表彰式・トークショー 概要報告    
(敬称略)
 1月30日(土)、2015年度自然体験活動支援事業「第14回トム・ソーヤースクール企画コンテスト」表彰式が、横浜市の安藤百福発明記念館(愛称:カップヌードルミュージアム)で開催され、教育関係者をはじめ、自然体験活動関係者や一般の方々など、およそ250名が参加されました。

記念撮影

<主催者挨拶 要旨>
公益財団法人 安藤スポーツ・食文化振興財団理事長 安藤 宏基 理事長

安藤理事長  安藤財団は安藤百福が、スポーツ、自然体験、食文化は、青少年の心身育成には重要なものであるとして、今から33年前に設立しました。本日はその中から自然体験部門の「トム・ソーヤースクール企画コンテスト」受賞6団体を表彰する事になりました。今回で14回目になりますが、毎回ますます質が向上していることに感謝しております。
 安藤財団の事業の一つ目は陸上競技の支援です。小学生を対象とした陸上競技大会やクロスカントリーリレーを毎年行っております。つぎに、自然体験活動の支援ということで「トム・ソーヤースクール企画コンテスト」を行っております。また長野県小諸市の「安藤百福センター」にて自然体験活動、さらにロングトレイルの活動の支援も行っております。それから「食」を創造する「食創会」を主宰し、新しい食品の創造・開発を奨めています。そして、大阪府池田市の「インスタントラーメン発明記念館」とここ「安藤百福発明記念館」の運営を行っております。
 自然体験は発明の原点だと思っております。子どもの頃の自然体験がビジネスのヒントにつながるということが往々にしてあります。自然体験をすすめていけば日本はもっと素晴らしい国になるのではないかと思っております。

<来賓挨拶 要旨>
文部科学省 大臣官房審議官 鄹田 正一 様
鄹田大臣官房審議官  それぞれの地域での自然体験活動が高く評価され、トム・ソーヤースクール企画コンテストの各賞を受賞された皆様、本日は誠におめでとうございます。
 現代の子どもたちの多くは、豊かで便利な生活を享受する一方で、自然や地域に接する機会が減少しており、様々な体験が不足しています。体験活動は人づくりの原点であり、青少年の豊かな人間性や社会性を育むうえで、あらゆる機会をとらえて発達段階に応じた様々な体験を提供することが重要だと考えております。文部科学省としましても、子どもたちの豊かな心と健やかな体の育成のために、体験活動を推進しております。
 本日受賞されたみなさまにおかれましては、今回の受賞を一つの契機として、今後さらに子どもたちが自然の中で、体力・想像力・チャレンジ精神を育むような企画を実践されて、引き続き体験活動を通じた青少年の健全育成に、ご尽力をいただきたいとお願い申しあげます。
 結びに、主催者の安藤財団におかれましては、子どもたちの自然力・自活力を育む自然体験活動の普及啓発と、安藤百福記念 自然体験活動指導者養成センターを中心とした指導者の育成強化を通じて、自然体験活動の推進にご尽力いただいておりますことに、心から敬意と感謝を表しまして、ご挨拶と代えさせていただきます。

横浜市こども青少年局長 田中 博章 様
田中局長  地元を代表して田中局長が林文子市長に代わって「第14回トム・ソーヤースクール企画コンテスト表彰式が、このように盛大に開催されますことを心からお喜び申しあげます」とご挨拶がありました。
 「トム・ソーヤースクール企画コンテストで受賞されたみなさま、おめでとうございます。横浜市も子どもたちの自然体験活動は非常に重要だと考えております。受賞されたみなさまの活動を参考にしたいと思います」とう趣旨のお祝いの言葉がありました。






<講 評>
 審査委員を代表して、岡島成行 安藤百福センター センター長の講評がありました。

岡島審査委員  学校部門の最優秀賞となる「文部科学大臣賞」は、たつの市立新宮小学校6年生(兵庫県)の「人も自然も笑顔の楽園プロジェクト」に決定しました。6年間にわたり計画的に取り組まれた活動は、学校での自然体験活動の模範例であると評価されました。
 一般部門の最優秀賞である「安藤百福賞」は、橋本ひだまり倶楽部(和歌山県)の「「郷土の森」もっと知って、自然を活かして、不便を楽しむ!!」に決定しました。現代の生活で日常使わない道具の体験、高齢者との交流など、非常に楽しくバラエティに富んだ活動が評価されました。
 学校部門の「優秀賞」は、尼崎市立南武庫之荘中学校 動植物介在教育研究会(兵庫県)の「尼崎の海と大地をつなぎ命の循環を学ぶ自然体験」に決定しました。521名の方が参加したバラエティ豊かな活動が評価されました。
 一般部門の「優秀賞」は、久米島ホタルの会(沖縄県)の「久米島・ホタレンジャーがつむぐ、人とホタルの里づくり」に決定しました。地域ぐるみの活動につながったことが評価されました。
 推奨モデル特別賞は、ユニークなテーマが評価された、大阪市立新北島中学校 科学部(大阪府)の「大阪市住之江区新北島地区のアリのモニタリング調査とアルゼンチンアリ (特定外来生物) の駆除」と、都市型のプログラムが評価された、自然と文化の森協会・猪名川キッズクラブ(兵庫県)の「子どもも、まちの主人公〜水辺を丸ごと知り、楽しもう〜」に決定しました。
 今後の発展が期待される活動に贈られる「トム・ソーヤー奨励賞」は、千里みらい夢学園 吹田市立桃山台小学校(大阪府)の「ももっこ里山プロジェクト −全校の児童たちで生態園をさらに充実させよう−」町田市立鶴川第二小学校(東京都)の「地域に広げる!かぶとむし園・ホタル池 拡充活動〜学校ビオトープから里山復元に向けた子どもたちとの挑戦〜」と、NPO法人霧多布湿原ナショナルトラスト(北海道)の「きりたっぷ子ども自然クラブ」に決定しました。

<表 彰>
■学校部門
文部科学大臣賞 (副賞100万円+チキンラーメン1年分)
たつの市立新宮小学校6年生 (兵庫県)
企画名 「人も自然も笑顔の楽園プロジェクト」
 学校部門 文部科学大臣賞 
文部科学省 鄹田正一大臣官房審議官 から、石堂裕先生へ表彰状の授与

■一般部門
安藤百福賞 (副賞100万円+チキンラーメン1年分)
橋本ひだまり倶楽部 (和歌山県)
企画名 「「郷土の森」もっと知って、自然を活かして、不便を楽しむ!!」

 一般部門 安藤百福賞 

安藤宏基理事長から、小杉美恵子事務局長へ表彰状の授与

■学校部門
優秀賞 (副賞50万円+チキンラーメン半年分)
尼崎市立南武庫之荘中学校 動植物介在教育研究会 (兵庫県)
企画名 「尼崎の海と大地をつなぎ命の循環を学ぶ自然体験 (尼崎の海への恩返し)」

 学校部門 優秀賞 
安藤宏基理事長から、中岡禎雄教頭へ表彰状の授与

■一般部門
優秀賞 (副賞50万円+チキンラーメン半年分)
久米島ホタルの会 (沖縄県)
企画名 「久米島・ホタレンジャーがつむぐ、人とホタルの里づくり」

 一般部門 優秀賞 
安藤宏基理事長から、島村一司会長へ表彰状の授与

■部門共通
推奨モデル特別賞 (副賞20万円+カップヌードル1年分)
大阪市立新北島中学校 科学部 (大阪府)
企画名 「大阪市住之江区新北島地区のアリのモニタリング調査とアルゼンチンアリ(特定外来生物) の駆除」

 推奨モデル特別賞 
安藤宏基理事長から、宮原未来さんへ表彰状の授与

推奨モデル特別賞 (副賞20万円+カップヌードル1年分)
自然と文化の森協会・猪名川キッズクラブ (兵庫県)
企画名 「子どもも、まちの主人公〜水辺を丸ごと知り、楽しもう〜」

 推奨モデル特別賞 
安藤宏基理事長から、福本吉雄事務局長へ表彰状の授与

■部門共通
トム・ソーヤー奨励賞 (副賞チキンラーメン半年分)
千里みらい夢学園 吹田市立桃山台小学校 (大阪府)
企画名 「ももっこ里山プロジェクト −全校の児童たちで生態園をさらに充実させよう−」

トム・ソーヤー奨励賞 (副賞チキンラーメン半年分)
町田市立鶴川第二小学校 (東京都)
企画名 「地域に広げる!かぶとむし園・ホタル池 拡充活動 〜学校ビオトープから里山復元に向けた子どもたちとの挑戦〜」

トム・ソーヤー奨励賞 (副賞チキンラーメン半年分)
NPO法人霧多布湿原ナショナルトラスト (北海道)
企画名 「きりたっぷ子ども自然クラブ」

<受賞団体報告>
表彰式ののち、受賞各団体から活動報告がありました。

たつの市立新宮小学校6年生 学校部門 文部科学大臣賞
たつの市立新宮小学校6年生 (兵庫県)
「人も自然も笑顔の楽園プロジェクト」

●発表のポイント
・6年間の自立・協働・創造の力を育む学習の集大成として「自然との共生」をテーマに、企画力・創造力・協調性を重視する、またESD(持続可能な開発のための教育)の考え方に基づいたコンセプトをもって活動した。
・校内のゴミ捨て場を「いこいの場所」に整備するための課題ひとつひとつを、個人企画をチーム企画に、そして学年企画にまとめ、練り上げていき、クリアしていった。その過程で、林業の役割や課題、産業廃棄物の処理など、社会を主体的に学ぶことができた。
・タッチプールをビオトープに整備する企画では、地元の高校生とも連携し、絶滅危惧種の保護活動も行った。
・完成した「いこいの広場を」未来につなげるために、報告会を開き、隣のこども園の園児を招待して交流会につなげていった。
・地域を元気にする活動として、川遊びや土器づくりをし、地域に紹介した。
・「自然を大切にすること」「命の大切さ」に気付き、「研究する力」「協力すること」「相手の立場に立って考えること」「感謝すること」「自ら伝える力」が身についた。

橋本ひだまり倶楽部 一般部門 安藤百福賞
橋本ひだまり倶楽部 (和歌山県)
「「郷土の森」もっと知って、自然を活かして、不便を楽しむ!!」

●発表のポイント
・「郷土の森」の豊かな自然を活かし、枠にとらわれない多種多様な自然体験を楽しむ。
・小刀、包丁、ノコギリなどの、危険と言われている道具の使い方やリスクを積極的に学習する。
・森林整備を楽しんで体験し、伐採した竹や木を使って、門松や薪を作る。
・へっつい(かまど)を造り、薪で火を起こしてご飯を炊き、景色をご馳走にして昼食。
・経験豊富な年配の方々に教えてもらったり世話をしてもらったりして、子どもたちは様々な体験を楽しみ、年配の方々は生きがい、やりがいを得ている。
・子どもたちが自然体験をすることで、どこでも順応できる力を養い、思いやる気持ちが育まれている。

尼崎市立南武庫之荘中学校 動植物介在教育研究会 学校部門 優秀賞
尼崎市立南武庫之荘中学校 動植物介在教育研究会 (兵庫県)
「尼崎の海と大地をつなぎ命の循環を学ぶ自然体験 (尼崎の海への恩返し)」

●発表のポイント
・尼崎の海を「良い循環」に変える。
・冬にワカメを育てて海水の過剰な栄養を吸収させ、それを収穫して貝類・枯葉などと共に堆肥にして作物を育てる。
・春には菜の花、夏にはヒマワリ、秋には尼イモを収穫できた。菜種を絞った油で料理をし、廃油はバイオ燃料に精製。
・活動に賛同する人たちが増え、市内の中学校、大学、NPO団体、企業など、世代を超えた多くの人たちとのつながりができ、生徒は社会性を身につけ、自信を持って取り組むようになった。
・生物の力による運河の浄化活動を行い、生物の力や自然の摂理に従って生きることの大切さを学んだ。
・ヒマワリの種を福島県に贈るなど、地域貢献活動にも興味を持つようになった。

久米島ホタルの会 一般部門 優秀賞
久米島ホタルの会 (沖縄県)
「久米島・ホタレンジャーがつむぐ、人とホタルの里づくり」

●発表のポイント
・自然の生き物たちの現状に気付き、気付いた先に、人間ができる素直な行動(ゴミを拾う、赤土の流出を防止するための工夫、在来植物を育てる 等)を継続的に行ってきた。
・ホタレンジャーたちの生き生きとした活動風景は、地域の小中学校や島外の子どもたち、福島の子どもたちへも波及し、生まれ育った故郷への愛着と誇りを育んでいる。
・自然環境を支えている様々な生き物を知るため、生き物に出会える多種多様な時間(朝・昼・夜)、久米島の様々な場所(海・川・森・洞窟)での様々な活動を行っている。
・島での未来を明るく暮らしていくために、久米島の自然と共に暮らしてきたお年寄りから、昔の島の暮らし、自然との関わり方を学び、継承する。

大阪市立新北島中学校 科学部 推奨モデル特別賞
大阪市立新北島中学校 科学部 (大阪府)
「大阪市住之江区新北島地区のアリのモニタリング調査とアルゼンチンアリ(特定外来生物) の駆除」

●発表のポイント
・環境事務所からの依頼でアルゼンチンアリのモニタリング調査と駆除を行っている。
・昨年の結果を反省し、調査方法を改善した。
・様々な研究発表会に参加し自分たちの研究結果を発表するとともに、アドバイスを得た。
・大和川の水質調査、清掃活動も行っている。

自然と文化の森協会・猪名川キッズクラブ 推奨モデル特別賞
自然と文化の森協会・猪名川キッズクラブ (兵庫県)
「子どもも、まちの主人公〜水辺を丸ごと知り、楽しもう〜」

●発表のポイント
・多くの子どもたちに身近な自然を体験してもらう。
・川に入って魚捕りや水遊び、川辺で魚・バッタ・野草などの試食会。
・タマネギやサツマイモの農業体験、レンゲ畑をつくって楽しむ。
・子どもたちが、バッタを食べたり、カエルを捕まえたりたくましくなった、また年上の子が年下の子の面倒を見るようになった。



<トークショー>
藤謙司さん・田中陽希さん 日本山岳ガイド協会認定国際山岳ガイドの近藤謙司さんと、プロアドベンチャーレーサーの田中陽希さんをお招きし「自然の中で生きる子どもたち」をテーマに、対談をしていただきました。
ご自身の体験談や活動を楽しく紹介されました。その中で、生きる能力を身につけ、助け合う心を持つことが大切で、そのために自然に体全体で触れ、自然から様々なことを学んでほしい、と話されました。
近藤謙司さん・田中陽希さん