『私のファミリー登山感』神奈川県 北本 政嗣

3歳で金時山登山
 いまでこそ、穂高岳といった、大人でもちょっと気が引ける山に登るようになりましたが、家族で本格的な高山を登るようになったのは、昨年の夏に行った「乗鞍岳」がきっかけです。

 そもそも我が家は、南足柄市という関東の外れに位置した所で、富士山や丹沢山、金時山、明神ヶ岳などが目前に迫って見える場所で、子供達が3歳になった頃から、毎年GWには、金時山か明神ヶ岳に、日帰りハイキングを楽しんでいました。
 ただ、その頃は年に一回、年中行事的な感じで、頂上から富士山がキレイに見えるといいなぁ、位の気持ちで、嫌がる子供達を連れて、登っていたように記憶しています。

 家が田舎にあるせいもあって、山や川などの自然には、小さい時分から親しんでおり、山に行くと、虫を見つけたり、木の枝で戦いごっこをしたり、石拾いしたり、勝手に遊びを見つけて二人ではしゃいでいます。
 外に連れ出すと子供って、遊びの天才だなとつくづく感じます。

乗鞍岳でパノラマに魅了
 さて、昨年、初めて登った(?)乗鞍岳は、天候に恵まれ、当時は、山の名前も殆ど知らなかった私ですら、槍ヶ岳・穂高が見え、360。パノラマに魅了されました。

 その数日後に八ヶ岳の赤岳に、ファミリー登山し、そこでまた360。パノラマを見てしまい、すっかり虜になってしまったのです。
 赤岳は赤岳鉱泉から、地蔵尾根をルートに登頂したのですが、地蔵尾根では、急速な高度感に子供がびびってしまい、途中の赤岳展望小屋で、横になって休息、その後も中岳のコルで、腹痛でうずくまるというハプニングが続発しましたが、なんとか登り切って下山しました。

 更にその後、8月の終わりに南アルプスの仙丈ヶ岳に登り、これまた天候に恵まれ、360。
 パノラマを目の当たりにして、山から逃れられない身となりました。

景色がきれいな場所まで頑張ろう
 経歴はこれくらいにして、私のファミリー登山感ですが、家族の絆が深まるということに尽きます。特に高山は、大人でも登るのが辛い山を、子供にも荷物を背負わせて登るので、子供達は必ず途中で嫌がって、帰りたいと云います。
 ここからがファミリー登山の真骨頂です。親も辛いけど、子供を自分たちで歩かせなくてはならない、いかに子供達に、モチベーションを持たせ続けるか。お菓子食べる?もうちょっと行くと滝があるよ!景色がきれいな場所まで頑張ろう!など
 でも、不機嫌になって、立ち上がらないと、つい先に行っちゃうよ!と捨てぜりふ的な行動をとろうとしたりすることも・・・。要は親と子供のコミュニケーションが、絶対不可欠なのが、ファミリー登山だと思っています。

穂高岳登山を学校で自慢
 子供達は、途中でしんどい思いをして、もう二度と山には登らない、と云いますが、やはりパノラマ風景を見ると、気持ちがよいのは大人と一緒だし、高い山を征服したという気持ちも、大人と一緒なんですね。
 息子は、穂高に行ったことを、学校で自慢しようと息巻いていましたし、次は北岳に登りたい!間ノ岳も、農鳥岳も行きたい、と口では大人顔負けのことを言っています。

 先日の穂高は、下りが雨となったのですが、実は、初めての雨中登山(下山?) だったのです。子供達の雨具は財布の都合で、ポンチョだったので、直前まで大丈夫かと心配したのですが、親の心配に反し、川のような水が流れる登山道を、バシャバシャいわせながら結局、何の問題もなく、下りきりました。
 下りだからよかったのかも知れませんが、雨の中を歩くということも体験し、親子で自信が深まりました。(勿論、無理は禁物ですが)
 何事も体験して初めて分かるものですが、山登りは親も子供も一緒に人生の勉強しているという実感がもてます。

子どもの目線だからこそ発見がある
 それと、視線の低い子供達は、道端のキノコや小さな虫、花をよく見つけるんですよ。
 つまり沢山の発見をする。それも、大人よりも子供達が先に。これが子供にとって、お父さんお母さんが、知らないことを自分が先に見つけたんだという、自信になっていると思うんです。山は、普段の生活では絶対味わえないよさを、いつも実感します。

 山には子供が少ないのは、事実だと思います。一方で、年輩者(特に女性)が多いのも実感します。でも、その年輩者にとっては、ちょうど我が家の子供達が、孫くらいの年なので、見かけるとつい、子供に声を掛けたくなるのでしょう。
 子供達にしても、お菓子を貰えたり、しんどい所で励ましをもらう等、まんざらでもない様子で、現在の山のシチュエーションを享受しています。
 こうなると、親も嬉しくなり、ついまた、ファミリーで行こうと思ってしまうのです。
 つまり好循環ですね!? 山に年輩者がいなくなって、昔みたいに山男だけだと、ファミリー登山も、成り立たないのかも知れません。

みんなにすすめようファミリー登山
 最後になりますが、こんな有意義なファミリー登山を、周りの家庭にも勧めるのですが、なかなか乗ってきません。やはり、辛いことには人間逃げたがるのでしょうか?

 山登りは自分の体力のバロメータですよ!家族と行ってみて下さい。
 先ずは金時山からどうですか?足柄峠からなら1時間で行けますよ!いまも職場メンバーや友人に声を掛け続けています。