平成18年度トム・ソーヤースクール企画コンテスト支援50団体の企画より、
その活動や実施のレポートを順次掲載していきます。


  活動レポート    

NO学校・団体名都道府県企画の概要
20 八王子市立由木西小学校 東京都 「お台場のルーツをたどる旅」
かつて同地の松材を伐り、相模川から品川沖のお台場造営に使われたという資料をもとに、松材が伐られた場所からお台場までをたどりながら、地域の歴史と文化に関心を持たせるという体験活動。

「お台場のルーツをたどる旅」 第3回・相模川を下る [10/14]

 日  時:平成18年10月14日(土) 9:00~17:00
 場  所:神奈川県茅ヶ崎市柳島周辺(松材運搬の中継地)
 参加者:子ども11名、おとな6名

 7回シリーズの第3回目。
 前回はお台場の礎となった松材を相模川に落とした場所を
 見学しましたが、今回はその松材を載せた船が川を下った経路を
 電車でたどり、河口にある茅ヶ崎市では、先祖が廻船問屋を営んでいた当時の道具を
 個人で保存している資料館を見学しました。
 その後、平塚駅までの約6kmを4歳児2名をはじめ全員が完歩しました。

8月に下見を実施しました。
当初の予定は、川船から海を運ぶ船に積み替えた平塚市にある須賀港と平塚市立博物館の見学でした。
ところが博物館の学芸員の方から、ペリー来航時、浦賀まで見に行った様子を記録した
藤間柳庵という人が隣の茅ヶ崎市にいて、藤間家は今でもそれらの資料を保存し
公開しているという話を伺い、当日は「藤間柳庵資料館」の見学をメインにすることにしました。

 1.相模川を電車で下る

相模線は首都圏の鉄道では数少ない単線です。
始発の橋本駅から相模川に沿って走っているので車窓から時々川を見ることができます。
終点の茅ヶ崎駅まで約1時間乗りました。


線路の両側には 東京では減ってしまった
田んぼが広がっていました

車内の冷蔵房の空気を外に出さない工夫
大事なドアの開閉スイッチ

 2.資料館を訪ねる

藤間柳庵(とうまりゅうあん)は、幕末に相模の国(今の神奈川県)柳島で、名主をつとめた人です。
お台場を作るきっかけとなったペリー来航の時は浦賀まで行き、遠めがねで黒船を観察し くわしく記録しています。
トムソーヤーと同じように「好奇心の塊」のような人だと思いました。
「藤間柳庵資料館」は、現当主の藤間雄蔵さんが自宅の物置を改造して公開している手作りの資料館です。
(事前の連絡が必要です)
廻船問屋も営んでいた藤間家の昔からの道具を展示していますが、中でも目を引くのが
川の底から偶然に掘り出された2艘の帆船の錨(いかり)です。
参加者に小学校低学年の子どもが多かったので、藤間雄蔵さんは先祖伝来の道具を手にしながら
わかりやすく説明してくれました。
子どもたちもとても熱心に聞いていました。


自宅の物置を改造して作った資料館

木材の太さを測ったものさし

真剣に聞く子どもたち

板を裏返して材木を数える道具

自宅の裏にある掘り抜き井戸
枠にはやはり松材を使っている

大きなニッケイの木
シナモンの香りがプンプン

 3.相模川を歩いて渡る

本活動には3つのめあてがあります。
1つはお台場のルーツをたどること、2つ目は博物館を訪ね専門家の話を聞くこと
そして最後が歩いて体をきたえることです。
今回は、資料館から海にでて昼食をとり、相模川を越えて平塚の漁港に寄り
平塚駅までの約6kmのコースでしたが
4歳の女の子2名をはじめ、全員が元気に歩き通すことができました。


茅ヶ崎の海でお昼ご飯

八王子っ子にとっては久しぶりの海

海で拾った宝物

長さ約800mの湘南大橋を渡る

年齢はバラバラだけど
みんなで助け合って歩きます。

相模川の河口はものすごく広い
渡り終わった橋を後ろに

 4.大発見!

藤間柳庵が御触書(おふれがき)を書き留めた「年中公触録」という古文書を
茅ヶ崎市が解読した史料集をいただきました。
その中に、本校の学区にある「鑓水村から松材を伐りだし、相模川を流すので取り計らうように」
との文章を見つけることができました。
今までは鑓水の名主の家に保存されていた古文書でしか確かめられなかった事実が
遠く離れた茅ヶ崎の地でも確かめることができ、「ルーツをたどる」ことをより実感することができました。
またその古文書には、松材を伐り出した場所として平塚市の中原と、津久井の小倉村も記されていました。
本企画を立てた時点では、小倉は鑓水村からの松材を相模川に落とす単なる中継地だと思っていたのですが
実際は小倉村の御林(おはやし:江戸幕府が直接管理した山)からも、松材を伐り出したことがわかりました。
運搬に便利な平塚や小倉から伐り出しが始められたことがわかり、
「どうして鑓水のような川から遠い不便な所から松材を伐り出したのだろう」という疑問が解決しました。


茅ヶ崎市 施設柳島記念館の
資料室を見学

この場所から
観音丸の錨が出たそうです

ランプがつく相模川の地図の前で

鑓水の木材もここを通りました

6kmの道のりを
歩き通した子どもたち
(平塚駅)




支援団体活動レポート