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(敬称略)
1月31日(土)、2014年度自然体験活動支援事業「第13回トム・ソーヤースクール企画コンテスト」表彰式・講演会が、横浜市の安藤百福発明記念館(愛称:カップヌードルミュージアム)で開催され、教育関係者をはじめ、自然体験活動関係者や一般の方々など、およそ200名が参加されました。![]() <主催者挨拶 要旨> 公益財団法人 安藤スポーツ・食文化振興財団理事長 安藤 宏基 理事長 ![]() 安藤財団の事業の一つ目は陸上競技の支援です。小学生を対象とした陸上競技大会やクロスカントリーリレーを毎年行っております。つぎに、自然体験活動の支援ということで「トム・ソーヤースクール企画コンテスト」を行っております。また長野県小諸市の「安藤百福センター」にて自然体験活動を行っております。それから「食」を創造する「食創会」を主宰し、新しい食品の創造・開発を奨めています。そして、大阪府池田市の「インスタントラーメン発明記念館」とここ「安藤百福発明記念館」の運営を行っております。 創設者の安藤百福は、特に青少年の心身育成を願っておりました。勉学も必要ではあるがスポーツも重要で、その中でも「自然体験」が一番重要だという考えに基づいて自然体験活動の支援を行っております。その自然体験の中でも特に「自活力」、このような高度文明社会においても、身の回りの物が当たり前だと思わないで、何も無いところから考えるということは、自然体験活動の代表的なテーマではないかと感じております。 何も無いところでも生きていけるという自信を持っていることが、災害が起きたときでも迷わない、うろたえない、そしてやるべき行動を正しくできるのではないかと思っております。 <来賓挨拶 要旨> 文部科学省スポーツ・青少年局 青少年課長 泉 潤一 様 ![]() 体験活動は人づくりの原点です。青少年にとって人間的な成長に不可欠な体験を経験させるために、あらゆる機会をとらえて、段階に応じた様々な体験を提供して、豊かな人間性・社会性を育んでいくことが重要だと考えております。 文部科学省としましても、子どもたちの豊かな心と健やかな体の育成のために、体験活動を推進しております。 本日受賞されたみなさまにおかれましては、今回の受賞を一つの契機として、今後さらに子どもたちが自然の中で、豊かな感性を育み、健やかな体を培えるような企画を実践されて、引き続き青少年の健全育成に、ご尽力をいただきたいとお願い申しあげます。 結びに、主催者の安藤財団におかれましては、自然体験活動が子どもたちの体力、創造力、チャレンジ精神を育む、という考えのもと、安藤百福記念 自然体験活動指導者養成センターの設置や、各種普及事業を通じて自然体験活動の推進にご尽力されていることに、心から敬意を表しまして、ご挨拶と代えさせていただきます。 横浜市副市長 柏崎 誠 様 ![]() <講 評> 審査委員を代表して、岡島成行 安藤百福センター センター長の講評がありました。 ![]() 総合的学習の時間をうまく活用した模範例で、子どもたちが自由に楽しく学習できる仕組みが評価されました。 学校部門の「優秀賞」は、児童会行事の中で全校生徒参加の活動が評価された、京都市立醍醐西小学校(京都府)の「自然に親しみ・自然を理解し・自然を大切にし・生きる力を高めよう! ~全校たてわりグループで自然体験活動をしよう~」と、空き教室を「自然研究所」として利用して子どもたちに自由に研究させた、たつの市立新宮小学校 3年生(兵庫県)の「わくわくドキドキしんぐう☆自ぜん研究所 ~命のつぶやき見つけた~」に決定しました。 また今回およびこれまでの13年間に応募された学校の取り組みが力となって、日本の学校教育に大きな影響を与えることを期待しております。 一般部門の最優秀賞である「安藤百福賞」は、無人島チャレンジ実行委員会(愛媛県)の「御五神島(おいつかみじま)・無人島体験事業」に決定しました。 実践だけという企画も多い中、はじめと終わりに勉強会を行っている点が高く評価されました。また無人島9泊10日という、誰もが行ってみたいと思う企画であることも評価されました。 一般部門の「優秀賞」は、柏の葉サイエンスエデュケーションラボ(千葉県)の「理科の修学旅行」に決定しました。地域の市民と大学が連携して活動できた模範例として評価されました。 「トム・ソーヤー奨励賞」は、今後の発展が期待される、森の自然体験楽校 スキー楽校 青森自然塾(青森県)の「青森県日本海から太平洋までの横断 青森5名山大冒険」と、日本の伝統文化と自然体験を結びつけた、特定非営利活動法人 公益のふるさと創り鶴岡(山形県)の「鶴岡市ケヤキの森でこども山伏修行!」に決定しました。 <表 彰> ■学校部門 ![]() 上越市立大手町小学校(新潟県) 企画名 「とことん青田川 ~体験活動と言語活動をつなげて学びを深める~」 ![]() 文部科学省 泉潤一青少年課長から、甫仮直樹先生へ表彰状の授与 ■一般部門 ![]() 無人島チャレンジ実行委員会無人島チャレンジ実行委員会(愛媛県) 企画名 「御五神島(おいつかみじま)・無人島体験事業」 ![]() 安藤宏基理事長から、井門照雄会長へ表彰状の授与 ■学校部門 ![]() 京都市立醍醐西小学校(京都府) 企画名 「自然に親しみ・自然を理解し・自然を大切にし・生きる力を高めよう! ~全校たてわりグループで自然体験活動をしよう~」 ![]() 安藤宏基理事長から、安藤昌之校長へ表彰状の授与 たつの市立新宮小学校 3年生(兵庫県) 企画名 「わくわくドキドキしんぐう☆自ぜん研究所 ~命のつぶやき見つけた~」 ![]() 安藤宏基理事長から、石堂裕先生へ表彰状の授与 ■一般部門 ![]() 柏の葉サイエンスエデュケーションラボ(千葉県) 企画名 「理科の修学旅行」 ![]() 安藤宏基理事長から、羽村太雅さんへ表彰状の授与 ■部門共通 ![]() 森の自然体験楽校 スキー楽校 青森自然塾(青森県) 企画名 「青森県日本海から太平洋までの横断 青森5名山大冒険」 特定非営利活動法人 公益のふるさと創り鶴岡(山形県) 企画名 「鶴岡市ケヤキの森でこども山伏修行!」 <受賞団体報告> 表彰式ののち、受賞各団体から活動報告がありました。 ![]() ![]() 上越市立大手町小学校 「とことん青田川 ~体験活動と言語活動をつなげて学びを深める~」 ●発表のポイント ・まず「全身でとことん青田川とかかわる」活動(川で泳ぐ・生き物を捕まえる・泥団子を作る・ゴミを拾う・滝に打たれるなど)を行い、感じたことや疑問に思ったことをまとめた「青田川レポート」を作成した。 ・「青田川レポート」から子どもたちが考えた企画を実施した。 川の中を上流から下流まで歩いて探検 グラウンドに池を作って川の魚を文化祭で紹介 ゴミ拾い 朝から夕方まで青田川で過ごす 泥投げ大会 船を作って川下り 仲間と協力してひとつのことを成し遂げた満足感・充実感が得られた。 ・川辺のマコモやヨシでペンや紙を作り、体験で心に残ったことを墨絵や言葉で表現する活動を行った。体験活動と表現活動を繰り返すことで、体験を通して得た気付きや青田川への思いを自覚して新たな活動に向かう子どもたちの姿がみられた。 ・青田川への愛着や親しみの気持ちが表れ、現在も継続してゴミ拾いや青田川を紹介するイベントの企画を行っている。 ![]() ![]() 無人島チャレンジ実行委員会 「御五神島(おいつかみじま)・無人島体験事業」 ●発表のポイント ・目的:子どもたちが、無人島という制約された環境の中で、自ら創意工夫し、協力し合いながら生活することにより、自立心や協調性を育むとともに、困難なことに遭っても克服できる柔軟で強い精神力を養う。 ・日程:初めの2日間は、青少年交流の家で島での生活の準備を行い、3日目から無人島にテントやタープを設営し、かまどを作って火を起こし、食事を作る。物干し台やトイレも自分たちで作る。7日目は食材を自分たちで調達する自給自足的生活を行う。9日目は青少年交流の家に戻り、道具の片付け、キャンプの振り返りを行う。最終日は感想文を書く。 ・最初は2時間かかっていた火起こしが、試行錯誤を繰り返すことによって、15分でできるようになった。食事作りも役割分担をして食料調達や調理がだんだんとうまくなっていく。この様に、コツや慣れ、知識・経験を積むことや仲間と協力し合うことの大切さを知り、達成感を味わう。そして便利な日常生活のありがたさや、生活を支えてくれる家族への感謝の気持ちをもつようになった。命のありがたさや尊さについても考えさせることができた。 ![]() ![]() 京都市立醍醐西小学校 「自然に親しみ・自然を理解し・自然を大切にし・生きる力を高めよう! ~全校たてわりグループで自然体験活動をしよう~」 ●発表のポイント ・11年前から自然体験活動を学校行事に取り入れ、一定の成果は出ているが、年1回などの単発的は活動だけでは成果が持続しない。そこで、授業時間内や全校集会・児童集会の時間を利用した、全校たてわりの活動を開始した。 ・従来行っていた5年生の5泊6日宿泊や4年生の海の家2泊3日と言った行事に加え、授業時間内や児童集会でのたてわり遊び・オリエンテーリング・ネイチャーゲーム、全校野外炊事、全校たてわり登山、雪山チャレンジなどの活動を行った。 ・年間を通して自然体験活動に親しめる機会ができた結果、課題としていた宿泊行事後の「生きる力」の変容がこれまで以上に長く継続し、授業や行事に意欲的に取り組む姿が顕著に見られるようになった。 ・自然体験活動をたてわりで行うことにより、子どもたちの自主性と仲間意識が強まった。 ![]() ![]() たつの市立新宮小学校 3年生 「わくわくドキドキしんぐう☆自ぜん研究所 ~命のつぶやき見つけた~」 ●発表のポイント ・揖保川での鮎の放流というきっかけを作って、そこから子どもたちの気付きや疑問を引出し、揖保川の調査、いかだ下り、田植え、田んぼの生物調査、ホタルの放流、川のクリーン作戦へと、どんどん興味がつながっていった。 ・新宮と関わりのあるカイコとアゲハを比較飼育し、それぞれの共通点や違いに気付くことができた。さらに兵庫県養父市「かいこの里」で語り部さんの話を聞いたり、新宮に養蚕を広めた「大上宇市さん」という博物学者について調べたりした。 ・学校職員だけでは出来ないことを地域の保護者や行政の協力を得て活動した。 ・研究結果を市役所や図書館等、人が集まるところでPRしたいという、新たな思いが芽生えた。 ![]() ![]() 柏の葉サイエンスエデュケーションラボ 「理科の修学旅行」 ●発表のポイント ・科学を学ぶ上では、不思議な自然現象に触れる事が欠かせない。東大大学院生が中心となって、地元の方々の協力も得て、自然体験活動を通じて子どもたちの科学的な視点を育む場を創出した。 ・事前学習として、雲のでき方、炭の作り方などを大学の器具で実験し、理解を深めた。 ・登山合宿を楽しみながら、バーベキュー用の炭作り、温泉成分の観察、流れ星の観察、山の植生や岩石の観察など、様々な分野のレクチャーを行った。 ・事後には、合宿で興味を持った事を発表する機会を設けた。 <講演会> スキー・ノルディック複合五輪金メダリストで前参議院議員の荻原健司さんをお招きし「ふるさとの雪山からオリンピックへ」をテーマに、ご講演をいただきました。 ご自身の少年時代の体験、スキー競技を始めたきっかけや、スポーツ選手として活躍することにより社会への貢献を実感できた喜びなどを、おもしろおかしく紹介しながら、また指導者としての経験から「指導者のみなさまには、子どもたちの自活力を育む指導を期待しています」と締めくくられました。 ![]() ![]() |