- 第47回 -  著者 中村 達


『立山登山』

立山は大混雑
 やっと梅雨が明けたので、家族と家内の友人夫婦で、立山に登って来た。8月の初旬の土日曜日となれば、さすがに大勢の登山客でにぎわっていた。主峰の雄山への登山路は、順番待ちをしなければならないほど混み合っていた。
 家族連れも目立ったが、やはり圧倒的に中高年登山者の団体が多かった。登山客をよーく観察していると、小学生の姿も、少ないながら散見できた。学校の先生に連れられた地元小学校の児童たちの元気な集団にも出会った。(写真)こういう子どもたちの姿を見ると、ホッとする。

学校登山で遭難事故が発生 
 今年の夏は、学校の集団登山で登っていた児童が、山頂から足を滑らせて、500mも落下するという遭難事故があった。そのため、そのあと集団登山を予定した一部の学校は、登山をせずに、登山基地の室堂あたりの散策に計画を変更したと聞いた。
 事故の経緯は知らないが、この種の事故が起こるたびに、自然体験活動が中止となったり、計画の変更が余儀なくされるのだ。すぐに責任が云々される昨今だから、わからなくもないが、山は基本的に危険なところである。だから危険を少しでも減らすために、入念な計画をするわけだし、装備や予備の食料も持っていく。それでも100%安全などというのはありえない。
 なぜ、事故が起こったかなどについてはは、詳細な検証が必要である。そして、その教訓を生かし、今後の参考にして、諦めずに学校の登山を続けてほしいと願う。

中高年登山者の速いスピード
 今回の立山登山でも、中高年登山客の様々な姿を目にした。まず、登るスピードが、一様に速い。ものすごく速い。息を切らして、ぜいぜい言いながら登って、楽しいのだろうか?景色を楽しむ余裕はあるのだろうか?私のパーティなどは、いつも追い越されがちだ。こちらは、ゆっくりゆっくり、できるだけ息が切れないように登っていくので、ペースはかなり遅い。それでも、山頂には結局早く着いてしまっていることが多い。ゆっくり歩いているので、あまり休む必要がないからだ。気がつけば、途中で追い越されてしまったパーティを、彼らが休んでいる間に追い越してしまっている。

お粗末な装備
 次に、装備がお粗末な人がやたら目立つ。天気がよければなんでもないのだが、一旦雨でも降り出せば、気温は急激に下がる。タウンカジュアルにファッションバッグという人達も、相変わらず多い。もちろん地図を見ている人は、少なくとも私の見た範囲では、一人もいなかった。

 また、縦走路で道を尋ねてくる人の多いのにも戸惑った。いずれも、どのコースを通ればいいのか、という問いだったが、・・・。
 雄山の狭い山頂部では、小さな子ども連れの父親らしき人が、お湯を沸かして昼食の準備をしていた。崖っぷちで、その子がうろうろしているので、気がかりで仕方なかった。足を踏み外せば間違いなくアウトだ。

マナーの悪さは相変わらず
 登山道では、原則として上り優先だが、そんなことにお構いなく、平気で細い登山道を降りてくる中高年者の多いことに、今回も怒りを通り越して、諦めに似た心境になった。
 だから、子どものころからしっかりした自然体験の指導をしないといけない。自然の中で活動するすばらしさと、そのためのマナーなどは、子ども時代の教育に尽きるような気がする。  
 立ち入り禁止の看板があるのに、平気でロープの中に入って写真を撮るオバサンたちに、今回も幾度となく、お目にかかった。

 そんなこんなの雑感はあるものの、登山のすばらしさは、それらを差し引いても余りあるからやめられない。下山コースは、登山者がほとんどいない道をとった。きれいな高山植物が咲き乱れた、静かなコースだった。山にいる実感が、はじめて沸いてきた。

(次回へつづく)


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■著者紹介

中村 達(なかむら とおる)
1949年京都生まれ。アウトドアプロデューサー・コンセプター。
通産省アウトドアライフデザイン研究会主査、同省アウトドアフェスタ実施検討委員などを歴任。東京アウトドアズフェスティバル総合プロデューサー。
生活に密着したネーチャーライフを提案している。著書に「アウトドアズマーケティングの歩き方」「アウトドアビジネスへの提言」「アウトドアズがライフスタイルになる日」など。『歩く』3部作(東映ビデオ)総監修。カラコルムラットクI、II峰登山隊に参加。