第27回 「いつの世も変わらない心理に向き合う」著者 村田 浩道


 超現実を突きつけられ、一旦全てを諦めてみた。しょうがない、自分で選んだガイドの仕事だし、今は考えてもどうにもならん。どうにもならん事に時間使うのを止めようと。こんな世の中でも日は東から昇って西に沈む。以前となぁんにも変わりない。と言う禅的思考が奏功し、ゴールデンウィークが終わる頃にはすっかりリセットされていた。これだけ世の中がシャッフルされたら、いろんな事が変化して、今までとは違う視点での需要が強くなるだろう。そこをしっかりと捉えようと考えるようになれた。

 山のレジャーは、よりパーソナルにより安全に、より癒しを求める傾向になり、旅と山、歩く旅、旅とキャンプ、キャンプと山などのニーズが多くなるのではないか。子どもたちにも、より自然との接点を増やす教育が求められそうである。
 インバウンドにしても、暫くは難しいだろうが、日本の公衆衛生意識の高さは、海外のハイカー達に、日本のトレイルを歩きに行きたい、と言わしめる大きな要因である。事実、WTN (ワールドトレイルズネットワーク)の代表からは、日本のロングトレイルへの問い合わせは増えており、世界的に見てもトレイルハイクの需要は伸びているとことであった。
 そして、更に、自分自身の命への目線は、今までにはないリアルさを持って語られていきそうである。「ロングトレイルに禅」という私オリジナルの切り口は、コロナウィルスと共存していく社会には必要なものになりそうだ。社会に必要とされないものは、やはり消えてゆくし、社会に必要とされる様に形をかえながら、いつの世も変わらない真理にも向き合い、自分自身が社会に貢献出来るような仕事をして行こうと、あらためて考えた。

 6月に入り、規制が緩和され始めると、お客様からのご依頼もいただくようになった。本当にありがたいことである。「早く山に行きたくて、行きたくて・・・」との声を聞くと、嬉しくなる半面、以前よりも更に安全に関して神経を尖らせる必要がある。感染予防という新たな業務も増えた。前述した新しい登山のスタイルをはじめ、社会的にも必要とされる取組みを続けていきたいと考えている。
コロナウィルスの危機感があって、失ったものと反対に得たもの。どんな時も今自分がいるその場所でしっかりと咲く。ということなのだろう。
※画像はイメージです。



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■著者紹介

村田 浩道(むらた ひろみち)
日本山岳ガイド協会認定ガイド、トレイルコーディネーター
NPO法人日本ロングトレイル協会理事・事務局長、NPO法人高島トレイルクラブ理事ほか。
高島トレイルをはじめ、全国のトレイル活性化事業にたずさわり、ロングトレイルとビジネスをテーマに活動している。また、禅宗僧侶として、禅と登山についての考察も日々おこなっている。