者紹介
中村 達(なかむら とおる)
1949年京都生まれ。アウトドアプロデューサー・コンセプター。
通産省アウトドアライフデザイン研究会主査、同省アウトドアフェスタ実施検討委員などを歴任。東京アウトドアズフェスティバル総合プロデューサー。
生活に密着したネーチャーライフを提案している。著書に「アウトドアズマーケティングの歩き方」「アウトドアビジネスへの提言」「アウトドアズがライフスタイルになる日」など。『歩く』3部作(東映ビデオ)総監修。カラコルムラットクI、II峰登山隊に参加。
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