表彰式・講演会 概要報告    
(敬称略)
 1月27日(土)、2017年度自然体験活動支援事業「第16回トム・ソーヤースクール企画コンテスト」表彰式が、横浜市みなとみらいの安藤百福発明記念館 横浜(愛称:カップヌードルミュージアム 横浜)で開催され、教育関係者をはじめ、自然体験活動関係者や一般の方々など、およそ250名が参加されました。

記念撮影

<主催者挨拶 要旨>
公益財団法人 安藤スポーツ・食文化振興財団理事長 安藤 宏基 理事長

安藤理事長  本年度の「トム・ソーヤースクール企画コンテスト」には全国から、247件の応募があり、その中から13団体を表彰いたします。本日の表彰式には文部科学大臣賞、安藤百福賞を含め4団体の方々にお越しいただきました。受賞された皆様には、心よりお祝い申し上げます。また本日は、文部科学省から神山審議官、横浜市から柏崎副市長、横浜市教育委員会から岡田教育長にお越しいただいています。
 安藤財団では、4つの事業を行っています。陸上競技を中心としたスポーツの支援、自然体験活動の支援、新しい食品の創造・開発を奨める「食創会」の主宰を中心とした食文化活動、そして「安藤百福発明記念館」の運営を行っています。その中でも、社会が高度化し、またコンピューターゲームも盛んになった今の時代には、自然体験が重要であると考えています。小諸に設立した「安藤百福センター」では、ロングトレイルによる「歩育」を推進しています。また安全な山旅を奨めるため「スマート山岳道標」の設置を支援しています。そして、「JAPAN TRAILプロジェクト」を立ち上げ、北海道から鹿児島、沖縄まで貫く一本道トレイルの整備を進める計画です。

<来賓挨拶 要旨>
文部科学省 大臣官房審議官 神山 修 様
来賓挨拶  それぞれの地域での自然体験活動が高く評価され、本日「トム・ソーヤースクール企画コンテスト」の各賞を受賞される皆様におかれましては、日頃から子どもたちの健全育成にご尽力いただいていることに、深く敬意を表しますとともに、受賞を心からお祝い申し上げます。
 近年スマートフォンの普及などバーチャルな世界が広がっていく中で、子どもの豊かな人間性や社会性を育んでいくには、あらゆる機会を捉えて発達段階に応じた様々な体験を提供していくことが重要だと考えています。文部科学省といたしましても、子どもたちの豊かな心と健やかな身体の育成のために、体験活動を積極的に推進しているところです。
 今回、文部科学大臣賞を受賞されました伊那市立長谷中学校での取り組みをはじめ、各地域の特色を生かしたユニークで創造性に富んだ取り組みを熱心に進められていることに、改めて敬意を表したいと思います。
本日受賞された皆様は今回の受賞をひとつの契機として、今後さらに子どもたちが自然の中で体力・想像力・チャレンジ精神を育むような企画を実践され、体験活動を通じた青少年育成にご尽力いただきたいとお願い申し上げます。
結びに、主催者の安藤財団におかれましては、子どもたちの自活力を育む自然体験活動の普及啓発と、「安藤百福センター」を中心とした指導者の育成強化を通じて自然体験活動の推進にご尽力いただいておりますことに、心から敬意と感謝を表しまして、ご挨拶と代えさせていただきます。

横浜市副市長 柏崎 誠 様
来賓挨拶  地元を代表して柏崎副市長が林文子市長に代わって「第16回トム・ソーヤースクール企画コンテスト表彰式で受賞されたみなさまに、心からお祝いを申し上げます」とご挨拶がありました。「受賞されたみなさまの取り組みが、その地域にとどまらず、このコンテストを通じて日本全国に発信されるのは、すばらしいことだと思います。」という趣旨のお祝いの言葉がありました。





<講 評>
 審査委員を代表して、特定非営利活動法人 日本ロングトレイル協会 節田重節会長の審査講評がありました。

審査講評  学校部門の最優秀賞となる「文部科学大臣賞」は、伊那市立長谷中学校3学年(長野県)の「中学生にできる地域おこし ~伝統野菜で長谷をHOTに~」に決定しました。野菜の栽培から製品化そして販売までの一連の活動は、学校の授業では学べない貴重な社会体験であり、地域の人たちを動かし行政や報道からも注目される、生徒たちの思いのこもった熱心な取り組みが評価されました。  一般部門の最優秀賞である「安藤百福賞」は、しまなみ野外学校/(株)今治・夢スポーツ(愛媛県)の「島の冒険キャンプ 9泊10日」に決定しました。無人島で自分たちの身体とサバイバル技術だけで自分たちの暮らしを作るという内容の濃い企画で、カヤックを遊びだけでなく旅の道具として使用しチャレンジ精神を育もうとするなど、冒険的要素にあふれた活動でした。  学校部門の「優秀賞」は、上越市立大手町小学校(新潟県)の「2頭のポニーとみんなでぐんぐん ~年間を貫く体験活動と言語活動で自分自身や友達の頑張り、成長に気付く~」に決定しました。子どもたちの成長をいかに促していくかについて、非常に細やかに丁寧に取り組んでいる姿が高く評価されました。  一般部門の「優秀賞」は、日本宇宙少年団 南種子町宇宙科学分団(鹿児島県)の「宇宙のまちキャンプ 2017 ~本物の感動がここにある!~」に決定しました。恵まれた環境を生かしたバラエティに富みチャレンジングな活動が評価されました。

今後さらなる飛躍が期待される活動に贈られる「トム・ソーヤー奨励賞」は、つぎの3団体に決定しました。
[学校部門]
(1)京都市立朱雀第四小学校(京都府) 「こん虫パラダイス」
[一般部門]
(2)大津市立葛川少年自然の家(滋賀県) 「冒険塾2017 30周年記念ビワイチスペシャル」
(3)熊本県立青少年の家(熊本県) 「あまくさ無人島キャンプ」

「努力賞」は、つぎの6団体に贈呈します。
[学校部門]
(1)長浜市立塩津小学校(滋賀県) 「「We Love しおつⅣ」~自然豊かな塩津学区と「ふるさと公園」を舞台に~」、
(2)たつの市立新宮小学校6年生(兵庫県) 「キラ☆まち日記(ダイアリー)~メイ・ジンからのおくりもの~」
[一般部門]
(3)自然と文化の森協会 猪名川キッズクラブ(兵庫県) 「子どもも、まちの主人公 ~猪名の里の自然と味覚を楽しもう~」
(4)ネイチャークラブ(兵庫県) 「命の環境を学ぶ自然教育」
(5)ウエットランドフォーラム(福岡県) 「和白干潟の子ども調査隊・ガタレンジャー」
(6)独立行政法人 国立青少年教育振興機構 国立夜須高原青少年自然の家(福岡県) 「平成29年度 国立夜須高原青少年自然の家 教育事業「夜須高原長期チャレンジキャンプ」~非日常の生活、自然・直接体験にトライしよう~」

<表  彰>
■学校部門
文部科学大臣賞 (副賞100万円+チキンラーメン1年分)
伊那市立長谷中学校3学年 (長野県)
企画名 「中学生にできる地域おこし ~伝統野菜で長谷をHOTに~」
 学校部門 文部科学大臣賞 
文文部科学省 神山修大臣官房審議官から、田中祐貴先生へ表彰状の授与

■一般部門
安藤百福賞 (副賞100万円+チキンラーメン1年分)
しまなみ野外学校/(株)今治・夢スポーツ (愛媛県)
企画名 「島の冒険キャンプ 9泊10日」

 一般部門 安藤百福賞 

安藤宏基理事長から、木名瀬裕さんへ表彰状の授与

■学校部門
優秀賞 (副賞50万円+チキンラーメン半年分)
上越市立大手町小学校 (新潟県)
企画名 「2頭のポニーとみんなでぐんぐん ~年間を貫く体験活動と言語活動で自分自身や友達の頑張り、成長に気付く~」

 学校部門 優秀賞 
安藤宏基理事長から、甫仮直樹先生へ表彰状の授与

■一般部門
優秀賞 (副賞50万円+チキンラーメン半年分)
日本宇宙少年団 南種子町宇宙科学分団 (鹿児島県)
企画名 「宇宙のまちキャンプ2017 ~本物の感動がここにある!~」

 一般部門 優秀賞 
安藤宏基理事長から、小西嘉秋さんへ表彰状の授与

<受賞団体報告>
表彰式ののち、受賞4団体から活動報告がありました。

学校部門 文部科学大臣賞 学校部門 文部科学大臣賞
伊那市立長谷中学校3学年 (長野県)
「中学生にできる地域おこし ~伝統野菜で長谷をHOTに~」

●発表のポイント
・自分たちの住む地域を元気にするには、地域の多くを占める高齢者が元気にならなければならないと考え、栽培が途絶えていた伝統野菜「内藤とうがらし」の栽培を始めた。地域の方々に苗を配り栽培してもらい、収穫したとうがらしを一味唐辛子やラー油に加工し、地域食材として販売した。
・一連の活動は地域住民や行政から注目されるようになった。
・育て(1次産業)、加工し(2次産業)、流通させる(3次産業)をすべて自分たちで考え活動することで、雇用(生きがい)の創出や景観保全など、地域おこしへの良い循環(6次産業)が見えてきた。
・今後も取り組みを継続する。

一般部門 安藤百福賞 一般部門 安藤百福賞
しまなみ野外学校/(株)今治・夢スポーツ (愛媛県)
「島の冒険キャンプ 9泊10日」

●発表のポイント
・まず里山野営場で野外生活技術を学び、次のキャンプ地(比岐島)で島の限られた資源の中で暮らす知恵を体験、そして必要最低限の物をシーカヤックに積んで海を渡り、無人島での暮らしを自分たちで作ることで豊かさの本質について実体験を通して学ぶプログラム。
・守られていた便利な暮らしから、すべて自分たちでやらなければいけない自然の暮らしに、子どもたちが模索し葛藤する時間を大事にしている。
・普段の生活の便利さや快適さに気づき、また「豊かさ」とは決して便利や快適なことだけではないことを体験の中で感じてくれれば、またここでチャレンジしたことを思い出してくれればと思います。

学校部門 優秀賞 学校部門 優秀賞
上越市立大手町小学校 (新潟県)
「2頭のポニーとみんなでぐんぐん ~年間を貫く体験活動と言語活動で自分自身や友達の頑張り、成長に気付く~」

●発表のポイント
・フン取り、エサやり、散歩などの2頭のポニーと毎日かかわる活動とともに、節目に記念日を設定して、広場づくりなど2頭の喜ぶようなことを考え、実行した。
・観察を振り返る「ポニーさんカード」、心に残ったことを書く「ハートカード」や「かるた」を設定した。
・年間を貫く体験活動と言語活動によって、自分自身や友達のがんばりや成長を自覚する姿が見られた。

一般部門 優秀賞 一般部門 優秀賞
日本宇宙少年団 南種子町宇宙科学分団 (鹿児島県)
「宇宙のまちキャンプ2017 ~本物の感動がここにある!~」

●発表のポイント
・(1)自分の役割を認識し、全員でやり遂げる達成感を体験させる、集団生活活動、(2)食べ物の大切さや働くことの意義を学ぶ稲刈り体験、科学することを学ぶ、シーカヤックや水ロケット製作などの体験、(3)屋久島の自然に触れながら忍耐力を醸成し仲間との交流の輪を広げる、宮之浦岳登山を実施した。
・子どもたちがお互いに励まし合いながらの登山体験、また登頂できず「来年こそは」と泣きながら途中下山した体験は、必ずや子どもたちの今後の人生の中で、自分を信じ、あきらめない行動へとつながるものと信じています。

<トークショー>
元電通CMクリエーターで、現在環境マンガ家でカヌーイストの本田亮さんをお招きし「自然と取っ組み合いで遊ぼう!」をテーマに、ご講演をいただきました。
 本田さんは現在、楽しくてユーモアのあるマンガやアートで、環境問題の重要性を伝えていらっしゃいます。
 講演では「サラリーマン転覆隊」で体験した数々のエピソードから、自然と取っ組み合って心から遊ぶことの感動とすがすがしさを紹介されました。「便利になりすぎてコミュニケーションが無くなり、視覚と聴覚からしか情報を得なくなってしまった現代生活から飛び出して、肌で自然を感じ、協力し合って生活する機会を持って、人生を楽しくしましょう。」と話されました。
トークショー