平成18年度トム・ソーヤースクール企画コンテスト支援50団体の企画より、
その活動や実施のレポートを順次掲載していきます。


  活動レポート    

NO学校・団体名都道府県企画の概要
20 八王子市立由木西小学校 東京都 「お台場のルーツをたどる旅」
かつて同地の松材を伐り、相模川から品川沖のお台場造営に使われたという資料をもとに、松材が伐られた場所からお台場までをたどりながら、地域の歴史と文化に関心を持たせるという体験活動。

「お台場のルーツをたどる旅」 第1回・絹の道を歩く [7/15]

 日  時:平成18年7月15日(土) 11:00~14:00
 場  所:八王子市鑓水 「絹の道資料館」
       松材伐採跡地 東京都文化財「小泉屋敷」
 参加者:子ども10名、おとな5名

 7回シリーズの第1回目。
 学区にある「絹の道資料館」を訪ねました。
 ここは幕末から明治にかけて生糸の取引で活躍した「鑓水商人」の屋敷跡に建てられ
 養蚕が盛んな秩父・甲州(山梨県)地方から横浜の港まで輸出用の生糸(絹糸)を大量に運んだ
 ルートの中心地として栄えた様子を学ぶことができます。

 この資料館の一角に「黒船来航と鑓水」というコーナーがあります。
 「黒船と鑓水にどんな関係が?」
 この一見何も関係なさそうな組み合わせの展示が
 私たちに「調べてみたい」という探検心を育むきっかけを与えてくれたのです。
 1853年、アメリカは江戸幕府に開国を迫るため
 ペリー率いる黒船をおくりましたが、幕府は戦う道を選び
 大砲をのせる台を置く島を品川沖に作ることを決めました。
 海の中に島を作るためには木の棒(くい)を砂浜に打ち込まなければ
 なりません。そこで注目されたのが、松の木です。
 なぜならば、松はヤニをたくさん含んでいるために
 水の中にあっても腐りにくい木であるからです。
 幕府は東京湾周辺の数カ所から松材を集めました。
 その一つが「鑓水の松」だったのです。
 (写真「資料館にて調査」)

 松材を伐った場所までは、「絹の道」を通ります。
 生糸を運ぶ人々がにぎやかに往来した当時のままに
 舗装されずに残っています。
 坂道を登りきった所には「道了堂」の跡があり、
 八王子の町を一望することができます。
 この道は100年前には茶店が何軒も並び
 とてもにぎわった場所だったことが資料館の展示でわかりますが
 今はごらんの通りひっそりとしています。
 (写真「昔賑わった道を歩く」)



 道了堂近くの尾根の南面に松林があったといわれていますが
 ほとんど伐り尽くされたのか、
 現在は檜林とクヌギコナラなどの雑木林になっていました。
 100年前には栄えていた道了堂と、
 100数十年後に突如としてにぎわい始める「お台場」との対比に
 歴史の不思議さを感じました。
 (写真「今はこのような雑木林に」)





 昼食後、絹の道をもどって東京都の文化財「小泉屋敷」を見学しました。
 江戸時代に作られた典型的な養蚕農家のつくりをしています。
 小さい子には足を高く上げなければまたげない大きな敷居
 そして広い土間と屋敷内にあるケヤキで作られた太い大黒柱。
 当主の小泉さんからは「飼っているおカイコ様が大きくなると
 畳を全部はがし、私たちは廊下に寝ました。」という話を伺いました。
 ひんやりとした上がりがまちの木の感触、かまどのにおい、
 裏山から竹筒でひいた清水が水桶に落ちる音。
 子ども達は静かさの中でさまざまなことを感じることができました。
 (写真「小泉屋敷にて」)


 実施間際の呼びかけで、参加者は少なかったのですが
 猛暑の中、学ぶことの多かった1日でした。
 次回は夏休み中に、お台場を探検します。



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