平成18年度トム・ソーヤースクール企画コンテスト支援50団体の企画より、
その活動や実施のレポートを順次掲載していきます。


  活動レポート    

NO学校・団体名都道府県企画の概要
30 NPO法人 グリーンウッド自然体験教育センター 長野県 「僕たちにもできた!!2006登り窯プロジェクト」地域に根ざした暮らしから学ぶ自然体験―土・木・炎からものづくり
「登り窯」で手作りの食器を作る。登り窯の仕組みを通じて自然について科学的な理解を深めるとともに、燃料の赤松を用意するなどの自然体験活動のプログラムが組み込まれる。

「僕たちにもできた!!2006登り窯プロジェクト」
窯の働きを理解する~穴窯改造編 [2006.7-9]

 日  時:平成18年7月8日~10日・9月17日~26日
 場  所:長野県泰阜村 NPOグリーンウッド施設内 伊那谷あんじゃね自然学校
 参加者:小学5年生~中学3年生15名、スタッフ5名、地元陶芸家2名

今回のプロジェクトで実施する「穴窯」は薪で焚く窯で、原始的なつくりをしています。
鎌倉時代以前は、陶器はもともと野焼きで焼いていました。温度は600℃程度。
しかしまわりに壁を作ることでもっと温度が上がり、高度な作品が出来るのではないかと当時の人たちは考え
山の斜面を利用して作られたのが穴窯です。
穴窯は斜面に作られているので窯そのものが煙突の役割をしています。
しかし私たちが焚く穴窯は平地に作られていて、過去の窯焚きでは炎の吸い込みが悪く
1100℃までしか上がりませんでした。
そこで、子どもたちと1250℃まで上げられる窯に改造・修理をすることにしました。
ただし修理だけが目的ではありません。大きな目的は
構造を理解することで『窯焚き中、中では一体何が起きているのか、炎の流れや蓄熱を知る』ことと
用意されたものをただ使うのではなく『自分たちで作り上げることの大切さを知る』ことです。

まずは子どもたちと窯の現状を共有し、どのように改造すればいいのかを考えました。
ここで活きてくるのが、4月に行った「七輪陶芸」です。
子どもたちは七輪で窯焚きをしていることで、土が石になる過程や、窯の仕組みを理解しています。
つまり穴窯と七輪は大きさこそ違えど、仕組みは同じものなのです。
子どもたちは火と熱、土と陶器の関係を知っているので
陶芸家の先生から、穴窯の形や構造を教えてもらったところで
「炎の吸い込みを良くするばいい!」「だったら煙突を太くすれば?」というアイデアが次々と出てきました。
そこから先生と相談して、①煙突を太く長く!②狭間穴(さまあな)を広げる!③アーチを作る!
という三点を改造することにしました。
煙突と狭間穴は通り道を広げることで、炎の吸い込みを増やします。
吸い込みが増すと熱が抜けすぎてしまう可能性があるので、炎が滞留するように捨て間としてアーチを作るのです。
7月と9月、子どもたちは1チーム1時間半でローテーションを作り、改造を行いました。


まずは窯の解体!
先生の指示に従いながらハンマーを使ってレンガを崩します。

こちらは接着するためのモルタルを
レンガにつけています。

アーチ部分にレンガを積んでいきます。適当にやってしまうと窯焚き中に崩れる可能性も。
子どもにも大きな責任が課せられます。

アーチ部分の型を抜く瞬間!
緊張の一瞬です。

うまく出来ました!
このアーチが窯焚きでどのような働きを見せるのでしょうか。楽しみです。

小学生でも一人の大切な仲間として作業に関わるので手は抜けません。
子どもたちがここで学ぶもの、感じ取るものは計り知れません。

穴窯は、構造はよくわからないけどボタンひとつでなんでもできる機械とは違います。
例えば電子レンジは、仕組みが分からなくても誰でも使えます。
子どもでも大人でもボタンを押せば「ハイ!出来上がり!」。
実際に子どもたちは自分で作ることで構造を身体で覚え、自分たちでもできるという自信を付けていきます。
窯もただの道具ではなく、一つ一つのレンガの重さを知っている
自分の手の届く日常の延長に感じたことと思います。
次回はいよいよこの穴窯を使っての窯焚きです。
自分たちで作った作品を、自分たちで修理した窯で、自分たちで焚く!
子どもたちは何を感じ、何を学ぶのでしょうか。




支援団体活動レポート