表彰式・講演会 概要報告    
(敬称略)
 1月29日(土)、2010年度自然体験活動支援事業「第9回トム・ソーヤースクール企画コンテスト」の表彰式・講演会が、大阪府池田市のインスタントラーメン発明記念館で開催され、教育関係者をはじめ、自然体験活動愛好家や一般の方々などおよそ220名が参加しました。

記念撮影

<主催者挨拶>
(財)安藤スポーツ・食文化振興財団理事長 安藤 宏基

安藤理事長  主催者を代表して安藤財団の安藤理事長が、受賞団体に祝意を述べました。続いて「第9回目となりましたトム・ソーヤー企画コンテストは、162件の応募の中から50団体を支援し、その中から「文部科学大臣奨励賞」や「安藤百福賞」などをお贈りしています。
安藤財団は日清食品の創業者である安藤百福が創設し、4つの事業を行っております。そのひとつが自然体験活動の支援です。安藤百福は、子どもの頃から自然に入って心身を育成させていかなければならないと語っていました。TVやインターネットなどの文明の利器が、自然と触れ合う機会を少なくしています。子どもたちには自然の中で「自活力」を養い、「創造力」を育んでいただきたいと思います。
また、当事業の実施に対して「文部科学省のご支援に感謝いたします。」との挨拶がありました。

<来賓挨拶 要旨>
文部科学省 大臣官房審議官 藤原 誠 様
藤原大臣官房審議官  木義明文部科学大臣の代理で、藤原誠審議官がご出席され安藤財団の事業として、このトム・ソーヤー企画コンテストや、昨年5月に設立された「安藤百福記念 自然体験活動指導者養成センター」などの自然体験活動の振興へのご尽力に、心より感謝いたします。
 このたび、受賞されました学校・団体のみなさまは、それぞれの地域で創造力のある活動を高く評価されたことと思います。各賞を受賞されたみなさま、おめでとうございました。子どもたちの自然体験は、自立心、思いやり、チャレンジ精神などを育み、豊かな人間を育む学びの場でもあります。この受賞を契機として、さらにいい企画を行い、子どもたちの支援をおこなっていただきたいと思います、との挨拶がありました。

池田市長 倉田 薫 様
倉田市長  地元を代表して倉田市長が「インスタントラーメンの町池田にようこそ」「トム・ソーヤー企画コンテストで受賞されたみなさま、おめでとうございます。」とお祝いの言葉がありました。



<講 評>
 審査委員を代表して、岡島成行 大妻女子大学教授の講評がありました。

岡島審査委員  学校部門の最優秀賞である「文部科学大臣奨励賞」を受賞した、東京都の東京大学教育学部附属中等教育学校「課題別学習『Outfitters Training』」は、きっちりとカリキュラム、スケジュールをまとめ、学校教育の中で子どもたちの個性を伸ばそうという姿がよくあらわれていました。担当の先生が大事に育て上げた企画で、大変な熱意が感じられました。

また、一般部門の最優秀賞である「安藤百福賞」に選ばれた、富山県の独立行政法人国立青少年教育振興機構 国立立山青少年自然の家「9歳のひとりだち −ひとりで何でもできるもん!!−」は、自我が芽生えはじめる9歳の子どもたちを、4泊5日間指導するのはさぞ大変であっただろうと想像します。これまで、ありそうでなかった企画で、独創的な点が評価されました。

学校部門の「優秀賞」を受賞した、奈良県の大和高田市立高田西中学校登山部「ダイトレチャレンジ2010」は、生徒たちが一生懸命に活動をしている姿がよく出ていました。そして、最後にはいいかたちでダイヤモンドトレイルを踏破しきった点が評価され、同時に先生方の熱意が優秀賞選考の要因となりました。

一般部門の「優秀賞」を受賞した兵庫県の生涯学習サポート兵庫は、「無人島1週間自給自足生活 チャレンジアイランド2010」というテーマで実施し、子どもたちに10の掟を守れば何をやってもいい、というコンセプトの設定が評価されました。活動の結果、6泊7日の期間で子どもたちが、非常に大きく成長したことが感じ取れた、優れた企画でした。

 これらの賞を受賞された企画を見ていますと、プログラムが洗練され、毎年レベルが高くなってきていると思われます。 また、企画内容がユニークであり、さらなる発展が期待できるプログラムに「トム・ソーヤー奨励賞」をお贈りしています。今年度は、特定非営利活動法人ECOPLUS(東京都)の「持続可能な社会を目指し、自然とひとと伝統に触れる、『山里子ども夏休みキャンプ』」冒険教育を推進する会(長野県)の「おたり森の子クラブ2010」北川流域ネット(宮崎県)の「川を思いっきり楽しもう!! 2010夏」渡嘉敷村立阿波連小学校(沖縄県)の「飛び出せ チャレンジ あはりっ子 〜ふるさとの海(自然)ともっとなかよくなろう〜」の4団体をトム・ソーヤー奨励賞に選考させていただきました。

<表 彰>
■学校部門
文部科学大臣奨励賞 (副賞100万円+チキンラーメン1年分)
東京大学教育学部附属中等教育学校(東京都)
企画名 「課題別学習『Outfitters Training』」
 学校部門 文部科学大臣奨励賞  学校部門 文部科学大臣奨励賞
文部科学省藤原誠審議官から 井口成明先生への表彰状授与
■一般部門
安藤百福賞 (副賞100万円+チキンラーメン1年分)
独立行政法人国立青少年教育振興機構 国立立山青少年自然の家(富山県)
企画名 「9歳のひとりだち −ひとりで何でもできるもん!!−」
安藤財団安藤宏基理事長から 中舎喜博所長へ表彰状の授与
 一般部門 安藤百福賞  一般部門 安藤百福賞

■学校部門
優秀賞 (副賞50万円+チキンラーメン半年分)
大和高田市立高田西中学校 登山部(奈良県)
企画名 「ダイトレチャレンジ2010」

 学校部門 優秀賞  一般部門 優秀賞
安藤財団安藤宏基理事長から 白馬丈視先生へ表彰状の授与
■一般部門
優秀賞 (副賞50万円+チキンラーメン半年分)
特定非営利活動法人 生涯学習サポート兵庫(兵庫県)
企画名 「無人島一週間自給自足生活 チャレンジアイランド2010」

 学校部門 優秀賞  一般部門 優秀賞
安藤財団安藤宏基理事長から 榎本英樹指導局長へ表彰状の授与
■トム・ソーヤー奨励賞
トム・ソーヤー奨励賞を受賞した学校・一般団体の紹介がありました。

トム・ソーヤー奨励賞 (副賞チキンラーメン半年分)
特定非営利活動法人 ECOPLUS(東京都)
企画名 「持続可能な社会を目指し、自然とひとと伝統に触れる『山里子ども夏休みキャンプ』」

トム・ソーヤー奨励賞 (副賞チキンラーメン半年分)
冒険教育を推進する会(長野県)
企画名 「おたり森の子クラブ2010」

トム・ソーヤー奨励賞 (副賞チキンラーメン半年分)
北川流域ネット(宮崎県)
企画名 「川を思いっきり楽しもう!! 2010夏」

トム・ソーヤー奨励賞 (副賞チキンラーメン半年分)
渡嘉敷村立阿波連小学校(沖縄県)
企画名 「飛び出せ チャレンジ あはりっ子 〜ふるさとの海(自然)ともっとなかよくなろう〜」

<受賞団体報告>
表彰式ののち、受賞各団体から活動報告がありました。

東京大学教育学部附属中等教育学校
学校部門 文部科学大臣奨励賞 東京大学教育学部附属中等教育学校

●発表のポイント
子どもたちが主体的に活動し、失敗を繰り返しながらも物事の本質を学んでいく授業こそ、望まれる教育であると考える。この授業での目的は、普段の授業では解決できない子どもの疑問やつまづきを、生徒同士の学び合いの中で「ゆっくり、じっくり」と解決へと導くことであり、自然体験を単なる体験学習の枠で終止せず、1年間のカリキュラムとして存在させ、自然からの学びの重要性を理解させること。

独立行政法人 国立青少年教育振興機構 国立立山青少年自然の家
一般部門 安藤百福賞 独立行政法人 国立青少年教育振興機構 国立立山青少年自然の家

●発表のポイント
富山駅集合時より「ひとりだち」が始まる。自力で切符を買い、富山駅から3時間かけて鉄道と徒歩での入所を目指した。そして、子どもたち自身で森小屋をつくり、寝床づくりや野外炊事をするなど、「自主性」や「自立性」を育み「他者を思いやる心を醸成する」ことを目的として、「基本生活の確立」や「心身の健全な発育・発達」を促すプログラムを企画した。

大和高田市立高田西中学校登山部
学校部門 優秀賞 大和高田市立高田西中学校登山部

●発表のポイント
総延長約50km、標高差1,000mのダイヤモンドトレイルの登山で、教師が先導するのではなく、部員たちが地図を見ながら歩く企画。教師と部員との間で、『この登山の最中は、道に迷ったりしても、教師は絶対に口をださない。道に迷って遭難した場合は、教師もいっしょに遭難する』のが約束。回を重ねるにつれて、はじめはバラバラで歩いていた部員たちが協力しながら、すべての行程を歩ききった。これによって、大きな達成感と連帯感、さらには自信を持つことができた。

特定非営利活動法人 生涯学習サポート兵庫
一般部門 優秀賞 特定非営利活動法人 生涯学習サポート兵庫

●発表のポイント
生活をベースとした無人島キャンプには、明確な目標がない。そのためにプログラムはないが、10の掟を守れば自由に生活できるということをルールとした。その中で自分の役割を探せる力を養うことは、子どもたちの自立にとって、非常に大きな力になりうる。2回の事前研修を行い、無人島では島通貨「オーシャン」を発行し、飲料水はこの通貨との交換のみで手に入れることができるなど、行動への動機付けを行い、自分自身で役割を探せる力を養うことで、日常の生活に戻った際に、無人島での体験が発揮できるような指導をおこなった。

<講演会>
 登山家の栗城 史多さんをお招きし「想いの実現〜エベレスト単独・無酸素登山から学んだこと」をテーマに、お話をいただきました。
単独無酸素で世界の高峰を、リアルタイムに映像を発信しながら登頂している栗城さんは、数々の登山経験から「夢の実現には言葉に出したほうがいい。言葉に出して発信したほうがいい。」と、メッセージを送っていただきました。
そして、「苦しみに対してありがとう、すべてに感謝と伝えたかった。」と困難な登山活動を振り返りながら、熱く語っていただきました。
登山家 栗城 史多さん 登山家 栗城 史多さん