杉原 五雄


 いよいよ夏休み、自然体験活動が一番活発になる季節を迎える。木陰でのんびり語り合う一時や、テントでの一夜素晴らしい思い出ができるのもキャンプ生活の醍醐味、また昆虫採集や星の観察なども大人も子どもも楽しみにしていると思うが、一番の大敵は『蚊の襲来』ではないだろうか。
 そこで、私が偶然見つけた『蚊除けの特効薬』を紹介してみようと思う。『ほんとかなあ、そんなものがあるなんて信じられない・・・』という声が聞こえそうだが、まあ、話を聞いてほしい。そしてまずは試してほしいと思っている。

フィリピンで体験
 昨年、フィリピンのネグロス島へ養蚕の指導の視察に出かけ、そこで繭の煮汁がかゆみ止めに効くことを教えられた。蚊が多い国なので何度も蚊に刺されたが、その都度この繭の煮汁を塗ると短時間でかゆみが止まる不思議さに驚いたものである。
 蚊に刺されたかゆみを止めるのなら、衣服との摩擦による蒸れのかゆみや汗疹などにも聞くのではないかと、帰国して見よう見まねで作り、知人に配りいろいろ試してもらうと確かに、不思議だが効果があるという声が返ってくる。これはひょっとして、皮膚に悩みを持つ人にとって福音になるのではと思い、図書館に通ったりインターネットで調べてみたら、『繭の化粧水』というものが昔から存在していることも知った。つい4、50年程前までは田舎ではどの家庭でも蚕を大量に飼育していたが、糸を紡いでいた人たちのほとんどが、手先がきれいだった事実も地方に出かけた時のお年寄りの話でわかった。
 改めてフィリピンでの光景を思い出してみると、5人以上子どもを産み育てて、繭から糸を紡いでいるフィリピンの婦人たちも手先が異様にきれいだったことも、繭の持つ力だと感心する。

シルクローションと命名
 これは多くの人に知ってもらう必要がある。言いふらしをすることは私にとって究極のボランティアだと思い、100円ショップで容器を大量に買い込み『シルクローション』と名づけて『肌に優しいから使ってみては・・・』と講演の度や、知人友人との会合などで配り歩いている。その効果が現れて、現在ではかなり使う人が増えてきた。
 それから約半年・・・。
 自然大好きな私であるが、連休を過ぎたころから野山を歩く時に絶対に欠かせないものが二つある。一つは『携帯蚊とり線香』そしてもう一つは、出かける前に肌に振りかける『防虫スプレー』である。そして長袖で首にタオルというスタイルで、雑木林を散策する毎日であったが、今年はちょっと様子が変・・・なのだ。
 連休前からはじめている蚕の飼育のため、毎日、朝夕桑の葉を取りに行っているが、今年は不思議なことに蚊に刺されることが全くない。そのことを別段気にしていたわけではないが、連休が過ぎてある日『あれ変だな、去年まではこの時期には蚊に悩まされていたのに・・・』とつぶやくと、家内が『そういえば変ね。私も今年は庭で草抜きをしていても刺されないのはなぜ?・・・。ひょっとしたらあれのせい・・・。』と応える。

蚊よけの特効薬?
 どうやら体質が変わったらしい、というより蚊に嫌われる物質のようなものが身体から発しているようだ。去年と違うことは、たった一つしか思い当たらない。それはシルクローションである。肌の悩みを持つ人に広めるために配布して、多くの方から喜ばれているのだが、蚊の特効薬となると、これはとんでもない朗報・・・。
  当初は顔だけであったが、今年に入ってはお風呂上がりには全身に刷り込み、朝夕はヘアーローションとして髪の毛にも使っているほど・・・。化粧水とかヘアートニックなどの市販品のものなどは一切使わず、全てこのシルクローション一本。家内もそれに近い。
 このお蔭だろうが、どうやら蚊が嫌がる物質が肌から発散するようになっているらしい。戸外で蚊が寄ってこない、蚊に嫌われることがいかに快適だということを実感している。去年までは、庭にでるのにも網戸の開け閉めには細心の注意を払い、蚊を家の仲に入れないようにしていたものだが、蚊に刺されないとこんなことなど全く気にならなくなる。部屋の中で蚊が飛んでいてもおおらかなもの・・・。

 自信ができた今では、桑の葉を取りにいくのにも、また雑木林を散策するのにもTシャツで十分、ブンブン蚊は飛んでいて、ズボンなどにはとまるのだが直接肌を刺すことはない。嘘のような話だが、今年になって蚊に刺されたことは一度あるかないか。
 薬局やスーパーには、防虫スプレーなどが並んでいるが、全て化学物質によって蚊を撃退する薬品。去年までは自分が野外に出る時は体中振りかけていたのに、若いママ達は平気で赤ちゃんに振りかけて、乳母車に乗せて外出して本当に大丈夫なのだろうかと心配になってしまうのも、蚊に嫌がられているという余裕がそうさせるのかも知れない。

 シルクローションは『蚊除けの特効薬』と宣伝するときっと、間違いなく薬事法違反になりかねないが、『信じるか信じないかは別にして』蚊に刺されやすい方は一度悩みの試して見る価値があるのではないだろうか。
 特に野外活動が大好きな皆さん方にはぜひ奨めたいと思い、久しぶりでこのサイトに投稿してみた。繭の煮汁が蚊除けになるのなら、野外活動がもっともっと楽しくなるのではないだろうか。



■著者紹介

杉原 五雄
120自然田舎塾 代表、ネイチャーエバンジェリスト
1943年京都生まれ。横浜国大卒 元渋谷区立中幡小学校校長 校長経験3校12年
どんぐりを発芽させた苗による森創りと生活体験を実践し、高い評価をうける。著書に『ドングリ校長の自然塾』(山と溪谷社)『畑と英語とコンピュ-タ』(透土社・丸善)などがある。
http://homepage3.nifty.com/120donguri/main.htm