表彰式・講演会 概要報告    
(敬称略)
 2008年度自然体験活動支援事業「第7回トム・ソーヤースクール企画コンテスト」の表彰式と講演会が、1月31日大阪府池田市のインスタントラーメン発明記念館で開催され、自然体験活動や教育関係者、一般の方などおよそ250名が参加しました。 (以下、要約)

記念撮影

<主催者挨拶>
(財)安藤スポーツ・食文化振興財団 安藤理事長

安藤理事長 主催者を代表して安藤財団の安藤 宏基 理事長が、受賞団体に祝意を述べました。続いて「財団創設者安藤百福氏は、幼少期に自然に慣れ親しむことによって、道徳心と正義感が育まれると考えていました。自然体験活動は子どもたちの心身の育成に大変重要であり、自然体験活動の支援をもっとも大切にしていました。
2008年度トム・ソーヤースクール企画コンテストにおいては、10の学校・団体を表彰できる事を大変喜んでおり、みなさんも受賞団体の成果を参考にして、次の自然体験活動の拡大につなげていってほしい、と激励されました。
また、現在来春竣工にむけて、不足しているといわれる指導者の育成を目的として、長野県の小諸市に指導者養成センターを建設しています。これからは指導者の育成にも力を入れ、いっそう自然体験活動を支援していきたい。」という趣旨の挨拶がありました。

<来賓挨拶>
坂元課長 文部科学省スポーツ・青少年局生涯スポーツ課 坂元課長
続いて、塩谷 立 文部科学大臣 の代読で坂元 譲次 生涯スポーツ課長から、受賞団体のすばらしい自然体験活動に敬意を表します。そして安藤財団の活動に謝意を述べられました。
また、「子どもたちを取り巻く環境が変化し、自然の中で仲間と遊んだり、身体を動かしたりする機会が減少し、体力も低い水準にあります。そのような状況の中で、学校、家庭、地域社会が協力し、教育効果の高い自然体験活動を提供させることが大切です。自然体験活動は、『天が授けてくれた図書館』です。 倉田市長 今後も自然体験活動を継続して、全国にその意義を発信していただきたい。」という趣旨の祝辞と挨拶がありました。

池田市 倉田市長の歓迎の挨拶
 開催地を代表して池田 倉田 薫 市長が「ようこそ池田市へ」と歓迎のご挨拶とともに受賞団体への祝意がありました。



<講 評>(要旨)
 審査委員を代表して、岡島成行大妻女子大学教授が各賞を講評しました。

岡島 成行 審査委員  学校団体部門の最優秀賞である「文部科学大臣奨励賞」を受賞した、長野県伊那市立伊那小学校 3年明組(めいぐみ)「ぼくらは林大すき隊 ~もっと林を楽しくしちゃおう~」は、先生が一人で小学3年生34名を、8つのプログラム、のべ33回、5ヶ月間にわたり指導した努力と力量が大変評価されました。試行錯誤している様子や子どもたちが手作りの作業を心から楽しんでいる様子が絵日記などで報告され、地域の環境、子どもの自主性、創造性などを尊重しながら指導された成果がうかがえました。また、ノコギリやトンカチが使えない子どもたちが多い中で、自分たちでフィードアスレチックの遊具を作ってしまったのは、すごいことだと思います。

また、学校団体部門の「優秀賞」に選ばれた、群馬県高崎市立北小学校 エコクラブ地球防衛隊「里山自然体験『七夕山』活動」は、近郊の里山で、竹林整備を通した自然体験活動を実施されました。落葉広葉樹の雑木林が育つ生態系を取り戻すことが目的で、竹細工や生きものとの触れあいなど、観察や五感を刺激するプログラムを展開されました。限られた予算の中で、連携団体や地域のサポートを取り入れて実施した努力と工夫がみられ、活動を通して、子どもたちの自然の恵みへの理解を深め、環境問題について学ぶ内容もしっかりと盛り込まれた効果的な体験学習となった点が評価されました。

一般団体部門の最優秀賞である「安藤百福賞」を受賞した、大阪府の特定非営利活動法人ナック「ノアむしむし探検隊 -年間を通して、ノアの森でむし探しをしよう-」は、里山と昆虫の共生について学び、自然や環境について考える通年の活動で、昆虫にターゲットを絞り、「樹液のレストラン」「灯火採集」「バッタのオリンピック」などのプログラムを実施し、専門家から昆虫の生態について学ぶ自然体験学習を開催し、大人にもアピールする活動が良かったと思います。また、少人数、昼夜・四季を通した観察、親子の参加など、昆虫を観察するための仕組みがよく考えられていました。

一般団体部門の「優秀賞」を受賞した広島県の 安芸青年ホール は、歴史の長い団体です。今年度は、「ほっぷ すてっぷ きゃんぷ3」というテーマで開催し、人との「和」、仲間と協力する喜びを味わうことを目指した自然体験活動でした。22年間継続されているプログラムです。キャンプ全期間を「ジョブ」とよばれる仕事や行事の指令書を中心に活動していく手法がユニークであったと思います。また、徹底したスタッフトレーニングや綿密な計画、リスクマネージメントなど、質の高いプログラムであったこともうかがえました。

次にプログラム面では優秀賞には及ばなかったものの、企画内容がユニークであり、さらなる発展が期待できるプログラムに「トム・ソーヤー奨励賞」をお贈りしています。今年度は6団体を選考させていただきました。

今年度の奨励賞受賞団体は、富山県の 独立行政法人国立青少年教育振興機構 国立立山青少年自然の家 が企画した「チャレンジ&チェンジ!真夏のアドベンチャー -海抜0m~3,000mへの挑戦-」、長野県の 冒険教育を推進する会「おたり森の子クラブ2008」、愛知県の 岡崎市立千万町(ぜんまんじょう)小学校「ふるさと千万町 山里の自然と生活の知恵がいっぱい!みんなが主役 手作りワイルドキャンプ!」。京都府の 京都産業大学附属中学校「京都の森と水探検、調査」、兵庫県の 菊炭(きくずみ)友の会「牧の台小学校『里山体験学習 -クヌギを通して里山を知る-』」、そして昨年度「安藤百福賞」を受賞されました 広島県山岳連盟「わんぱく登山部」を、トム・ソーヤー奨励賞に選考させていただきました。

<表 彰>
■学校団体部門
文部科学大臣奨励賞 (副賞100万円+チキンラーメン1年分)
伊那市立伊那小学校 3年明組(めいぐみ)(長野県)
企画名 「ぼくらは林大すき隊 ~もっと林を楽しくしちゃおう~」
同小学校の 登内 淳 先生 に 坂元 譲次 文部科学省生涯スポーツ課長 から 文部科学大臣奨励賞 の 表彰
 学校団体部門 文部科学大臣奨励賞  学校団体部門 文部科学大臣奨励賞

■一般団体部門
安藤百福賞 (副賞100万円+チキンラーメン1年分)
特定非営利活動法人ナック(大阪府)
企画名 「ノアむしむし探検隊 -年間を通して、ノアの森でむし探しをしよう-」
同会の 宮嶋 啓太 さんに 安藤 宏基 理事長 から 安藤百福賞の表彰

 一般団体部門 安藤百福賞  一般団体部門 安藤百福賞

■学校団体部門
優秀賞 (副賞50万円+チキンラーメン半年分)
高崎市立北小学校 エコクラブ地球防衛隊(群馬県)
企画名 「里山自然体験『七夕山』活動」
優秀賞を受賞した 高崎市立北小学校エコクラブ地球防衛隊 代表の 勅使川原 さゆみ さん(写真左)

■一般団体部門
優秀賞 (副賞50万円+チキンラーメン半年分)
安芸青年ホール(広島県)
企画名 「ほっぷ すてっぷ きゃんぷ 3」
優秀賞を受賞した 安芸青年ホール 会長の 柳川 聡 さん(写真右)

 学校団体部門 優秀賞  一般団体部門 優秀賞

■トム・ソーヤー奨励賞
トム・ソーヤー奨励賞を受賞した各学校・団体に、安藤 宏基 理事長 から奨励賞の表彰がおこなわれました。

トム・ソーヤー奨励賞 (副賞チキンラーメン半年分)
独立行政法人国立青少年教育振興機構 国立立山青少年自然の家(富山県)
企画名 「チャレンジ&チェンジ!真夏のアドベンチャー -海抜0m~3,000mへの挑戦-」
国立立山青少年自然の家 所長の 富澤 邦明 さん(写真左)

トム・ソーヤー奨励賞 (副賞チキンラーメン半年分)
冒険教育を推進する会(長野県)
企画名 「おたり森の子クラブ2008」
冒険教育を推進する会 代表 の 梶谷 耕一さん(写真右)
 トム・ソーヤー奨励賞  トム・ソーヤー奨励賞

トム・ソーヤー奨励賞 (副賞チキンラーメン半年分)
岡崎市立千万町(ぜまんじょう)小学校(愛知県)
企画名 「ふるさと千万町 山里の自然と生活の知恵がいっぱい!みんなが主役 手作りワイルドキャンプ!」
岡崎市立千万町(ぜまんじょう)小学校 の 荻野 嘉美 先生(写真左)

トム・ソーヤー奨励賞 (副賞チキンラーメン半年分)
京都産業大学附属中学校(京都府)
企画名 「京都の森と水探検、調査」
京都産業大学附属中学校 の 米澤 信道 先生(写真右)
 トム・ソーヤー奨励賞  トム・ソーヤー奨励賞

トム・ソーヤー奨励賞 (副賞チキンラーメン半年分)
菊炭(きくずみ)友の会(兵庫県)
企画名 「牧の台小学校『里山体験学習 -クヌギを通して里山を知る-』」
菊炭(きくずみ)友の会 代表の 大門 宏さん(写真左)

トム・ソーヤー奨励賞 (副賞チキンラーメン半年分)
広島県山岳連盟(広島県)
企画名 「わんぱく登山部」
広島県山岳連盟の 今村 みずほ さん(写真右)
 トム・ソーヤー奨励賞  トム・ソーヤー奨励賞

<受賞団体報告>
表彰式ののち、受賞各団体から活動の報告がありました。

学校団体部門 文部科学大臣奨励賞 伊那市立伊那小学校 3年明組(めいぐみ)(写真左)と
一般団体部門 安藤百福賞 特定非営利活動法人 ナック(写真右)。
  伊那市立伊那小学校3年明組(めいぐみ)     特定非営利活動法人ナック

学校団体部門 優秀賞 高崎市立北小学校 エコクラブ地球防衛隊(写真左)と
一般団体部門 優秀賞 安芸青年ホール(写真右)。
  高崎市立北小学校エコクラブ地球防衛隊     安芸青年ホール

<講演会>
 アルピニストの野口健さんをお招きし「富士山から日本を変える」をテーマにした講演会がおこなわれました。 地球環境を取り巻く状況を、エベレストや富士山の体験をあげながら、わかりやすくユーモアを交えて話され、会場は熱気につつまれました。
アルピニスト 野口 健 さん  アルピニスト 野口 健 さん  アルピニスト 野口 健 さん