- 第34回 -  著者 中村 達


「自然体験.COMは、はや1年」

 学校の完全週5日制が実施され、総合学習の中で自然体験活動が奨励義務となって、1年が経過しようとしている。そして、おかげさまで、この「自然体験.COM」も1周年をむかえる。
 わたしたちは、どちらかというとこの業界にいるので、熱が入っているわけだが、世間はまだ、それほど関心がないだろうと思っていた。盛り上がっている状態ではないと承知している。
 しかし、最近になって、ラジオのFM局から、自然体験にいいフィールドなどというDJの声が流れたりして、ビックリすることがある。
 また、来年度は多くの省庁で、自然体験活動に関する施策が実施される。国土交通省の川の学校や、農水省の新グリーンツーリズム、林野庁の森の学校などもおもしろそうだ。
 国土交通省は、学校の河川に関する授業や取り組みに、補助金を拠出している。自然体験学習の予算がない小学校などは、申請すればいいと思う。1校あたり、10万円だと聞いた。
 このトム・ソーヤー企画コンテストもあるし、国の機関のホームページを丹念に調べていけば、支援事業はそれなり見つけることができる。その気になって探してみればいいのではないか。

川の団体は4000もある?
 先日知ったことだが、国内に川に関する団体は、およそ4000もあるそうだ。環境保護団体から水辺で遊ぶ地域コミュニティまで、活動の内容はともかく本当に多い。自然学校だって、以前約1000校あるとこのコラムに書いたが、最新の情報では2000校はあるらしい。質や程度の問題はさておくとしても、急激に増えているのは確かなようだ。
 知人の子息が大学を出たあと、自然学校をやってみたいというので、相談に来た。まずは体験したほうがいいと、アドバイスをした。そこで彼は、田貫湖で開催されたセミナーに参加した。セミナーから帰ってきた彼からメールがはいった。参加してよかった、と元気なメールだった。こんな若者たちが増えてくるけはいを感じる。

自然体験で再生を
 先週、わたしも代表委員をしている、自然体験活動とアウトドアズ産業の勉強会が東京であった。この2年間で1100名を超える参加があり、広範囲なネットワークができつつある。今回の会議も100名以上の関係者が集まった。自然体験やアウトドア活動を、どのようにして活性化させればいいのか、参加者はそれぞれ知恵を絞っている。そんな彼らは元気だった。
 不景気な世の中だが、自然体験が活発になれば、再生はあるとそう信じている。

(次回へつづく)


■バックナンバー

■著者紹介

中村 達(なかむら とおる)
1949年京都生まれ。アウトドアプロデューサー・コンセプター。
通産省アウトドアライフデザイン研究会主査、同省アウトドアフェスタ実施検討委員などを歴任。東京アウトドアズフェスティバル総合プロデューサー。
生活に密着したネーチャーライフを提案している。著書に「アウトドアズマーケティングの歩き方」「アウトドアビジネスへの提言」「アウトドアズがライフスタイルになる日」など。『歩く』3部作(東映ビデオ)総監修。カラコルムラットクI、II峰登山隊に参加。