表彰式・講演会 概要報告    
(敬称略)
 1月30日(土)、2009年度自然体験活動支援事業「第8回トム・ソーヤースクール企画コンテスト」の表彰式・講演会が、大阪府池田市のインスタントラーメン発明記念館で開催され、教育関係者をはじめ、自然体験活動愛好家や一般の方々などおよそ220名が参加しました。 (以下、要約)

記念撮影

<主催者挨拶>
(財)安藤スポーツ・食文化振興財団理事長 安藤 宏基

安藤理事長  主催者を代表して安藤財団の安藤理事長より、「この企画コンテストは8回目を迎え、広く世間に認められるようになってきました。今年度は171件の応募があり、この事業をとおして、より多くの子どもたちの自然体験活動への参加に広がりをみせていることを大変喜んでいます。
また、今年はチキンラーメンを発明した日清食品創業者で、財団創設者である安藤百福の生誕百年の年であり、その記念事業の一環として、現在、長野県小諸市に自然体験活動指導者養成センターを建設しています。これからは体系だった指導者養成が重要であると考えています。」との挨拶がありました。

<来賓挨拶>
文部科学省スポーツ・青少年局生涯スポーツ課長 坂元 譲次 様
坂元課長  川端達夫文部科学大臣の代理で坂元譲次 生涯スポーツ課長が出席され、「現在、社会環境が変化し、子どもたちの心身の健全な発達のために充実した活動が求められています。動植物に関心を持ち、自然と調和した生活を考える機会が必要であり、そこに自然体験活動の重要性があります。
一方で、安藤財団が小諸市に自然体験活動の人材育成やカリキュラムの研究・開発を行う国内初の専門施設をつくられると聞き、自然体験活動の充実と発展を期待しています。これからも、自然体験活動のすばらしさを全国に発信されますようお願いいたします。」との挨拶がありました。

衆議院議員、自然体験活動推進議員連盟会長 藤村 修 様
藤村会長  「国会議員超党派でつくっている自然体験活動推進議員連盟の会長という立場から、教育の分野において、これからは机の上の授業ばかりの偏差値教育だけでなく、子どもたちが一番大切な時期に自然に送り出す事は重要です。子どもたちが本当にいきいきと活動できる場所を提供し、自然の中で育ち、育まれるような体験活動と教育政策の推進を行っていきたい。」との挨拶がありました。


池田市長 倉田 薫 様
倉田市長  地元を代表して倉田市長が「池田市は、世界初のインスタントラーメン『チキンラーメン』である発祥の地であると同時に子どもたちの教育に力を注いでいる街です。そして、市内北部には五月山という里山があり、自然体験活動を行う上で最適な環境が整っています。」と歓迎の挨拶とともに、受賞団体へのお祝いの言葉がありました。



<講 評>
 審査委員を代表して、岡島成行 大妻女子大学教授の講評がありました。

岡島 成行 審査委員  学校部門の最優秀賞である「文部科学大臣奨励賞」を受賞した、沖縄県の渡嘉敷村立渡嘉敷小中学校「美ら海 夢島 とかしき チャレンジプログラム ~渡嘉敷島の海で『み・が・く』わたしたち~」は、シュノーケリング体験(体育)、サンゴの海洋調査や保全活動(総合学習・道徳)、渡嘉敷の観光産業の考察(社会)など、「系統的な自然体験学習」を各教科と関連付けて行い、自分を「み・が・く」(見つける・頑張る・工夫する)をテーマに、慶良間の海をフィールドとし、小中一貫教育の中で発達段階に応じた活動を行った点が高く評価されました。

 また、学校部門の「優秀賞」に選ばれた、京都市立醍醐西小学校「長期宿泊・自然体験学習 5泊6日 花背山の家」は、「協力」「挑戦」「感謝」など、日毎に行動目標を掲げることにより、子どもたちの行動に意識付けを行う工夫が評価されました。また、活動の目的であった「人とのつながり」の向上や自主性の強化などについて、活動前・活動直後・1ヵ月後の子どもたちの変容を、アンケートを用いて検証されたことも注目されました。

 一般部門の最優秀賞である「安藤百福賞」を受賞した、宮城県のあじ島冒険楽校「『昔の子どもたち』から『未来の大人たち』へ『島の夏休み』を伝えたい。」というテーマで島伝統の「アナゴ抜き」、竹とんぼ、竹鉄砲作りを通じて、“限界集落”となった島の高齢者が島外の子どもたちに島の昔遊びを伝える自然体験活動で、コンセプトも秀逸であったと思います。“限界集落”といわれる地域で、子どもたちは島の豊かな自然の中での活動や世代間交流を通して、多くの発見・感動をし、高齢者には島の誇りと未来への希望を取り戻す活動となった点が評価されました。

 一般部門の「優秀賞」を受賞した愛知県の学校法人滝の坊学園 三好桃山幼稚園は、「七転八起CAMP」いうテーマで実施し、園児と卒園児の七回の“転ぶ活動”をたくさんの“起きるプログラム”で支える活動。いきなり登山、置き去りウォークラリーなど能動的な行動ができるプログラムを展開し、プログラムにストーリー性を持たせ、子どもたちの好奇心や想像力を掻き立てる工夫が随所に見られた点が、ユニークでした。

 また、企画内容がユニークであり、さらなる発展が期待できるプログラムに「トム・ソーヤー奨励賞」をお贈りしています。今年度は、八王子市立恩方第二小学校「『♪夕やけ小やけ♪の里』から自然体験レッツ・ゴー!」国立妙高青少年自然の家「妙高ジュニアアドベンチャー2009 ~この夏 出会える 新しい自分~」各務野冒険塾実行委員会「各務野冒険塾」広島県尾道市立高見小学校「ふるさと再発見~『海と山 大好き 向島』~」体験活動協会FEA「大自然まるごと野外塾 ~屋久島キャンプ~」の5団体をトム・ソーヤー奨励賞に選考させていただきました。

<表 彰>
■学校団体部門
文部科学大臣奨励賞 (副賞100万円+チキンラーメン1年分)
渡嘉敷村立渡嘉敷小中学校(沖縄県)
企画名 「美ら海 夢島 とかしき チャレンジプログラム ~渡嘉敷島の海で『み・が・く』わたしたち~」
 学校団体部門 文部科学大臣奨励賞  学校団体部門 文部科学大臣奨励賞

■一般団体部門
安藤百福賞 (副賞100万円+チキンラーメン1年分)
あじ島冒険楽校(宮城県)
企画名 「『昔の子どもたち』から『未来の大人たち』へ『島の夏休み』を伝えたい。」

 一般団体部門 安藤百福賞  一般団体部門 安藤百福賞

■学校団体部門
優秀賞 (副賞50万円+チキンラーメン半年分)
京都市立醍醐西小学校(京都府)
企画名 「長期宿泊・自然体験学習 5泊6日 花背山の家」

■一般団体部門
優秀賞 (副賞50万円+チキンラーメン半年分)
学校法人滝の坊学園 三好桃山幼稚園(愛知県)
企画名 「七転八起CAMP」

 学校団体部門 優秀賞  一般団体部門 優秀賞

■トム・ソーヤー奨励賞
トム・ソーヤー奨励賞を受賞した学校・一般団体の紹介がありました。

トム・ソーヤー奨励賞 (副賞チキンラーメン半年分)
八王子市立恩方第二小学校(東京都)
企画名 「『♪夕やけ小やけ♪の里』から自然体験レッツ・ゴー!」

トム・ソーヤー奨励賞 (副賞チキンラーメン半年分)
国立妙高青少年自然の家(新潟県)
企画名 「妙高ジュニアアドベンチャー2009 ~この夏 出会える 新しい自分~」

トム・ソーヤー奨励賞 (副賞チキンラーメン半年分)
各務野冒険塾実行委員会(岐阜県)
企画名 「各務野冒険塾」

トム・ソーヤー奨励賞 (副賞チキンラーメン半年分)
尾道市立高見小学校(広島県)
企画名 「ふるさと再発見~『海と山 大好き 向島』~」

トム・ソーヤー奨励賞 (副賞チキンラーメン半年分)
体験活動協会FEA(福岡県)
企画名 「大自然まるごと野外塾 ~屋久島キャンプ~」

<受賞団体報告>
表彰式ののち、受賞各団体から活動報告がありました。

渡嘉敷村立渡嘉敷小中学校
学校団体部門 文部科学大臣奨励賞 渡嘉敷村立渡嘉敷小中学校

●発表のポイント
自分を「み・が・く」をテーマに、渡嘉敷島で小学校中学校の協同による、系統的・発展的な自然体験学習の展開。「みつける、がんばる、くふうする」がコンセプト。スノーケリング、カヤック、ヒトデ駆除、サンゴ保全、子ども議会などがプログラムに組み込まれた。

あじ島冒険楽校
一般団体部門 安藤百福賞 あじ島冒険楽校

●発表のポイント
「心穏やかに、仲間意識をもった日焼けの似合う、たくましい子どもたちを」が目的。離島の限界集落で、そこに住むお年寄りを先生に、伝統漁法の「アナゴ抜き」、「竹とんぼ、竹鉄砲作り」などを島外の子どもたちに伝える活動。昔の夏休みは、子どもたちに、感動と新鮮さをもって受け入れられた。

京都市立醍醐西小学校
学校団体部門 優秀賞 京都市立醍醐西小学校

●発表のポイント
5泊6日の不便な生活の中で「協力」「試練」「工夫」「挑戦」「笑顔」「感謝」を日毎かわる行動目標にして、子どもたちに常に意識させた。6日間やりとげて、自然に感謝、スタッフに感謝、家族に感謝、すべての人やモノに感謝。すばらしい思い出をありがとう。

学校法人滝の坊学園 三好桃山幼稚園
一般団体部門 優秀賞 学校法人滝の坊学園 三好桃山幼稚園

●発表のポイント
七転び八起CAMPがテーマ。「転ばぬ先の杖」より「安心して転べる環境」を用意。「ただでは転ばない力」「転んだ時にこそ何かを掴み、立ち上がることのできる力」を育むようなプログラムを実施した。ちょっとの失敗に負けない“強く”“しなやかな”こころを育てます。

<講演会>
 作家のC.W.ニコルさんをお招きし「森から未来を見る」をテーマに、お話をいただきました。 森の再生をテーマに、日本の自然のすばらしさ、森のすばらしさを、ユーモアたっぷりに、お話いただきました。
放置された森を再生し、「日本の将来のためには、子どもたちを自然に帰さないといけない。子どもには自然が必要です。」と映像を交えながら、熱く語っていただきました。
作家 C.W.ニコルさん  作家 C.W.ニコルさん