第38回 「トレイルと私②」 著者 村田 浩道


 第2位『ロコモティブシンドローム』ふーん、そうなんや・・・第1位『日本流ロングトレイル』あ!1位やん・・・え・・・。タブレットより上位?今をときめくデジタル機器よりアウトドアが上位⁉。
 日本流が気になるが、時代が追い付いてきたか⁉と勝手な解釈を交えながら、関係者に連絡しまくった。しかし喜んでばかりはいられない状況でもあった。時を同じくして協議会の重要人物が体調不良で入院していたのである。
 大事に至らず復帰され本当に良かった。あとから聴けば入院後間もなくのイマイチ頭が回らない時に、病室にトレイル関係者がやってきて、日経トレンディを見せながら「1位です‼すごいです‼」と。「何のこっちゃ~と思ってたわ」と、ぼーっとした頭で、手に取って見入ったそうだ。

 ということで、その日から協議会事務局への取材電話が何本もあり、朝の情報番組やビジネス情報番組などでもたくさん取り上げられ、この日からトレイルをとりまく潮流が変わりはじめた。
 その後、私はロングトレイル協議会をNPO法人化する事務を預かり、高島トレイルの代表理事も経験させていただき、NPO法人日本ロングトレイル協会の事務局長と理事を拝命して現在に至っている。
 協議会設立時には僅か5ヶ所程度だった加盟トレイルも、現在のNPO法人となってから、整備中のトレイルもあわせると25ヶ所となり、今年度中にも加盟希望のトレイルが数ヶ所ある。
 トレイル運営団体によるフォーラムやシンポジウムの開催、各地での講演やメディア取材等を通して、少しずつトレイルへの理解が深まってきたと感じている。このコロナ禍においても、各地でトレイル整備事業が計画され、地域活性の核として期待されることは大変嬉しく感動的なことである。
 これは世界的に見ても同様の流れで、日本ロングトレイル協会が加盟しているWorld Trails Network(略WTN 本部ジュネーブ)においても、コロナ終息後には自然と異文化への関心が更に高まるとされ、世界各地のロングトレイルが注目されている。そのなかでも日本のロングトレイルへの期待値はかなり高いようである。国内各地のトレイルでは外国人ハイカーの受け入れ態勢の充実と、安全対策も必要になってくるだろう。

 様々な観光カテゴリーと親和性が高く、適正な自然環境の活用や教育にも、ロングトレイルムーブメントは今後さらに加速して行き、日本の文化のひとつとなる日は近いと思われる。



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■著者紹介

村田 浩道(むらた ひろみち)
日本山岳ガイド協会認定ガイド、トレイルコーディネーター
NPO法人日本ロングトレイル協会理事・事務局長、NPO法人高島トレイルクラブ理事ほか。
高島トレイルをはじめ、全国のトレイル活性化事業にたずさわり、ロングトレイルとビジネスをテーマに活動している。また、禅宗僧侶として、禅と登山についての考察も日々おこなっている。