平成18年度トム・ソーヤースクール企画コンテスト支援50団体の企画より、
その活動や実施のレポートを順次掲載していきます。


  活動レポート    

NO学校・団体名都道府県企画の概要
15 NPO法人 むさしの里山研究会 埼玉県 「里山体験プログラム」
「生き物」「農業」「食」をキーワードとした自然体験活動で、里山ワクワクコース、里山チャレンジャーコース、里山スローフードコース、里山ネイチャーコースなど参加者の年齢と目的に合わせたプログラムが特徴。

「里山体験プログラム」 9月~10月の体験プログラムの報告 [2006/9-10]

 9月と10月に行った3回の体験プログラムの状況を報告します。
 このほかに、「秋の昆虫採集」と「田んぼの生き物探し」も企画したのですが
 参加申込者が一人もいなかったため、中止となりました。生き物系は人気がないようです。

 「キノコ狩りとキノコ汁作り」
 日  時:平成18年9月23日(土) 10:00~14:00
 場  所:風布川
 参加者:大人3名、子供10名、幼児1名

ふれ合い農園に集合し、簡単なあいさつの後、早速冒険遊び場の雑木林へと向かいました。
林に入ろうとした途端、誰かがマムシを見つけました。枯れたスギの葉のあいだにじっとうずくまっています。
写真撮影のモデルになって頂いてから、棒でこづいてお引き取り願いました。
この林でマムシを見たのは初めてでしたが、ここで遊ぶときは注意が必要です。
肝心のキノコはとても食べられそうにない代物が何本か見つかっただけでした。
ちょっと時期が早いのかも知れません。

そこで、午後は別の場所を探すことにして、キノコ汁を味わうことにしました。
本来は野生のキノコを味わいたいところですが、食べられそうなキノコが見つからなかった上
毒キノコ中毒が心配でしたので、八百屋さんから買ってきたキノコを食材としました。
キノコ汁に入れたのは、シイタケ、シメジ、ブナシメジ、ナメコ、ヒラタケ、マイタケと盛りだくさんです。
数人の子供がキノコを刻んだりして、キノコ汁作りに協力してくれました。
こうしてできたキノコ汁を味わいながら、各自持参のお弁当を頂きました。
お腹が一杯になったところで、腹ごなしを兼ねてキノコ探しに再チャレンジです。
ふれ合い農園から30分ほどの距離にある小高い丘まで、キノコを探しながら登ることにしました。
ササに囲まれた細い道沿いに、2~3種類のキノコが見つかったのですが、名前が分かりません。
途中で道がなくなってしまったのと、みんな疲れた様子なので引き返し
ふれ合い農園に戻ったところで解散としました。

今回はやはりキノコに詳しい方を講師に招いて行うべきだと痛感しました。
実は、講師をお願いしても参加者がいなくて中止ということを考えると、ためらってしまったのです。
また、知人にキノコの専門家がおらず、気軽に頼める人がいなかったというのも、講師を呼べなかった原因です。
参加者が少ない現状では講師謝金調達の問題もあります。
とはいえ、自然にふれ合うとともに、専門家から学ぶことは大切ですので
来年の体験プログラムでは何とか講師同伴で実施したいと考えています。

 「雑木林で遊ぼう」
 日  時:平成18年10月9日(月) 10:00~12:00
 場  所:当会フィ-ルド
 参加者:大人13名、子供14名

先ずトンボ公園でバッタ取りやザリガニ釣を楽しみました。
ここで採ったイナゴは11月5日の収穫祭でつくだ煮にして食べるため、あとで事務局が頂きました。
トンボ公園でひと遊びしてからトンボ自然館に立ち寄り
思い思いにトンボ標本を見たり、パズルにチャレンジしました。
その後ふれ合い農園でおみやげ用のサツマイモの収穫と、カブトムシの幼虫探しを行いました。
カブトムシは丸々と太っており、とてもおいしそうです。いつか食べてみたいものです。
次はお目当てのクリ拾いで、クリが落ちていないかと探しながら冒険遊び場へと向かいました。
ところが、道の途中や冒険遊び場にイガは落ちているのですが、クリはあまり落ちていません。
すでに誰かが来て拾ってしまったようです。
今年はドングリが不作なようで、クヌギやコナラの実も全く落ちていません。
クリがダメでもドングリがあるだろうと思っていたのですが、当てがはずれてしまいました。
しかし、だいぶ前に伏せておいたほだぎに椎茸が出ていましたので
栗の替わりにおみやげに持ち帰った子もいたようです。
ちょっとスリルがあるブランコにもチャレンジしました。
今回は当会のフィールド紹介を兼ねてあちこち回って強行軍だったのですが
好天に恵まれたおかげで楽しく過ごせたと思います。

 「さあ!稲刈りだ」
 日  時:平成18年10月15日(日) 10:00~12:30
 場  所:牟礼地区の体験田んぼ
 参加者:大人15名、子供17名

6月に黒米の田植えを行った約8アールの田んぼの稲刈りです。
天気予報ほどの好天ではありませんが、雨の心配はないようです。
あいさつの後、黒米の解説と注意事項の説明のあと、各自稲刈り用の鎌を手に刈り取り作業に取りかかりました。
例年は束ねる作業も子供たちにやってもらうのですが、束が小さすぎたり、ほどけてしまったりと効率が悪いので
今年は束ねるのは大人が専門で行うことにしました。
稲刈りよりもカエル探しに熱中する子もいます。
この日はNHKテレビが稲刈りの様子を撮影に来ました。(後日ニュースの時間に数秒間放映されたそうです)
刈り取ったイネはおしりを揃えて、適当な大きさにまとめて置いておくようにと指示したのですが
子供たちの中にはイネを刈り取るのが精一杯で、ついバラバラに置いてしまいます。
バラバラに置かれたイネを揃えるのは大変です。そこで可愛そうだとも思ったのですが、何度も強く注意をしました。
おかげで次第に上手に置いてくれるようになりました。
共同作業ですので、ル-ルを守ることを伝えることも大切でしょう。
今日の作業が終えるのは午後3時頃までと予想していたのですが、予想を遙かに超えるハイペースで作業が進み
何と昼には干し終えることができました。
早く終えることはできたのは、大人と子供で作業を分担したことや、収量が少なかったこと、
田んぼがぬかるんでいなかったことなどが理由にあるでしょうが、みんなが頑張ったことが一番の理由です。
今年も参加者がたいした怪我をせず無事に予定の作業を終えることが出来、ホットしました。
昼食には事務局で用意したけんちん汁をおかずに、ゆっくりと昼食を頂き、昼食後解散となりました。
作業が早く終わったので、解散後も田んぼで遊ぶ子や、トンボ公園まで足を延ばした方もいらしたようです。

 <クリ拾いに参加された皆様の感想>

クリ拾いには、浦和で自然体験活動をされている「ちびっ子探検隊」の皆さんが参加され
その感想をメールでお寄せ下さいました。 以下に紹介させて頂きます。
(実名で送信して下さったのですが、お名前はイニシャルにしました)

今回、参加した家族は7家族でした。ちびっこ探険隊に小さいころから数年通い続けた常連の子どもたち家族です。
私たちがいつもおさんぽしている荒川の河川敷とは様子の違う里山の自然に、大興奮している様子がよく分かりました。
普段、「里山」という風景になじんでいなくても、経験がなくても、里山の風景を見るとなぜかわき起こる郷愁の念・・これって、日本人の心に眠っている過去の記憶なのかしら?その風景には、日本の農業の存続やあり方が深く関与していることをあらためて感じる経験になりました。ちょっと疲れ果てていた心が癒やされる風景でしたね。
ちびっこ探険隊の子どもたちを見ていると、子どもたちの本質って変わっていないんだな・・・と思うことが良くあります。もともと、自然と付き合う素質を持った子どもたち、その後の育ちの環境次第でいろいろな方向へ変わっていくのかも知れませんね。
子どもたちの小さいうちの自然との付き合いはとっても大切だけど、子どもたちを育てている親や周囲の大人たちがどういう暮らし方・感じ方をしているのかということの影響が大きいのだと思っています。
子どもたちはしっかり大人を見ていて、大人が変われば、子どもは変わっていくんだな・・・というのは、私の活動を通しての実感です。 (I.S)

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「今日は、スタッフという立場を全く忘れ、一参加者として思いっきり楽しませていただいてしまいました(ごめんなさい)。あの里山の風景(特に田圃の景色がとても気に入ってしまいました)は、本当にすばらしい!里山の秋を思う存分楽しませてもらいました。
とんぼ公園や、山の斜面を利用した遊び場などは、子どもたちを放しておいたら、一日中ずっと遊んでいられるようなところでしたね。今度訪れる機会があったら、どこかのフィールドで腰をすえてゆっくりと楽しみたいですね。N子は「遊びすぎて、体がボロボロだー。」と嘆いてしまうくらい、思いっきり遊ばせてもらいました。S君も帰りの車の中で里山での遊びを眠くなるまでずっとしゃべり続けていました。
新井先生&南部先生、そしてスタッフの方々、みなさん、とても気さくな方ですね。トンボやハチのことを語る、先生方のキラキラ光る瞳が印象的でした。トンボに目の前でタマゴを産ませることができるなんて、驚きでしたね。あんな魅力的な先生方とフィールドがあるにもかかわらず参加者があまり集まらないというのは、何故なんでしょうか?不思議ですね。 (S)

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月曜日は有難うございました。我が家の子供達にとっては、時間、内容共に満足なメニューでした。
夕食には頂いた秋の味覚が一役買って賑わいました。椎茸は苦手と言っていた息子が椎茸を美味しそうに頬張る姿。黒米を宝物のように一粒一粒丁寧に扱う姿。
自分で取ってきたものは格別なのですね。 御礼方々感想まで。 (A)

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朝起きた時点ではぐずぐずしていた次男(朝に弱い)も、着いたら超ハイテンションでしたし、長男も始終目をキラキラ(ギラギラ?)させていました。二人にとって、そして私にとってもたのしい一日になりました。ありがとうございました。
NPOで食べていくのはいずこも大変なようですね。それはさておき、里山研究会の方もそのように話しているのが聞こえてきましたが、「食べる」というのはやはりアピールする力が強いように思います。あの条件であれば窯があると楽しそうですね(パンを焼いたり、ピザを焼いたり)。もちろん、自然体験とどのようにクロスさせるかは思案のしどころでしょうが、間伐と組み合わせたりするのも面白そうです。荒れた山の竹林をみるにつけ、これは竹炭をつくるのもいいかなあとも思いました。竹に限らなくとも、炭焼きはとても魅力的です。対象は大人になるのかもしれませんが、炭を焼きながら自然について一晩語りあかすなどというのもやってみたいなあと思います。
子どもにとって魅力的なのはやはり「捕まえる(収穫する)」「つくる(木工等)」「体を動かす(今日のぶらんこのような)」でしょうか。でも、新井さんも話していましたが、ちび探の子どもたちはふつうの子どもとはちがうようですから(生き物に対する抵抗がほとんどない)、そのあたりのハードルをどう越えさせるのかも課題なのでしょう。
すぐれた専門家がそろっているのはむさしの里山研究会の強みであります。会の活動が外から見ているほどには順調でないことは会のHPなどからも伺い知ることができますが、会の活動をどう伝えて(広報)いくかも大切なのでしょう。活動は違うかもしれませんが、知り合いの農家でグリーンツーリズム的なこともやっている直売農家は「ショッパーズ」などに取り上げられると反響がすごいと話していました。まずは知られることが大切なのですから、軟派すぎるかなあ…と思うくらいの取り上げられ方をするほうがよい時もあると思います。 (T)




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