~自活力を高める無人島体験研修~ 日清食品(株)人事部課長 大熊 祐司


社長を講師に無人島へ
 日清食品(株)は、平成15年8月26~28日、兵庫県家島諸島の太島(ふとんじま)において、新任管理職を対象に「自活力を高める無人島体験研修」を行いました。
 当日は講師を務める安藤宏基社長を筆頭に、今年の新任管理職が8名、事務局も入れて計12名が雨脚の強くなった姫路港の埠頭に集合し、無人島に渡りました。

携帯電話、タバコは没収
 研修のテーマは「負けず嫌いの骨太管理職の育成」であり、(1)他人に頼らずに一人一人が自立して生きていく能力(自活力)を磨き、(2)何もない自然の中で、即席麺の価値を再認識し、新たな食シーンの可能性を探る事を目的としました。島への持込みの物資も衣類以外は最低必要限の水や、米、パン用小麦粉、そしてチキンラーメンといった食料のみ。密かに持ち込まれようとしていた携帯電話、タバコ、ライター等は、事前の検査で全て没収することができました。

まずは、活動基地を設営
 島に着いて最初の作業は、ベースキャンプ地への物資搬入及びテントの設営でした。このテントは、非常事態発生時の対応を目的としたものです。その後、参加者12名を4名毎の3チームに分け、島内を探索してチームごとの活動基地を設営しました。
 シートやロープ、木を使って寝床となる小屋を工夫し、また、生活に必須である炊事用のかまどやトイレを作りました。次に竹を割って調理の際の鍋と食器と箸にしました。竹は調理器にもなり、食器にもなり、燃やす燃料にもなるので大変重宝しました。

火おこしで苦労して、チキンラーメンで至福とき
 難関は火おこし棒を使って火種を作り、おがくずや古新聞に火を移すことでした。夕刻になり、折りからの雨も土砂降りで、火種は出来ても炎がおきません。シート掛けの小屋の下で大雨を凌ぎながらなんとか火をおこし、竹の鍋で湯を沸かし、ようやくチキンラーメンを食べることが出来た時は、まさに至福の瞬間でした。日清食品の企業理念である「食足世平」を、身をもって体験したというわけです。

海に潜って現地調達
 翌日の朝は、小麦粉を練ってパン生地をつくり、細く切った竹に巻付け、火であぶり、ねじりパンを作りました。また、海に潜り、小魚をヤスで突いたり、サザエやウニの調達にも挑戦しました。体がベタベタして困っている時、メンバーの一人が岩場に溜まっている水を見つけ、舐めてみて真水であることを発見し、シャワー代わりに皆で頭から水をかぶりました。最終日には3日間滞在した島の美化運動にも取り組み、浜に流され散乱していた空き缶やペットボトルを全員で収集しました。

自分を見つめ直す機会に
 今回の研修は、何もない無人島でしか体験できない、即席麺の美味しさ、便利さをあらためて認識する場となりました。それは、新任管理職がこれから仕事をしていく上で、自社商品への強い自信となるに違いありません。また、自分で考え創意工夫する事の重要さや、先を見通した上で判断し、行動することの大切さを、自分の肌で実感する貴重な体験となりました。「無人島サバイバル研修」といった名前でマスコミにも大きく取り上げられ、注目されましたが、参加者は真剣にプログラムに取り組み、改めて自分自身を見つめ直す機会にすることができました。