2010年度 審査結果発表    

2010年度「第9回 トム・ソーヤースクール企画コンテスト」の審査委員会が 開催され、厳正な審査の結果、文部科学大臣奨励賞、安藤百福賞など各賞が 下記の通り決定いたしました。
また、企画内容がユニークで他団体の刺激や参考となり、今後の活動に期待 できる団体には、「トム・ソーヤー奨励賞」が贈られます。
各受賞団体の企画や活動内容、審査委員会の講評を参考にしていただき、 今後の自然体験活動の計画にお役立てください。

■学校部門
文部科学大臣奨励賞 賞金100万円+副賞チキンラーメン1年分
  企 画 名 「課題別学習『Outfitters Training』」
  学 校 名 東京大学教育学部附属中等教育学校(東京都) 速報レポート
  代 表 者 井口 成明(保健体育科教諭)
  活動内容 総合的な学習の時間で、野外活動に必要なロープワーク、事故への対処、火起しや野外調理などのスキルを学ぶ。秋にこれまでの授業で培った成果をトレーニングキャンプで発揮する。
  受賞理由 今日の学校教育の問題点と体験学習の重要性に着目し、綿密な授業の計画と実践を通して、生徒が新しい体験に積極的かつ自主的に取り組み、自然体験学習の成果が伝わってきた。特にコーディネーターとしての教諭の役割が注目される。また、体験学習から自己研究、自己活動と進んでいく今後の経過に期待し、長期的な実践を望む。「失敗から考えさせる授業」が大切というスタンスに賛同したい。学校で行う自然体験学習のひとつのモデルとして高く評価できる。
 

優秀賞 賞金50万円+副賞チキンラーメン半年分
  企 画 名 「ダイトレチャレンジ2010」
  学 校 名 大和高田市立高田西中学校登山部(奈良県) 速報レポート
  代 表 者 玉井 章進(校長)
  活動内容 登山技能の向上を図り、奈良県の屯鶴峯から和歌山県の槇尾山までのダイヤモンドトレール全ルート(約50Km)を3回に分けて、生徒自らが地図でルートを確認しながら踏破する企画。
  受賞理由 部活動に対する顧問教諭の情熱と部員の自主性を見守る指導法に特色がみられる。悪天候のため3回の登山が4回になったにもかかわらず、50kmの行程を全員が歩き通したことは特筆に値する。歩くことを通して体力づくり、登山技能の習得の目的は十分に達成された。ただ、読図だけでなく、もう少し座学と実地山行を連動させた中学校登山部らしい仕掛けが望まれ、今後のさらなる活動に期待したい。
 


■一般部門
安藤百福賞 賞金100万円+副賞チキンラーメン1年分
  企 画 名 「9歳のひとりだち -ひとりで何でもできるもん!!-」
  団 体 名 独立行政法人国立青少年教育振興機構 国立立山青少年自然の家(富山県) 速報レポート
  代 表 者 中舎 喜博(所長)
  活動内容 「自我」の芽生えが顕著となる9歳の児童に焦点を絞り、「自立性」を育むように、野外炊飯や登山など「ひとりだち」への第一歩となる多様なプログラムを企画。
  受賞理由 「9歳」に絞った点が新鮮な企画といえ、活動もオリジナリティに富んでいた。年齢を限定すると参加者募集が難しくなることが懸念されるが、473人という応募人数は驚きである。また、地域の社会教室施設との連携は有効で、プログラムに幅が出ている。ただ、少々詰め込み過ぎたという反省も見られるが、4泊5日では短かくなかったかなど、調査も取り入れてその効果を検証されることを期待する。
 

優秀賞 賞金50万円+副賞チキンラーメン半年分
  企 画 名 「無人島一週間自給自足生活 チャレンジアイランド2010」
  団 体 名 特定非営利活動法人 生涯学習サポート兵庫(兵庫県) 速報レポート
  代 表 者 山崎 清治(理事長)
  活動内容 無人島で1週間という長い期間、1日の大半の時間を食材調達と調理に費やして、子どもたちが生きるための自給自足生活をおくるチャレンジプログラム。
  受賞理由 無人島生活への徹底したこだわりを貫いているところが評価に値する。10の掟を前面に出し、無人島という環境を最大限に活かしている。スタッフトレーニング、安全管理を含め準備も万全で、スタッフの質の高さがうかがえた。島通貨「オーシャン」や語らいの時間、そしてプログラムがないなど、子どもたちにとっては貴重、かつ学びの多い体験である。ただ、サポートリーダーの人数が多いが、この点についての説明が欲しいところである。
 


■部門共通(順不同)
トム・ソーヤー奨励賞 副賞チキンラーメン半年分
  企 画 名 「持続可能な社会を目指し、自然とひとと伝統に触れる『山里子ども夏休みキャンプ』」
  団 体 名 特定非営利活動法人 ECOPLUS(東京都) 速報レポート
  代 表 者 高野 孝子(代表理事)
  活動内容 限界集落化が危惧されている集落で沢登りや川遊び、野外料理などの活動を行い、「指示しない」「怒らない」「世話をやかない」の3原則で対応し、自主的な成長を促す活動。
  受賞理由 企画の目的と活動内容が具体的で、コンセプトが明確である。地域の人々、伝統、食べ物などを重視し、さらに振り返りをしっかり行ない、参加者の学習を促進しているところが評価に値する。また、地元とのつながりを築いているところが、成功の要因であったのだろう。子どもたちには楽しく、貴重な体験であったと同時に、地元の清水集落の活性化に役立ったことがうかがえる。ただ、既に完成されたプログラムという印象を受ける。
 

トム・ソーヤー奨励賞 副賞チキンラーメン半年分
  企 画 名 「おたり森の子クラブ2010」
  団 体 名 冒険教育を推進する会(長野県) 速報レポート
  代 表 者 前田 浩一(事務局長)
  活動内容 イカダの上での水上泊や秘密基地づくり、懸垂下降など普段の生活では味わえないダイナミックなチャレンジで「日常にはない大きな心の揺れ」を、子どもたちの心に感じさせる活動。
  受賞理由 年間を通して、継続的・段階的にプログラミングをしている点が評価に値する。内容も大自然の中でのダイナミックな活動である。回数を重ねる毎に、子どもたちの成長の様子がうかがえる。その変化を何らかの方法で報告されることを期待する。ただ、専門家集団であるので、出来て当然という指摘もあり、一般の団体に再現方法をどのように伝えていくかが課題であろう。
 

トム・ソーヤー奨励賞 副賞チキンラーメン半年分
  企 画 名 「川を思いっきり楽しもう!! 2010夏」
  団 体 名 北川流域ネット(宮崎県) 速報レポート
  代 表 者 矢野 純一(代表)
  活動内容 川をコンセプトにした自然体験活動。孟宗竹でイカダ作り、カニヒビ漁、柴エビ漁やうなぎ漁など、昔から流域に伝わる川漁の漁法を通して、生物の生息環境を調査する。
  受賞理由 地域の子どもは地域で育てようという主旨が、よく活かされている活動であった。 日本の数少ない清流の一つ、五ヶ瀬川水系に伝わる漁法の体験なども子どもたちが将来にわたり、大切な水環境を守ることにつながっていくであろう。一方で、反省点に挙げられているように、子どもたち同士の交流の時間の確保や、長期キャンプの実施に向けて指導者養成など課題解決に取り組んでいただきたい。
 

トム・ソーヤー奨励賞 副賞チキンラーメン半年分
  企 画 名 「飛び出せ チャレンジ あはりっ子 ~ふるさとの海(自然)ともっとなかよくなろう~」
  学 校 名 渡嘉敷村立阿波連小学校(沖縄県) 速報レポート
  代 表 者 嵩原 泰代(研究主任)
  活動内容 東シナ海に浮かぶ島の大自然に親しみながら、子どもたちが島を愛し、島の環境を大切にする気持ちを涵養させようとする熱心な海の体験活動。
  受賞理由 渡嘉敷島のすばらしい自然環境と地域人材をフルに活用した内容が評価された。特に保護者や地域の方々が、積極的に活動を応援している姿がほほえましい。また、全児童がほとんどの活動に参加し、海洋安全教室などで海上保安本部の協力を得ているなどは、この島ならではの特色であろう。ただ、昨年度の文部科学大臣奨励賞を受賞した渡嘉敷小中学校と類似したプログラムもあり、今後は新たな創意工夫に期待したい。