- 第43回 -  著者 中村 達


『東京アウトドアズフェスティバル2003』

 この20日から22日まで、池袋サンシャインシティで東京アウトドアズフェスティバル2003(以下TOF)を開催した。このイベントは1995年から毎年開催しているもので、今年で9回目になる。その間、テーマやコンセプトは大きく変化してきた。当然来場者も属性が異なってきている。ファミリーから中高年へ移った来場者の中心ゾーンは、再びファミリーや子どもたちに戻りつつある。今年は3日間で、およそ25000人の参加者があった。

 TOF開催の当初は、ときあたかもアウトドアバブルの絶頂期で、数多くのアウトドアメーカーをはじめ、自動車メーカーや家電、コンピュータ、食品、など多彩な産業が出展し、オートキャンプや登山といったものがコンセプトだった。
 その後、経済の悪化や世代の交代で、モノから情報やソフトへ大きく様変わりをした。
 テーマも遊びから教育へ、レジャーからライフスタイルへ、開発から環境保護へとそれぞれ変わりつつある。

 モノは世の中にあふれ、インターネットなどの通信手段で、目的にあったものを的確に入手できるようになったので、展示やイベントで開示するような意味が薄くなってきた。とくにアウトドアズの分野ではそうだ。モノの展示は少なくなり、自然学校や全国各地のフィールドなどの情報や、そこが持つ多様なソフトを、いかに提示するかが主題になってきた。その結果、この分野だけで、今回は50以上の自然体験活動団体や、アウトドア機関の出展参加があった。

 さて、今年は昨年のコンセプト、『自然体験』をさらに具体的なかたちにして、CONE加盟(自然体験活動推進協議会)のNPOやNGOの方々に参加しもらい、子どもたちに直接指導をしていただいた。開催日初日には地元池袋の小学校が、総合学習の授業の一環として参加してくれた。また、教職員の来場者も多くなり、『来年は私の学校もつれてきます』という声を聞いた。

 いま、日本のアウトドアズは大きな変換期を迎えている。従来型のアウトドアズは、すでに終焉しつつあり、子どもたちの教育からはじまる、ライフスタイル型のものとして広まっていく可能性を私は感じている。
 TOFのイベントとしては、やや地味になったかと思うが、何よりも子どもたちが参加できるかたちになったことで、参加型の意義がでてきたようだ。
 この時代、この種の催事を継続していくのは、本当に大変だが、関係者の熱意がそれを動かしている。

(次回へつづく)


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■著者紹介

中村 達(なかむら とおる)
1949年京都生まれ。アウトドアプロデューサー・コンセプター。
通産省アウトドアライフデザイン研究会主査、同省アウトドアフェスタ実施検討委員などを歴任。東京アウトドアズフェスティバル総合プロデューサー。
生活に密着したネーチャーライフを提案している。著書に「アウトドアズマーケティングの歩き方」「アウトドアビジネスへの提言」「アウトドアズがライフスタイルになる日」など。『歩く』3部作(東映ビデオ)総監修。カラコルムラットクI、II峰登山隊に参加。