表彰式・講演会 概要報告    
 2007年度自然体験活動支援事業「第6回トム・ソーヤースクール企画コンテスト」の表彰式と講演会が、3月15日大阪府池田市のインスタントラーメン発明記念館で開催され、自然体験活動や教育関係者、市民などおよそ250名が参加しました。 (以下、要約)

記念撮影

<ご挨拶>
安藤 宏基 安藤財団理事長

安藤 宏基 安藤財団理事長  主催者を代表して安藤財団の安藤宏基理事長が、財団活動の中で、自然体験活動の支援をもっとも大切にしていた財団創設者安藤百福の遺志を引き継ぎ、また自身も幼少期の自然体験が人生において重要な要素である事を実感しており、これからも青少年の自然体験活動を支援していきたい。さらに、指導者の研修センターを建設し、指導者の育成にも力を入れたい、という趣旨の挨拶がありました。
 また、2007年度トム・ソーヤースクール企画コンテストにおいて、6つの賞を表彰できる事を大変喜んでおり、みなさんも受賞団体の成果を参考にして、次の自然体験活動の拡大につなげていってほしい、と激励されました。

<ご来賓挨拶>
鈴木 隆 生涯スポーツ課長 文部科学省からの祝辞要旨
 続いて、文部科学省の 鈴木 隆 生涯スポーツ課長から、「近年、子どもたちを取り巻く環境は著しく変化をしており、その中で自然体験活動は、自然の厳しさや恩恵を知ることにより、思いやりの心や想像力・チャレンジ精神を育み、自立への意欲を持ち行動するために必要な能力を育成するなど、豊かな人間性・社会性を育成する上でますます重要となってきています。受賞団体の熱意に満ちた活動に敬意を表します」。そして「今後も自然体験活動を継続して、青少年の育成にご尽力をしていただきたい。」との祝辞がありました。

倉田 薫 池田市長 倉田 薫 池田市長の歓迎の挨拶
 開催地を代表して倉田薫池田市長が「ようこそ池田市へ」と歓迎のご挨拶。
 受賞団体への祝意とともに、自然体験活動を通じて日本の国民が全て心身健康になって、世界に貢献できる日本人としてがんばっていただきたい、という趣意のご挨拶がありました。


<講 評>(要旨)
 審査委員を代表して、岡島成行大妻女子大学教授が各賞を講評しました。

岡島 成行 審査委員  「文部科学大臣奨励賞」を受賞した、大町市立第一中学校探研部「手作りカヌーによる仁科三湖探研」という活動は、生徒の自信と郷土愛を育むという目的に合致しています。参加者の規模は大きいとはいえませんが、モノづくりとカヌーでの挑戦という貴重な体験の機会を提供した点に本事業の特色が認められます。また、中学校のクラブ活動としては珍しい活動と思われ、子どもたちの協力し合う姿もよく見えるとともに、指導教諭や学校長の熱意もよく伝わり、全国の中学校の参考になると思われます。

 また、学校団体部門の「優秀賞」に選ばれた、群馬県の甘楽町立新屋小学校は、「ぼくらの ふるさと 学び隊‥大地と水と大空と‥豊かな自然の中でがんばるぞ!」というテーマで、総合的な学習の時間の一環として本事業を明確に位置づけ、児童、民間、保護者が一体となって、6ヶ月という長期にわたって農業体験を展開している点が高く評価されました。一方で、サマースクールにおいても、地域の自然、文化、歴史を活かした活動は、児童の郷土に対する理解を深める上で効果的であったと思います。

 一般団体部門の「安藤百福賞」を受賞した、広島県山岳連盟「わんぱく登山部」という活動で、組織をあげて子どものための登山を企画、運営、指導にあたったもので、わが国では数少ないユニークな取り組みと思われます。年間11回計17日登山を実施し、同時に、昔からおこなわれていた大人から子どもへの遊びや文化の継承が、「山あそび」という形でごく自然に行われていることと、それがきっかけとなって現代の若い親たちにも、自然に目を向けさせることに成功している点が特に高く評価されました。日本の登山界復興のためにも、このような地道な努力が大切であります。日本の登山界全体が、是非こうあってほしいと願う活動が高く評価されました。

 一般団体部門の「優秀賞」を受賞した大阪のシニア自然大学CONE枚方・交野地区実行委員会は、「枚方子ども自然教室」を開催し、地域の4小学校、公園、学習センターなどを利用して5~12月に計24回、延べ1,494人が参加した規模の大きさは特筆に値します。参加者及びスタッフ双方が長期にわたって継続できたことは、すばらしいと思います。また、定年退職者などシニアのみなさんで、これだけすばらしい活動ができることを実証され、ボランティアの参考となりました。

また、今年度は、プログラム面では優秀賞には及ばなかったものの、企画内容がユニークであり、さらなる発展が期待できる団体にトム・ソーヤー奨励賞をお贈りすることになりました。今年度は名古屋大学博物館の「地球教室 -河原の石で石包丁をつくろう-」と、奈良・自然への感動を伝える会「ならなぎ」の「奈良公園親子自然観察教室『鹿がつくる奈良公園の自然を学習する』」を選考させていただきました。

<表 彰>
■学校団体部門
文部科学大臣奨励賞 100万円+副賞チキンラーメン1年分
大町市立第一中学校探研部(長野県)
テーマ 「手づくりカヌーによる仁科三湖探研」
同中学校の 長澤 正尋 顧問に、鈴木 隆 文部科学省生涯スポーツ課長から、文部科学大臣奨励賞の表彰。(写真左)

■一般団体部門
安藤百福賞 100万円+副賞チキンラーメン1年分
広島県山岳連盟(広島県)
テーマ 「わんぱく登山部」
同連盟の 今村 みずほ さんに、安藤宏基理事長から、安藤百福賞の表彰。(写真右)

 学校団体部門 文部科学大臣奨励賞  一般団体部門 安藤百福賞

■学校団体部門
優秀賞 50万円+副賞チキンラーメン半年分
群馬県甘楽郡甘楽町立新屋小学校(群馬県)
テーマ 「ぼくらの ふるさと 学び隊‥大地と水と大空と‥豊かな自然の中でがんばるぞ!」
同校の 福沢 宗治 校長に安藤宏基理事長から、優秀賞の表彰。(写真左)

■一般団体部門
優秀賞 50万円+副賞チキンラーメン半年分
シニア自然大学CONE枚方・交野地区実行委員会(大阪府)
テーマ 「枚方子ども自然教室」
同会の 山本 和俊 会長に安藤宏基理事長から、優秀賞の表彰。(写真右)

 学校団体部門 優秀賞  一般団体部門 優秀賞

■トム・ソーヤー奨励賞
トム・ソーヤー奨励賞 副賞チキンラーメン半年分
名古屋大学博物館(愛知県)
テーマ 「地球教室 -河原の石で石包丁をつくろう-」
同博物館の 束田 和弘 さんに、安藤宏基理事長から、奨励賞の表彰。(写真左)

トム・ソーヤー奨励賞 副賞チキンラーメン半年分
奈良・自然への感動を伝える会「ならなぎ」(奈良県)
テーマ 奈良公園親子自然観察教室 「鹿がつくる奈良公園の自然を学習する」
同会の 三木 正明 代表に、安藤宏基理事長から、奨励賞の表彰。(写真右)

 トム・ソーヤー奨励賞  トム・ソーヤー奨励賞

<受賞団体報告>
大町市立第一中学校探研部 学校団体部門 文部科学大臣奨励賞
大町市立第一中学校探研部(長野県)
長澤 正尋 顧問(左)と探研部員の大谷君
「困った時に知恵を出しあう事の大切さを体験した・・・」


広島県山岳連盟 一般団体部門 安藤百福賞
広島県山岳連盟(広島県)
今村 みずほ さん
「子どもたちからたくさんの世代が、山遊びを通してつながっていった・・・」


群馬県甘楽郡甘楽町立新屋小学校 学校団体部門 優秀賞
群馬県甘楽郡甘楽町立新屋小学校(群馬県)
福沢 宗治 校長
「全児童参加の自然体験学習で多くの成果が・・・」


シニア自然大学CONE枚方・交野地区実行委員会 一般団体部門 優秀賞
シニア自然大学CONE枚方・交野地区実行委員会(大阪府)
山本 和俊 会長(左)と川野 晴雄 さん
「子どもたちに自然への驚きと感動を与えることができた・・・」



<講演会>
 登山家の田部井 淳子さんをお招きし「『偉大なる自然に感謝』~主婦として、母として~」と題した講演会がおこなわれました。

 自身の小学校時代の体験から、自分の足で歩き、自分の目で見た、自分の肌で感じた体験は、学校の教室で習ったものよりはるかに大きい。また、山登りはどんなにゆっくりでも、自分の歩ける速さで歩いていけば、必ず頂上に立つ事ができ、達成感、満足感が得られる。そして、自然の中で人の命はすごいものだという事が実感できる。さらに、エベレスト登頂や世界の山々の登山経験から、地球の温暖化やゴミ・排泄物の処理問題にいたるまで、大変示唆に富んだお話しをしていただきました。

登山家 田部井 淳子さん  登山家 田部井 淳子さん  登山家 田部井 淳子さん

中川 晋 安藤財団理 <閉会の挨拶>
 中川 晋 安藤財団理事が、受賞団体への祝意と、「これからも自然体験への取り組みの応援をしていきたいと思います。」と語り、参加者、関係者へ謝意を表して、全てのスケジュールを終了しました。