![]() 4月号 著者 荻野 嘉美
(「おにぎり荻野先生の大雨河自然体験通信」) 1.大雨河小学校のプロフィールと自然体験活動への構想 (「学ぶ喜びが生まれる体当たりのふるさと総合学習−自然のふところにいだかれた小さな学校の大きな冒険−」) 大雨河小学校は、愛知県三河山間部、山と川と田んぼに囲まれた、豊かな自然の中にある全校児童10名(複式3学級)の小さな学校です。夢とロマンあふれるあたたかい家庭的な雰囲気に満ちた「楽校」なのです。 「学ぶ喜びが生まれる楽しくてやりがいのある授業」「わくわくして行きたくなるような明日の喜びが生まれる夢のある学校」を創ろうと「学ぶ喜びが生まれる体当たりのふるさと総合学習」(共育ち総合学習)に、みんなで楽しみながら取り組んでいるのです。 ふるさと大雨河の自然と社会と、人間のすべてが学びの場です。地域は、ふるさと総合学習、とりわけ自然体験活動の学びの種の宝庫なのです。 (1)ふるさと大雨河の山と川と田んぼなど豊かな自然とのふれあい (田んぼでどろんこになり、田んぼの生き物の世界に体当たりした追究、林業体験と本格的な炭焼きがまでの炭焼き体験、田んぼや畑や川の生き物などをつかまえ飼育し観察する、川の生き物調べ等々こどもエコクラブの活動) (2)ふるさと大雨河の社会や歴史、文化、人間とのふれあい (ケーキを材料から手作りし、沖縄石垣島からサトウキビから、黒砂糖を作るのを教えに大雨河の地まで来てくれた人とのつながりが生まれたケーキ作り、手作りのカレー作りに挑戦、地域で今も生きている山水の追究、こだわりの豆腐作り、雨山六人衆や雨山合戦の歴史、猪垣の追究等々) (3)体当たりして夢中になれる活動 (忍者の活動、赤土をつき固めての本格的な自然の池作り、みつわ古墳の造営活動、物見やぐら、間伐材を使った「大雨河ログハウス公園づくり」、本格的な木組みの水輪と精米小屋を持つ「ふるさとひょうたん水車造り」等々) 子どもたちの思いや願いを基に、子どもと共に地域のモノやコトや人に、とことん体当たりの追究をしていくことで、次から次へと思わぬ学びのドラマが生まれたり、人とのつながりが生まれたりして、大変だけどみんな本当に楽しくて仕方がないのです。 そんな私たちの子どもたちとの学びと成長の記録は、『ふるさと総合学習 小さな学校の大きな冒険』(農文協・定価1700円)という素敵な本になっています。こんな大雨河小学校のふるさと総合学習から、自然体験活動を軸に発信していきたいと思います。ここから交流の輪が広がれば幸いです。 2.大雨河発・自然体験通信・旬の話題 (「春の散歩に出かけよう!忍者村近くの田んぼで交尾中のヒキガエル発見!」) 「おにぎり先生、久しぶりに忍者村に探険に行こうよ!」春まだ浅い3月12日、子どもたちと忍者村(トム・ソーヤスクール企画コンテストで準グランプリをいただいた『夢と冒険の忍者キャンプ』で、忍者修行を行った学校前のヒノキ林)に出かけました。 「梅の花も満開だね。」「本当だ!いいにおい。」「花も食べられるかなあ。」「おにぎり先生、ロープをつたわってここまでのぼれたよ!」(忍者修行で使ったロープ木登りに挑戦しながら)「ぼくもやってみる。」「すごいなあ!忍者修行の成果が現れてるなあ!」 「猪垣(ししがき・猪鹿の害から田んぼを守るために、江戸時代の農民が田んぼを囲むように築いた石垣)の方にも行ってみるよ。」「あれっ、田んぼに変なものがある!」「あっ、ヒキガエルの卵だ。」「寒天みたい。」「さわると変な感触!」「でも、さわるとにゅるにゅるして楽しいよ。」「(卵塊を)持ち上げると切れちゃう。」「この黒いのがヒキガエルの卵だよね。下の方が白いぞ。」 「ああ、こっち(用水路の中)にも、卵があるよ!」「こっちにもある!」「どえらい、いっぱいあるねえ。」「どうしてこんなにいろいろな所に産んであるのかなあ。」「500個とか600個ぐらい卵がありそう。いや、もっとだ!」と子どもたちはヒキガエルの卵を夢中で探していきます。 早速、学校に帰って、図書室と「おにぎり文庫」の本を探して読みました。『カエルたんじょう』(種村ひろし著・あかね書房)、『ひきがえる』(三芳悌吉著・福音館)『日本のカエル+サンショウウオ類』(松橋俊光・奥山風太郎著・山と渓谷社)などの本を、子どもと開いて読んでいきます。 春まだ浅い冬の終わりのあたたかいころに、冬眠からさめたヒキガエルは、産卵をすますとまた寝床にもどって、春が来て本当にあたたかくなるまで、もう一度眠ること。1匹のヒキガエルから生み出されたひもをつなぐと、30メートルにもなること。約8000個もの卵が包まれていることなど、自分たちの知らない世界があることが分かってきます。目で見て、体で感じてきた身近な自然の現実の世界と、本の世界とがお互いに結びつき、子どもの中でつながり広がっていく、とてもうれしいひとときです。 お気に入りの場所を見つけるところから、自然体験活動の第一歩を始めよう 春の先駆けと、いのちの誕生を感じた子どもとのヒキガエル発見でした。春先の野山は、生き物のいのちが、ぐんぐん芽吹いていきます。子どもと一緒に、学校近くの田んぼへ畑へ、裏山へと足を運んで出かけたいものです。 日に日に温かくなり、つくしも顔を出します。田んぼのあぜ道では、タンポポやオイヌノフグリも花を咲かせています。 4月は、季節がめぐるのを感じて、いのちの営みを始める生き物と同じように、子どもたちにとっても先生にとっても、自分の新天地を切り開くときです。 子どもとともに歩く、学校近くの散歩や探険から、「今年は、こんなことをやってみよう!」という新しい学年での追究を思い描くことで、自然体験の豊かな構想が生まれてくるのです。 子どもも先生もお気に入りの場所(何度も足を運び、いつも何か新しい発見があり楽しめる自分たちの足場となるフィールド)を見つけるところから、自然体験活動の第一歩を始めましょう。 大雨河の自然体験活動は、里山の自然にどっぷりとひたることを基本にしています。自然とふれあうことで、(1)五感を働かせ、体全体を使って感じていく(2)土とふれることで心を耕し、子どもの心に学びの種を蒔く(3)奥深い世界を感じ、問いかけながら、考えていく、(4)子ども同士が学び合い共感し合う、こんな豊かな学びの世界を創り出すのが、大雨河小学校の自然体験学習の構想です。 「じっくり、とことん、一歩奥深く、つながりを感じて楽しみながら、子どもとともに取り組む」これが、大雨河小学校の自然体験活動のプログラムの根底を流れる考え方なのです。 ■バックナンバー ふるさと大雨河の山と川と田んぼがぼくらの『楽校』 4月号■著者紹介 荻野 嘉美(おぎの よしみ) 愛知県・額田町立大雨河小学校勤務 |