第40回 「冬の準備」 著者 村田 浩道


 国内がコロナ禍となってから、マスク生活の年末は2回目になった。9月末に緊急事態宣言が解除になって以降、少々和やかムードになったように思うが、オミクロン株なるものがまた猛威を振るうのか心配ではある。

 こんな状況でも冬季のガイディング計画と準備は当然しておかなければならない。ピッケルやアイゼンをチェックし、厳冬期用のブーツ、シェル、グローブなどをチェックして車のタイヤも交換する。

 近年は高速道路などで停滞3日間など、万が一の場合もあるので、荷室には非常食、水、シュラフ、ガス缶は欠かせない。準備をしながらふと考えた。20代や30代の頃はもっとワクワクしていたような気がする。気象庁の予報や天気図をみて雪が降るとなれば心が躍ったし、なんだか毎日ソワソワしていた。
 もちろん今でも雪山に登れば感動するし、ラッセルなんかも楽しめるし嫌いではない。でもどこかしら、重たいような、義務感のような気分があるのは、やはり仕事だということだろう。年齢のせいにはしたくないな・・・と思っている自分は、やっぱり年を食ったということか・・・。

 仲間と登る山は無条件に楽しかったなとあらためて思い、この先も自分の山を登ることは続けたいな、などと考えながら冬山の装備の準備を終えた。
 そのあと用を足しにトイレに入り便座に座ると、う~ん、温かい便座とウォシュレット・・・。なるほど、気が重いのはこれもあるか、と思った師走の寒い日であった。
※画像はイメージです。


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■著者紹介

村田 浩道(むらた ひろみち)
日本山岳ガイド協会認定ガイド、トレイルコーディネーター
NPO法人日本ロングトレイル協会理事・事務局長、NPO法人高島トレイルクラブ理事ほか。
高島トレイルをはじめ、全国のトレイル活性化事業にたずさわり、ロングトレイルとビジネスをテーマに活動している。また、禅宗僧侶として、禅と登山についての考察も日々おこなっている。