![]() ![]() ![]() 第69回「京都ロケとインバウンド観光②」 著者 村田 浩道
いよいよ京都ロケが始まった。今回はスタッフ総勢7名である。全員京極寺町のビジネスホテルに宿をとり10日間のロケである。収録しながら昨今のインバウンド事情にも触れる良い機会だった。観光ガイドブックに載るスポットには想像以上の観光客である。四条通り、東大路通り、祇園周辺は凄まじい。それこそ歩く隙間すらないほど人であふれている。 京都で民泊を経営する知合いの経営者が、30棟ほど運営しているが、全てフル回転と言っていた状況がよくわかる。宿泊、飲食、お土産とそれに関する波及効果たるや凄い額になるだろう。私も今回のロケで銀閣寺近くの哲学の道を歩いたが、世界中の人種が居るんじゃないかと思うほど多国籍であった。 そりゃもう何でも売れそうな雰囲気で、銀閣寺参道に空き賃貸物件があったので、ロケスタッフ皆でたこ焼き屋でも出そうかと相談したぐらいである。(笑)しかも毎日あれだけの外国人と接していると、だれでも英語は達者になるらしく、入った蕎麦屋では、腰の曲がったお婆ちゃんもしっかり英語で接客していた。 反面であるが、オーバーツーリズムともいわれている状況にも遭遇する。当然ではあるが、観光地にも人々の生活はある。歴史ある街並みには人々の普段の生活があることも観光客には魅力であるから、観光地周辺が住みにくくなれば人々が離れ、その土地のオリジナルな生活文化の匂いが消えてしまい魅力が減退することになりそうだ。 観光と土地の人々の生活は世界中の課題だろう。今ガイドブックを賑わす観光地だけでなく、もっともっとディープな日本の良い場所を知らせていく必要がありそうだ。 JAPAN TRAILをハイクすれば日本の魅力がもっと見えてくる。私たちも歩き体験して世界に広げたいと、京都の観光事情を目の当たりに考えた10日間だった。 ことさらにオーバーツーリズムを感じたのはロケ後の夕食場所がどこも満員で、毎日夕食迷子になることであった。 ■バックナンバー ■著者紹介 村田 浩道(むらた ひろみち) 日本山岳ガイド協会認定ガイド、トレイルコーディネーター NPO法人日本ロングトレイル協会理事・事務局長、NPO法人高島トレイルクラブ理事ほか。 高島トレイルをはじめ、全国のトレイル活性化事業にたずさわり、ロングトレイルとビジネスをテーマに活動している。また、禅宗僧侶として、禅と登山についての考察も日々おこなっている。 |